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第三章
女子選手からの敗北だけは免れたい思い
直美は無情に攻撃を仕掛ける。
大斗の頭を下に押しやり、背後から腰をぐっと力強く持ち上げ、大斗の上体を天に振り上げる。そして後頭部と背中を、マットに思い切り叩き付けた。強烈なパワーボムだ。
直美がそのままフォールに入る。
大斗は3カウント直前で、渾身の力をこめて跳ね返し、やっと逃れた。
体力の消耗が激しい大斗は、マット上で身体を横にしたまま、一向に立ち上がれない。
一方の直美はすっと立ち上がり、ひたひたと次の攻撃に向けた間合いを図っている。
どちらが男でどちらが女なんて、まったく意味しない。ただ、ここまでの試合展開は明らかに、女の直美の方が、男の大斗よりも格が数段上の様に見て取れる。
――― やばいよ、これは本気で、危ない…。
場内は最高潮に盛り上がり、どよめいている。
「直美選手、半端なく強いね!」
「あの白川大斗が、女子に負けるの?それも、ボロ負けになりそう。」
「直美は、男女合わせても、最強のレスラーなのかも?」
立ち上がることがやっとな状態の大斗の背後に直美が迫る。虫の息の大斗に対し、直美は試合のフィニッシュに向かう雰囲気。
そして、後ろから両手で大斗のお腹を掴み、バックドロップを放つ。まるで背筋を使ってマット上に叩き付けるかのような、見事な円弧の描きぶり。
これで済まさず、無理やり大斗を立たせ、連続で2発目のバックドロップを放った。徹底的にダメージを与える形だ。
――― 力強い…。
そのまま大斗の後ろから、直美の右手が大斗の首に巻き付き、左手といっしょに締め付けながら、後方に寝転ぶ。直美の両足は大斗のお腹に巻き付いた。
直美の全力が篭った裸締めが、リング中央できれいに見事にがっちりと決まっている。
もう、試合を決めてしまおうとしているようだ。
これは、今の大斗の体力では、もはや逃れるのは難しい。
――― だめだ、もう。この女は、俺より、完全に強い…。
自分は直美には勝てない。
デビューわずか1年目、ほんの少し前までは巷のレディース総長だったという女子レスラーから、自分は完璧にねじ伏せられようとしている。
帝プロとして、レスラーとして、男として、経験も経歴も勝っているはずなのに、実力で全く劣っている。
強いと信じていた自分が、こうも完璧に、女に屈服させられようとしている…。
本当に情けない。
けど、これはもう、ダメだ…。
大斗は観念し、タップを打とうとした。
大斗が今にもギブアップしようとした、その寸前、リングサイドから聞き覚えのある声が響いた。
「直美!」
遠のきそうな意識の中で見えたのは、叫んでいる副社長の沙也加。なにが起こっているのやら。
次の瞬間、変化が起こった。
全力を込めて締め続けていた直美の両手・両足から、すぅっと力が抜けていく様子を、大斗は感じとった。
――― !
ぎりぎりのところで舞い込んだ千載一遇のチャンスと見た大斗は、痛めていた左腕の痛みを堪えながら振り上げ、背中の直美の脇腹に肘鉄を喰らわせた。
直美は脇腹を押さえ、苦しがる様子で倒れ込み、ようやく地獄の裸締めを解いてもらえた。
まさに九死に一生を得る。会場からもどよめきが漏れる。
ここで場内アナウンスが響く。
「残り時間、1分!」
――― せめて最後だけでも、少しだけでも、おれの見せ場を作らないと!
大斗は必死に、残っていたスタミナを振り絞り、そのすべてを体内に注ぎ込む。
直美からさんざん痛めつけられた身体を引きずり起こし、そして大技を次々に放つ。
ニーキック、バックドロップ、ジャーマンスープレックス、・・・。
無我夢中。全力で攻め込んでいた。
どの技も直美は、真正面からまともに受ける。危ない角度で落ち、大斗からフォール体勢に入られても、直美はカウント2.9でぎりぎり跳ね返す。
最後は、直美に強烈なパイルドライバーを食らわせ、フォールに入る。
カウントは、1、2、…!
ここで、リングサイドでカンカンカンと鐘が鳴った。
リングアナウンサーからのマイクの声が響く。
「10分経過、10分経過、この試合は時間切れ、引き分けとなります。」
ラスト1分の大斗の最後の強烈な猛攻。まるでタイトル戦かのような雰囲気となり、また全て受けて耐え切った直美の奮闘ぶりに、会場は総立ちで盛り上がっていた。
エキシビジョン・マッチは大成功となった。
大斗の頭を下に押しやり、背後から腰をぐっと力強く持ち上げ、大斗の上体を天に振り上げる。そして後頭部と背中を、マットに思い切り叩き付けた。強烈なパワーボムだ。
直美がそのままフォールに入る。
大斗は3カウント直前で、渾身の力をこめて跳ね返し、やっと逃れた。
体力の消耗が激しい大斗は、マット上で身体を横にしたまま、一向に立ち上がれない。
一方の直美はすっと立ち上がり、ひたひたと次の攻撃に向けた間合いを図っている。
どちらが男でどちらが女なんて、まったく意味しない。ただ、ここまでの試合展開は明らかに、女の直美の方が、男の大斗よりも格が数段上の様に見て取れる。
――― やばいよ、これは本気で、危ない…。
場内は最高潮に盛り上がり、どよめいている。
「直美選手、半端なく強いね!」
「あの白川大斗が、女子に負けるの?それも、ボロ負けになりそう。」
「直美は、男女合わせても、最強のレスラーなのかも?」
立ち上がることがやっとな状態の大斗の背後に直美が迫る。虫の息の大斗に対し、直美は試合のフィニッシュに向かう雰囲気。
そして、後ろから両手で大斗のお腹を掴み、バックドロップを放つ。まるで背筋を使ってマット上に叩き付けるかのような、見事な円弧の描きぶり。
これで済まさず、無理やり大斗を立たせ、連続で2発目のバックドロップを放った。徹底的にダメージを与える形だ。
――― 力強い…。
そのまま大斗の後ろから、直美の右手が大斗の首に巻き付き、左手といっしょに締め付けながら、後方に寝転ぶ。直美の両足は大斗のお腹に巻き付いた。
直美の全力が篭った裸締めが、リング中央できれいに見事にがっちりと決まっている。
もう、試合を決めてしまおうとしているようだ。
これは、今の大斗の体力では、もはや逃れるのは難しい。
――― だめだ、もう。この女は、俺より、完全に強い…。
自分は直美には勝てない。
デビューわずか1年目、ほんの少し前までは巷のレディース総長だったという女子レスラーから、自分は完璧にねじ伏せられようとしている。
帝プロとして、レスラーとして、男として、経験も経歴も勝っているはずなのに、実力で全く劣っている。
強いと信じていた自分が、こうも完璧に、女に屈服させられようとしている…。
本当に情けない。
けど、これはもう、ダメだ…。
大斗は観念し、タップを打とうとした。
大斗が今にもギブアップしようとした、その寸前、リングサイドから聞き覚えのある声が響いた。
「直美!」
遠のきそうな意識の中で見えたのは、叫んでいる副社長の沙也加。なにが起こっているのやら。
次の瞬間、変化が起こった。
全力を込めて締め続けていた直美の両手・両足から、すぅっと力が抜けていく様子を、大斗は感じとった。
――― !
ぎりぎりのところで舞い込んだ千載一遇のチャンスと見た大斗は、痛めていた左腕の痛みを堪えながら振り上げ、背中の直美の脇腹に肘鉄を喰らわせた。
直美は脇腹を押さえ、苦しがる様子で倒れ込み、ようやく地獄の裸締めを解いてもらえた。
まさに九死に一生を得る。会場からもどよめきが漏れる。
ここで場内アナウンスが響く。
「残り時間、1分!」
――― せめて最後だけでも、少しだけでも、おれの見せ場を作らないと!
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直美からさんざん痛めつけられた身体を引きずり起こし、そして大技を次々に放つ。
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カウントは、1、2、…!
ここで、リングサイドでカンカンカンと鐘が鳴った。
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「10分経過、10分経過、この試合は時間切れ、引き分けとなります。」
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