フェアリーゲート

第１章 接触

始まりの日

　それは、１通の１１０番通報から始まった。
「山口本部から、下関署、下関１１２号。」
「下関署です。」
「下関１１２号です。どうぞ。」
「指令番号３１、野犬の目撃情報。
十数頭の野犬が登山道付近を彷徨いていたというもの。
貴局が最も直近である。なお、通報者佐武、男性とは以後連絡が取れない状態である。緊急走行にて直行願いたい。」
「下関署了解。」
「下関１１２号了解。」
「以上、山口本部」
無線指令を受けたパトカー内では、警察官２年目の広瀬巡査が、相勤者の佐藤巡査部長に対して、
「どうせ、行ったら居なくなってますよ。通報者も帰ったんでしょう。」
と愚痴を洩らしていたが、佐藤巡査部長は気を抜くなと注意し、サイレンを鳴らしての緊急走を開始した。地獄の様な現場が待ち受けているとまでは予想できないまま
。