28 / 56
第5章 異世界の旅
本格的な交渉
しおりを挟む
「痛っ~まだ頭痛いよ。」
「ドワ一フの火酒ほどじゃないけど、エルフの秘酒をアレほど飲めば二日酔い位なるわよ。」
夜が明けて、柊はミラの実家にお邪魔して朝食を頂いていた。
「柊さん、うちのじゃじゃ馬娘を連れ戻してくれてどうも、ありがとうございます。」
机の上に追加でサラダの入った皿を置いたのは、ミラの母親であるラミリアである。
「じゃじゃ馬は無いでしょう、じゃじゃ馬は!」
ミラは反撃を試みるが、
「ちょっと森に入って来るって言って出掛けて1週間近く帰って来なかった子が何を言っているのかしら?」
「ヴっ?!」
ラミリアの返しに撃沈される。
「まあまあ、そのおかげで私達はミラに会えたんですし悪い事ばかりでは、有りませんよ。」
柊も擁護するが母は強しである。客であるにも関わらず一緒に説教を受けてしまった。
朝食後、昨夜の宴の痕跡の残る里の中を柊とミラは歩いていた。
「誠、何処に向かっているの?」
ミラは不思議そうに尋ねる。訪れたばかりの里に柊の知己がそう居るとは思えなかったからだ。
「族長の何処だよ。昨夜の宴で僕ら世界の品物の良さは分かって貰えたと思う。けど一度に全部売り出すと最初は良くても、インパクトが無くなって行くと思うんだ。だから、販売する品物の発表の順番とかを話し合おうと思ってね。」
「へぇ~、色々と考えているのね!」
そうこうしている間に族長の家に着いていた。ノックをするて、最初の日に族長の後ろに控えていた男性のエルフが出て来た。
「サトレアさん、族長はいらっしゃいますか?」
ミラが尋ねると男性、サトレアは、
「居るには、居るんだが・・・。」
と口を濁した。
すると、家の中から、
「柊殿達か入って貰え。」
と病人のような族長の声が聞こえた。
柊とミラは、恐る恐る中に入って見ると、氷水を入れた革袋を頭に当てた族長が机に伏せていた。
「族長どうなされたのですか?」
柊が思わず聞くと、
サトレアが冷たい口調で、
「ただの二日酔いですね。毒見じゃと言って全部の種類のお酒に手を出すからこうなるのです。」
「にゃにを!危険が無いか事前に調べるのは、長(おさ)として当然の事じゃ!!」
「だからといって、1人でやる事も、何杯もおかわりすることは無いでしょう!!」
「ううっ。」
ついに族長が言い負かされてしまった。大丈夫かな?この里。
「客人とあればしょうがない、仕方ない」
「ポイズンキュア!」
呪文のようなものを唱えると、そこにはしゃっきりとした族長が居た。
「それで、昨日の今日で何用かな柊殿?」
「ええ、利益の配分については取り決めを交わした通りですが、販売する品物についてお話が。」
「成る程、昨日実際に試させて貰ったが、あれだけの品々じゃ。前言を撤回する様だが、手に入れんと軍を送り込む国が表れかねん。そこで品物の種類を絞って販売して行こうという訳じゃな?」
「流石は族長、話が早い。私としましては、まだこの世界で流通している砂糖と胡椒から販売を始めたく思います。作物だから、と言い訳も効きますので。」
「それだけでも、充分な利益じゃ。柊殿と精霊に感謝を。して、今回はどの位の量を持ち込まれたのじゃ?」
「宴で多少消費しましたが、砂糖と胡椒それぞれ10kgずつですな。」
「何と!そんなに!それだけで一生暮らして行けそうなものよな。里を訪れる人族の商人の驚く様が目に浮かぶようじゃわい。」
「それでは、あくまで品物はアストレア氏族が手に入れた物を販売すると、いう形でお願いいたします。」
「ウム、分かっておるが、継続的な付き合いを頼むぞ柊殿?」
「それは間違いなく。」
「人族の商人が訪れるのは、何事も無ければ、2日後の予定じゃ。楽しみに待っとしょうぞ。」
久しぶりの投稿ですみません。お待たせしました。読んでいただいた方、また不定期なるかもしれませんけど応援よろしくお願いいたしますm(_ _)m
「ドワ一フの火酒ほどじゃないけど、エルフの秘酒をアレほど飲めば二日酔い位なるわよ。」
夜が明けて、柊はミラの実家にお邪魔して朝食を頂いていた。
「柊さん、うちのじゃじゃ馬娘を連れ戻してくれてどうも、ありがとうございます。」
机の上に追加でサラダの入った皿を置いたのは、ミラの母親であるラミリアである。
「じゃじゃ馬は無いでしょう、じゃじゃ馬は!」
ミラは反撃を試みるが、
「ちょっと森に入って来るって言って出掛けて1週間近く帰って来なかった子が何を言っているのかしら?」
「ヴっ?!」
ラミリアの返しに撃沈される。
「まあまあ、そのおかげで私達はミラに会えたんですし悪い事ばかりでは、有りませんよ。」
柊も擁護するが母は強しである。客であるにも関わらず一緒に説教を受けてしまった。
朝食後、昨夜の宴の痕跡の残る里の中を柊とミラは歩いていた。
「誠、何処に向かっているの?」
ミラは不思議そうに尋ねる。訪れたばかりの里に柊の知己がそう居るとは思えなかったからだ。
「族長の何処だよ。昨夜の宴で僕ら世界の品物の良さは分かって貰えたと思う。けど一度に全部売り出すと最初は良くても、インパクトが無くなって行くと思うんだ。だから、販売する品物の発表の順番とかを話し合おうと思ってね。」
「へぇ~、色々と考えているのね!」
そうこうしている間に族長の家に着いていた。ノックをするて、最初の日に族長の後ろに控えていた男性のエルフが出て来た。
「サトレアさん、族長はいらっしゃいますか?」
ミラが尋ねると男性、サトレアは、
「居るには、居るんだが・・・。」
と口を濁した。
すると、家の中から、
「柊殿達か入って貰え。」
と病人のような族長の声が聞こえた。
柊とミラは、恐る恐る中に入って見ると、氷水を入れた革袋を頭に当てた族長が机に伏せていた。
「族長どうなされたのですか?」
柊が思わず聞くと、
サトレアが冷たい口調で、
「ただの二日酔いですね。毒見じゃと言って全部の種類のお酒に手を出すからこうなるのです。」
「にゃにを!危険が無いか事前に調べるのは、長(おさ)として当然の事じゃ!!」
「だからといって、1人でやる事も、何杯もおかわりすることは無いでしょう!!」
「ううっ。」
ついに族長が言い負かされてしまった。大丈夫かな?この里。
「客人とあればしょうがない、仕方ない」
「ポイズンキュア!」
呪文のようなものを唱えると、そこにはしゃっきりとした族長が居た。
「それで、昨日の今日で何用かな柊殿?」
「ええ、利益の配分については取り決めを交わした通りですが、販売する品物についてお話が。」
「成る程、昨日実際に試させて貰ったが、あれだけの品々じゃ。前言を撤回する様だが、手に入れんと軍を送り込む国が表れかねん。そこで品物の種類を絞って販売して行こうという訳じゃな?」
「流石は族長、話が早い。私としましては、まだこの世界で流通している砂糖と胡椒から販売を始めたく思います。作物だから、と言い訳も効きますので。」
「それだけでも、充分な利益じゃ。柊殿と精霊に感謝を。して、今回はどの位の量を持ち込まれたのじゃ?」
「宴で多少消費しましたが、砂糖と胡椒それぞれ10kgずつですな。」
「何と!そんなに!それだけで一生暮らして行けそうなものよな。里を訪れる人族の商人の驚く様が目に浮かぶようじゃわい。」
「それでは、あくまで品物はアストレア氏族が手に入れた物を販売すると、いう形でお願いいたします。」
「ウム、分かっておるが、継続的な付き合いを頼むぞ柊殿?」
「それは間違いなく。」
「人族の商人が訪れるのは、何事も無ければ、2日後の予定じゃ。楽しみに待っとしょうぞ。」
久しぶりの投稿ですみません。お待たせしました。読んでいただいた方、また不定期なるかもしれませんけど応援よろしくお願いいたしますm(_ _)m
0
あなたにおすすめの小説
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!
翠月るるな
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。
侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。
そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。
私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。
この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。
それでは次の結婚は望めない。
その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる