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第2章:ダンジョン攻略編(女神ダンジョン)
第67話 大熊さんの災難
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大学の後輩であるJDSAの神田から連絡があって、折り入っての頼みがあるという。俺を見込んでの頼みなので、重々、内密でお願いしたいとのことだが、今まであいつの件で『面倒事じゃなかった事がない!』
そこで『ご辞退したい』そう伝えたはずなのだが、なんだかんだと押しかけてきた。
「相変わらず、お前は押しが強いな」
「そんな、誉められても、プロポーズは受けませんからね」
「誉めてねーよ。それにプロポーズする気もねえ!女神ダンジョンでの捜索チームに無理やり押し込まれ、リーダーを任されての、その上なんだって言うんだ」
「クマ先輩しか頼めないんですよー!こんな可愛い後輩の頼みじゃないですかー!何とかお願いですぅ」
頭の上にて両手を合わせてのいつものお願いポーズだ。
「ったく…、お前は俺を何だと思ってるんだ……」
俺はため息交じりに、テヘペロ((^┰^))ゞ顔の神田を呆れ顔で見やった。
神田は俺がオファーを出していた食事係担当兼荷物持ちの下級シーカーを連れてやって来たのだが、頼みというのは彼の件だそうだ。それは、JDSAの上層部に内密で彼を自由の女神ダンジョンに連れて行ってほしいというものだった。
「それって、荷物持ちでの同行とどう違うんだ?」
「実は、彼は……」
そして神田の口から信じられない事を聞かされてしまった。『聞かなかった事にしてくれないか』俺は心の中でそう叫んでいた。
金輪際、あいつの頼み事は絶対に聞かないからな。そう強く心に誓った。
◇◇◇
「あのー、大熊さん、かなりヤバイですよ…ここって…」
僕は大熊さんにある事を伝えようとしたのだが、それを緊急を告げる声が遮る。
「クマさん!あいつらヤバイですよ!囲まれてます。どうします?」
そこで、大熊さんはその現場にすごいスピードで駆け寄りながら迅速に指示を飛ばす。
「まずは俺のスキルで奴らを吹っ飛ばす!入口を開けるから、蓮、そこから飛び込んでとりあえず浄化だ。攻撃は蓮に続け!」
「了解!」
大熊さんはスキル<ファランクス>で、集団で襲い掛かっているゾンビ達を吹っ飛ばした。穴が空いたとこから僕が入り込んで周囲を浄化し、ゾンビ達を一瞬ひるませる。そこを攻撃担当のシーカーさん達が片っ端から切り捨てて行った。
日本チームは皆に浄化の付与を施しているので、不浄の者が触ろうとすると、触った所が浄化され焼けただれる。そのお陰で他国チームよりも有利に戦えるのだが、ゾンビは痛覚がないのか、腕を焼かれようが、切り落とされようが、容赦なく襲い掛かってくるのだ。それでも、その群れを駆逐するのに、そう時間はかからなかった。
「大丈夫ですか?」
大方のゾンビを退治出来た所で、僕は怪我を負っている人に声をかけた。ほとんどの人が重傷を負っていた。それに毒にかかってる人もいて、声を発する事が出来ないようだ。一刻の猶予もない。
そこで急いで毒消しのポーションを出し、症状の重い人から飲んでもらった。その後、回復担当のシーカーさん達に傷の治療をしてもらったので、何とか全員を助けられたようだ。
「ホンじゃないか!これはいったいどうしたんだ!」
大熊さんは、そのチームのリーダーらしき人に話しかけていた。
「おお、大熊なのか。助けてくれてありがとう。一時はもう諦めたんだが、まさかお前が来てくれたとは、奇跡だ、これは神のご加護か」
彼は台湾人だそうだが、キリスト教の信者のようで、神に感謝の祈りを捧げた。彼の名は洪 金星(ホン・ジンシン)、台湾チームのリーダーとのこと。
「何があったのか?ここに来るには人数が少ないようだが」
彼らの説明では、要請より参加人数が少なかった事で、USDSAから他国のチームとの合同での攻略を指示された。そこで合同チームでダンジョンに入ったまでは良かったのだが、この階層に移動したとたん、難易度が急に上がり、大挙してのゾンビに襲われたそうだ。
すると、合同の相手チームは、台湾チームをその集団に押し付けて、自分たちは目先のゲートに飛び込んだとのこと。
「仕方がない、皆、生きる事に必死なんだ」
ホンさん達は魔物を押し付けて、置いて行った者達を恨んではいないようだった。
「でも、助かった。ありがとう、日本のシーカー諸君!」
と言うやり取りをしている最中、僕は気が気じゃなかったのだ。この先のゲートって言ったよね。それって、ボスエリアへ向かう転移ゲートなのだから。
そこで『ご辞退したい』そう伝えたはずなのだが、なんだかんだと押しかけてきた。
「相変わらず、お前は押しが強いな」
「そんな、誉められても、プロポーズは受けませんからね」
「誉めてねーよ。それにプロポーズする気もねえ!女神ダンジョンでの捜索チームに無理やり押し込まれ、リーダーを任されての、その上なんだって言うんだ」
「クマ先輩しか頼めないんですよー!こんな可愛い後輩の頼みじゃないですかー!何とかお願いですぅ」
頭の上にて両手を合わせてのいつものお願いポーズだ。
「ったく…、お前は俺を何だと思ってるんだ……」
俺はため息交じりに、テヘペロ((^┰^))ゞ顔の神田を呆れ顔で見やった。
神田は俺がオファーを出していた食事係担当兼荷物持ちの下級シーカーを連れてやって来たのだが、頼みというのは彼の件だそうだ。それは、JDSAの上層部に内密で彼を自由の女神ダンジョンに連れて行ってほしいというものだった。
「それって、荷物持ちでの同行とどう違うんだ?」
「実は、彼は……」
そして神田の口から信じられない事を聞かされてしまった。『聞かなかった事にしてくれないか』俺は心の中でそう叫んでいた。
金輪際、あいつの頼み事は絶対に聞かないからな。そう強く心に誓った。
◇◇◇
「あのー、大熊さん、かなりヤバイですよ…ここって…」
僕は大熊さんにある事を伝えようとしたのだが、それを緊急を告げる声が遮る。
「クマさん!あいつらヤバイですよ!囲まれてます。どうします?」
そこで、大熊さんはその現場にすごいスピードで駆け寄りながら迅速に指示を飛ばす。
「まずは俺のスキルで奴らを吹っ飛ばす!入口を開けるから、蓮、そこから飛び込んでとりあえず浄化だ。攻撃は蓮に続け!」
「了解!」
大熊さんはスキル<ファランクス>で、集団で襲い掛かっているゾンビ達を吹っ飛ばした。穴が空いたとこから僕が入り込んで周囲を浄化し、ゾンビ達を一瞬ひるませる。そこを攻撃担当のシーカーさん達が片っ端から切り捨てて行った。
日本チームは皆に浄化の付与を施しているので、不浄の者が触ろうとすると、触った所が浄化され焼けただれる。そのお陰で他国チームよりも有利に戦えるのだが、ゾンビは痛覚がないのか、腕を焼かれようが、切り落とされようが、容赦なく襲い掛かってくるのだ。それでも、その群れを駆逐するのに、そう時間はかからなかった。
「大丈夫ですか?」
大方のゾンビを退治出来た所で、僕は怪我を負っている人に声をかけた。ほとんどの人が重傷を負っていた。それに毒にかかってる人もいて、声を発する事が出来ないようだ。一刻の猶予もない。
そこで急いで毒消しのポーションを出し、症状の重い人から飲んでもらった。その後、回復担当のシーカーさん達に傷の治療をしてもらったので、何とか全員を助けられたようだ。
「ホンじゃないか!これはいったいどうしたんだ!」
大熊さんは、そのチームのリーダーらしき人に話しかけていた。
「おお、大熊なのか。助けてくれてありがとう。一時はもう諦めたんだが、まさかお前が来てくれたとは、奇跡だ、これは神のご加護か」
彼は台湾人だそうだが、キリスト教の信者のようで、神に感謝の祈りを捧げた。彼の名は洪 金星(ホン・ジンシン)、台湾チームのリーダーとのこと。
「何があったのか?ここに来るには人数が少ないようだが」
彼らの説明では、要請より参加人数が少なかった事で、USDSAから他国のチームとの合同での攻略を指示された。そこで合同チームでダンジョンに入ったまでは良かったのだが、この階層に移動したとたん、難易度が急に上がり、大挙してのゾンビに襲われたそうだ。
すると、合同の相手チームは、台湾チームをその集団に押し付けて、自分たちは目先のゲートに飛び込んだとのこと。
「仕方がない、皆、生きる事に必死なんだ」
ホンさん達は魔物を押し付けて、置いて行った者達を恨んではいないようだった。
「でも、助かった。ありがとう、日本のシーカー諸君!」
と言うやり取りをしている最中、僕は気が気じゃなかったのだ。この先のゲートって言ったよね。それって、ボスエリアへ向かう転移ゲートなのだから。
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