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第4章:帝国編

第94話 買い出し

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 フォンテブルクに行く前に少し時間をもらう事にしました。森の攻略時に大勢の冒険者さんにご馳走した事で、収納に入ってる食材の手持ちが心許無い。

 そこで、食材の買い出しに行きたかったからなのです。

「え?どこにって?」
 …
 ……
 ………
「それは、もちろん日本ですよ^^b」

 実は、女神様にしたもう一つのお願いは、こちらと日本を簡単に行き来できないか?と言う事でした。女神様にそれを伝えたら―――。

『そうですね。あなたのスキル<シンクロナイゼーション>を進化させてあげましょう。そうすれば可能となりますね』

 すると、シンクロIIで増えた【短縮】に加え、IIIに進化した事でそこに……【転移】が追加されたのでした。もうここまで来たら究極ダンジョンチート爆誕ですね。

『あなたには本当に感謝しているのですよ。なので……』

 その上、女神様はついでとばかりに、ターランドに一番近いダンジョンから、地球の東京へとつなげてくれました。もちろん消滅した公園ダンジョンの一番近い所って言う希望は出しておきました。今のアパートに近い所が何かと便利なのです。

 ですが、ここで一つ大きな問題が発生しました。

 残念ながら、こちらの住人は地球のダンジョンまでしか行けないそうで、魔素や精霊源素がない地球では、とっても生きていけないとの事。なので、リンゴは連れて行く事が出来ないのです。

(もう離れないって言ったじゃないかー!)と言った感じで、キューンと鳴きながらボコボコ叩くリンゴに土下座する勢いで謝り倒して、何とか許可をもらっての日本への一時帰国?と相成りました。


 ◇◇◇


 僕はターランドのダンジョンから日本のダンジョンに転移して、一番に神田さんに連絡をいれたのでした。

「ええ、蓮君!良かった、ちゃんと帰って来れたのね」
「はい、この度は色々とご迷惑おかけしました。あれから大丈夫でしたか?」
「まぁ、色々あったけど、何とかなってるから心配しないで、それよりあなたの事をちゃんと聞かせてね」

 そう言う神田さん、何故か大熊さんのマンションで待ち合わせとなりました。ああ、大熊さん相変わらずなようです。


 ◇◇◇


「もうなんで俺が家にいる事知ってるんだ!」
「もう、先輩の行動はお見通しなんですよ」
「お前は俺のストーカーか」
 ヘラヘラと笑う神田さんを見つつ、やれやれと言う顔になっている大熊さんは僕達をマンションへと入れてくれた。

「まぁ、蓮の報告は聞きたかったし、それでどうだったんだ?あっちは」
「はい、今度S級シーカーさん達と会えそうなんですよ。彼らは無事だそうです」

 そして二人に、自由の女神ダンジョンから異世界に行ってからの事、S級シーカーさんはあちらで勇者と言われている事、これから彼らに会うために出かける事になってる事を話した。

「そうか、良かった。奴らの無事が分かって。今回の女神ダンジョンの件で、奴らの国からのプレッシャーがキツかったからな。それに……」

 大熊さんは、助けた合同チームのシーカーが、勝手にコアを破壊してしまった事、それを阻止出来なかった事を謝ってくれた。

「まさか、俺たちが疲労困憊で倒れている最中に、己の功績だと主張する為にコア破壊に走るとまで考えなかったんだ。ホン達が止めようとしてくれたんだが間に合わなかった。すまなかった」

「いや、いいんですよ。こっちで何とかなりましたし。アレを破壊しとかないとUSDSAへ説明も大変だったでしょう?」

「そう言ってくれると助かるよ」

 神田さんには、魔石やポーションを引き取ってもらい、それで最重要案件のお酒を調達してもらうお願いをし、一度解散となった。

 その後、僕は大熊さんと連れだって、色々の食材を調達するため市場へと向かう事にしたのです。

 ここしばらく地球の料理を食べてないだろうS級シーカーさんたちにも、僕の料理を振る舞いたいので大量に調達したいと大熊さんに言ったら。だったら、顔なじみがいるからと、大熊さんが付き合ってくれる事になったのでした。大熊さんには色々とお世話になって本当に感謝です。

「何がいいかなぁ~♪」

 焼きそばの評判も上々だったから、今度はお好み焼きやたこ焼きの材料も入れとこうかな。天ぷらとか唐揚げとかの揚げ物もいるよね。それだと油だって大量にいる。やっぱ油はこめ油かな。

 もちろん冷凍したまぐろの中トロと赤身のブロックは外せない。大トロもいるかな?僕は本当はタイやヒラメの白身魚の方が好きなんだけど。タコやイカ、いくらもいいよね。まぁ、市場で良い物見つけたら、色々買っちゃおー♪こりゃ大変だ~!

 僕は大熊さんと並んで歩きながら、色々な料理の事を考えてると、ついつい楽しくなってきて、森のクマさんを口ずさむ。その光景はまるで大熊の横をコロコロ楽しそうについて行く小熊のようだとつい思ってしまった。
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