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第2章.エスカレートしてません!?
3.新たな快楽(後編)【♡】
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ローションを自身の竿に掛けて扱く社長は笑ってはいたが貪欲な獣の眼をしていた。これ程までに興奮していると思うと拒絶する気も起きない。
先端部が尻穴に当てがわれた瞬間に潤滑剤のぬめりと冷たさをまず感じるが、すぐに肉を割られ質量が突き進んで来る圧迫感に支配された。
「ぅっ、ぐぅっ……!」
「はぁっ、締まりすご……神河さん、お尻に力入れて、力んでください」
「っ? んっ……あっあっ……♡」
今回も大量に出した後とは言え、前回のような下しまくってゆるゆるの状態ではない。その上指で解されてもいないとなれば相応の痛みと異物感がある。
反射的に強く食い締めてしまっていたが、言われた通りにすると逆に尻穴が開いて肉棒が奥へと進んだ。太い便を排泄する時に力むと括約筋が緩むので同じ原理ということに後から思い至るが、社長の妙な慣れに深淵を覗き込むような気分だった。
俺もアナニーをしていて多少の知識はあるが、彼は明らかに実践慣れしている。この顔と経歴だから女性は飽きる程近寄って来ただろうが、男性相手の経験もきっとゼロじゃない、気がする。
それにほんの少しイラッと来てしまうなんてよくない。今社長は俺の虜なんだからそれでいいじゃないか。
「動きますよ……大丈夫ですか?」
「っは、ぁ……んっ……♡ くる、し……♡」
「でも神河さん、気持ち良さそうな顔してますよ。もっとイイ顔にしたいですね」
「あっ……♡ は、ぅっ……♡」
グチュッ……グチッ……!
恐ろしくゆっくりとして動き幅も少ないピストンは慣れるのには丁度良かったが逆に焦ったさもある。
特に弱い部分に雁首が引っかかるように擦られると心地良さに思わず腰が逃げてしまう。どんなに抑えようとしても身体の奥から勝手に嬌声や喘ぎが湧き出し、俺は枕を掴みながら身を捩った。
段々尻が熱くなってくるのに従って前を擦りたい気持ちも湧いて来る。先程から急ピッチで生産されている精子を出したくて仕方が無い。だが後ろだけで達するにはまだ身体は熟れておらず、半ば無意識で下半身に手を伸ばそうとした。
「ダーメ。イきたいならこのままイってください」
「う……ひどい……っ、あ♡ 出したい、のに……♡」
ジュポッジュポッ……グチュッゴリュッ!
「はぁっ♡ あっ♡ おねが、イきた、イきたいっ♡ ああんっ♡」
どんなに懇願しても両手は頭上でまとめて押さえ付けられており、社長自身も俺の竿に触れてくれない。衝動だけが高まる中で快楽を求めて勝手に腰が揺れ、前立腺を内側から抉られる感覚に脳内がチカチカと瞬いた。
クる。竿を擦る自慰よりも、もっと深く強い感覚に俺は身体を反らせて溺れた。
「あっああああっ♡」
トプットロトロ……
「っく、きっつ……! ン……ッ♡」
ビューッビュルルルル!
視界が真っ白になり、男が得るにはあまりに大きすぎる快楽に酩酊する。白濁液が出たとはいえ尻での絶頂で漏らしたに等しく、射精のような満足感は全く無い。
だが社長の方は俺の肉壺の痙攣で限界を迎えたらしく、気付けば腹の中に熱い液体がぶち撒けられていた。荒い呼吸をしながらもまだ硬さが残っているのは流石と言うべきか。
「……すいません、もう出ちゃいました。でももうちょっと気持ち良くなりましょ。……神河さん、ココってどうですか」
「んっ……あん、まり……」
「自分で弄ったりしてないんですか?」
「して……ないです……」
社長の空いた手が俺の胸に伸びてその頂点を指で擦る。ゾク、と一瞬何かを感じたがきっとただの擽ったさだろう。
明け透けな質問に思わず顔が赤くなったのは半分嘘をついたからだ。
正確には、弄ったこともある、という方が正しい。俺だっていきなり尻にいったわけじゃない。アナニーを始める前、先に手を出したのは乳首の方だった。
だがどれだけ弄ってもあまり気持ち良く感じなかったのと、ここで感じたら危険だという直感がしてやめてしまった。その後アナニーにハマるのだがそちらの方がよっぽどヤバイということに気付いた時にはもう遅かった。快楽の欲求は時に人の判断を誤らせるのだ。
「じゃあやってみましょうか。色んな所で気持ち良くなれた方がいいですよね」
「そう、でしょうか……んっ、ひっ……ッ♡」
クチュッ……チュパッ……
だが時に正しく判断していても為す術が無い時もある。
俺が断るよりも早く、身体を倒した社長が俺の右乳首を咥える。唇で柔らかく食まれながら先端を舌先で刺激され、あるいは歯で甘噛みされ、あるいは唾液をたっぷり纏った舌で全体を捏ね上げられてから強く吸われる。
自分ではできない責め苦をされて身体が震える間、左側は右手で潰すように捏ねられたり摘まれて擦られたり爪でカリカリと引っ掻かれたり弾かれたり、かと思えば触れるか触れないかのフェザータッチで焦らされる。
左手1本で押さえ付けられている両手は無理矢理振り解こうと思えばできただろうが、胸から伝わる未知と既知の感覚に悶えてそれどころではなかった。
その上社長の腰はまだ動いているし、体勢が変わったお陰で下腹部が密着して竿が腹で擦られる。
いけないとわかっていても全ての快楽が繋がってしまう。弄られて赤くなっていく乳首は徐々に神経が剥き出しになっていくような感覚があり、それが気持ち良いと教え込まれる。
無理だ、こんなの耐えられない。
「あひっ……♡ はぁっ、あ、あ゛っ……♡」
「おっと、またイっちゃいそうですか?」
「イく、イっちゃう、全部出る……んあああっ♡」
ドプドプドプッビクビクッ!
遂に待ち望んでいた絶頂を得て、俺は手足の指をギュッと握り締めながら襲い来る快感に悲鳴を上げた。前も後ろも同時に達した法悦は恐ろしく強く、そのまま意識が飛びそうになる。
ようやく勢いよく放たれた精液は俺と社長の腹を汚し、生臭い匂いが朦朧とした中で自分の行いを突き付けてくる。
前回のように半ば無理矢理襲われたわけではない。俺は本質的には俺の意志で社長を求め、性交して達した。
本当にもう後には戻れない事実を感じて俺は手を動かす。社長も拘束を解いて一旦ベッドに両手を着き、未だ挿入はしたまま動きは止めて俺を見下ろしていた。弄られていた乳首は赤く膨らんでいて我ながら妙にエロい。
「……神河さん、どうですか、今の気分は」
社長は薄い笑みを浮かべているがどこか嘲笑的でもあった。嗤っているのは俺にか自分にか、両方なのかまではわからない。
短いとは言え前髪が垂れ下がるこのアングルでの顔を見るのは初めてだ。そもそもこの至近距離で見詰めあったこともない。これなら彼の瞳に映った俺の姿まで見えそうだ。薄暗いから今は無理だが。
俺はすぐに回答ができなかった。気持ち良い、社長が好き、もっとしたい。どれも正しいようで違う気もする。
どんな言葉をもってしても今のこの気持ちを言い表せない気がした。幸福と背徳と慈愛と自暴自棄と欲望と嫌悪が入り混じるとても複雑で静寂に満ちた気持ち。
「…………わからないです」
なので正直にそう答えた。
社長はそれを聞いて笑う。今度は揶揄する色は無く、純粋に眼を細める。
「よかった、僕もです」
「社長も……ですか?」
「ええ、余裕ぶってはいますが、本当はわからないことだらけですよ。……でもひとつ、わかることもあります」
「何ですか?」
「——神河さんのこと、もっとなかせたいです」
「はぁ~~~~……貴方って人は……」
呆れ果てたように振る舞いながらも俺も笑いが込み上げるのを隠し切れなかった。
泣かせたいのか、鳴かせたいのか。多分両方なのだろう。
元より歪な欲望で結ばれた縁だ。ならば今後も歪なまま進むのもまたいいのかもしれない。
その被害に遭うのは俺なのだが、俺もまたおかしいのはわかっている。
需要と供給が相互に合致するなら、それに従うのがWin-Winってなもんだろう。
俺は彼の背に手を回した。俺よりは大きくて頼れる身体だ。それを引き寄せて胸と胸を重ねればどちらの物かわからない心音が響く。
そして弄られて敏感になった乳首も擦れてまた身体が反応する。
これでいい。恐ろしく俗物な俺が美しい彼に触れる理由なんて、自分本位で下品であるべきだ。
「……最後までちゃんとやってくださいね」
「……っ、はい!」
今度は俺が社長の耳元で囁くと、息を呑んだような一拍を置いてからやたらと威勢の良い返事が返って来た。
難しく考える必要は無い。ベッドの上なんだから、互いに欲望を貪り合えばいい。
……そうは思ったものの、少々焚き付ける相手を間違えたかもしれない。
「あ゛っ♡ あ゛んっ♡ しゃちょ、ま゛っ♡ 待って、今イったばっかで、ああ゛んっ♡」
「待てないです。こっちも、もうイきそう、なんで……!」
ズゴッズゴッバチュンバチュンパンパンパンッ!
「あ゛ーっ♡ 無理っ♡ もう無理っ♡ 乳首やらぁっ♡ もう出ないのにっ♡ ひあああ゛あ゛ッ♡」
ビクビクビクビクッ! ……プシャッ!
あれからどれぐらい経っただろう、俺は社長に犯されまくった。
最初に出した白濁液をタオルで拭われた後で竿にゴムを付けられて、体位を変えながら何度も何度もピストンされる。同時に乳首を弄られ竿を扱かれたら耐えられるわけがなく、あれ程生産されていた精液も空になったが更に責め苦が続いた。もちろんたっぷり中出しもされて腹が重い。
後ろでは何回も達しているのに前から出したくても何も出せない苦しさの末、俺は遂に透明な液体を噴いた。それが男の潮と気付かないまま快楽と疲労のあまり気を失う。
——気付いた時には夜は明けていた。
また後始末をやってもらったようで、身体は綺麗になっているが乳首に張られた絆創膏だけが異様だ。しかも何だかムズムズする。
隣に社長はおらず、代わりに枕元には綺麗に畳まれたトレーナーやジャージが置かれていた。泊まりを期待していると思われたくなくて着替えは持って来なかったのだが向こうは準備がいい。と言っても俺は社長より少し身長が低いぐらいでほとんど同じサイズだから適当に部屋着を見繕って貸し出しただけかもしれない。
今日は2人共休日だから時間に追われることも無いはずだが家主の姿が見えないと不安になる。しかも棚に置かれている時計を見るともう昼に近い時間だ。
慌ててリビングに行くとテーブルで新聞を広げつつマグカップを傾ける優雅な姿があった。
「あ、おはようございます」
「おはようございます……ごめんなさい起きるの遅くて」
「いえいえいいんですよ、昨日はお疲れだったでしょうから。身体の具合はどうですか?」
「筋肉痛……ぐらいですかね。でも何か絆創膏貼られてるんですけど、何ですかコレ」
一番心配な腹具合は空腹なのもあってか今のところ音沙汰が無い。筋肉痛は予兆を感じるぐらいで本格的に来るのは明日以降だろうがそれもいい。
問題は胸だと指差しながら問うと、社長は悪戯っぽくクスクス笑った。
「保護兼開発……ですかね」
「は……?」
「昨日のそのままだと服に擦れる度に大変なことになっていたでしょうから、それを防ぐ為というのがひとつ。あと、毎日軟膏塗ってると完璧にイイ物になるらしいので試そうかと」
「俺の身体を何だと思ってるんですか!」
「大切で愛おしいと思っていますよ」
完璧な笑顔でそんなことを言うんじゃない。間違ってはないのかもしれないが腑に落ちない。
俺もそのやり方は聞いたことがあるし何なら試したが数日で痒くなって諦めた。だがこの男相手だと何だかんだ続けさせられる気がする。
ただでさえ排泄で快感を得てしまう時があるのに、胸まで感じるようになってしまったらどうなるのだろう。恐怖と不安と仄かな不安で身が震える。
「さて、お昼は楽に済ませようと思いますが、トーストとウインナー、それから目玉焼きとスクランブルエッグのどちらがいいですか?」
「……目玉焼きで」
「了解です。昨日の続き見ながら食べましょっか」
社長が立ち上がってキッチンに向かう。何気無い会話も、同居してるみたいだ、なんて思ったら急に胸が切なくなる。
幾らなんでもそれは高望みすぎる。俺はただの相談役。会話して、性欲処理に付き合って、その合間にちょっとした恋人ごっこを楽しめるだけで良しとしなければ。
それを続ける為ならばちょっとした意地悪も許せるし、いやらしい身体は悦んでしまう。
だがそれを社長が望むならば。できる限り従おうと、俺の為に食事を作る横顔を見ながら思った。
◆
だがこれは、ちょっと、想像以上かもしれない。
「んっ……はぁっ、ヤバ……♡」
俺は出社して早々にトイレの個室へ駆け込む。ジャケットの前を開くとワイシャツの下からぽっちりと存在を主張する膨らみがあった。
あれから暫く、俺は軟膏と絆創膏による調教を完遂した。
毎夜ビデオ通話で取り替えるところを確認され、食事で会った際はトイレで服を開いて見せなくてはならなかった。本当は監視の目を掻い潜る方法は幾つもあったろうが俺はどんなに途中で痒さや触れたい衝動に襲われようが命令を守った。見られる度に勃起して終わった後で自慰する快感が病みつきになっていたのだ。
社長と食事はしても次の日予定があるからとセックスはお預けになっているのがより辛い。その手で最後の1枚を剥がしてもらい「もう明日からやらないでいいですよ」と言われた時は嬉しかったものの、何もせず帰宅した後は女性のもののように大きくなった綺麗なピンク色の乳首を散々弄りながらオナニーした。
社長の為にやったのに、淫乱な身体はそれ以外にも反応する。
「ん……んっ……♡」
毎朝の通勤電車は危険な場所だ。ラッシュの押し合いの際に乳首が擦れるとこんな風に性欲が止まらなくなってしまう。
会社のトイレでオナニーするなんて絶対によくないのに帰るまでなんて待てるはずがない。自分で服の上から突起を弄るが全力で声は押し殺した。
摘んで、潰して、擦って。ちょっと触っただけでよりいっそうそこは膨らんで股間に熱が沸る。竿を取り出して扱きながら乳首を責めるなんて男として情けなさすぎるが萎えるどころか身体は燃える一方だ。
「んぅっ、ん、っ……ぅうンッ♡」
カリカリカリ……ビュルルルルッ!
ヤバイ、ちょっと声出た。絶頂の快感が治まるまで息を殺して周囲の音を探る。遠い所からひっきりなしに足音や扉の開閉する音が聞こえるのはこの時間帯ならではだ。
とりあえずこのトイレ内には誰もいないようで、ほっとしながら吐き出した白濁液の後始末をする。
こんな身体を見られてはいけない。当初恐れていた通りすぐに感じる不便な身体にはなったが受け入れるしかない。
きっとこれが役に立つ日も来るはずだ。この大きな突起を潰しながらセックスしたら恐ろしく気持ちが良いに違いない。
その日が来るまで、いやその日が来ても俺は日常を守らないといけない。
「はーっはーっ♡ ……はぁっ……」
何とか証拠を隠滅すると呼吸を整えてから個室を出る。
大丈夫だ、何食わぬ顔でいれば気付かれることもない。
そう信じて俺は日常へと戻って行った。——少なくとも、戻ろうとはした。
先端部が尻穴に当てがわれた瞬間に潤滑剤のぬめりと冷たさをまず感じるが、すぐに肉を割られ質量が突き進んで来る圧迫感に支配された。
「ぅっ、ぐぅっ……!」
「はぁっ、締まりすご……神河さん、お尻に力入れて、力んでください」
「っ? んっ……あっあっ……♡」
今回も大量に出した後とは言え、前回のような下しまくってゆるゆるの状態ではない。その上指で解されてもいないとなれば相応の痛みと異物感がある。
反射的に強く食い締めてしまっていたが、言われた通りにすると逆に尻穴が開いて肉棒が奥へと進んだ。太い便を排泄する時に力むと括約筋が緩むので同じ原理ということに後から思い至るが、社長の妙な慣れに深淵を覗き込むような気分だった。
俺もアナニーをしていて多少の知識はあるが、彼は明らかに実践慣れしている。この顔と経歴だから女性は飽きる程近寄って来ただろうが、男性相手の経験もきっとゼロじゃない、気がする。
それにほんの少しイラッと来てしまうなんてよくない。今社長は俺の虜なんだからそれでいいじゃないか。
「動きますよ……大丈夫ですか?」
「っは、ぁ……んっ……♡ くる、し……♡」
「でも神河さん、気持ち良さそうな顔してますよ。もっとイイ顔にしたいですね」
「あっ……♡ は、ぅっ……♡」
グチュッ……グチッ……!
恐ろしくゆっくりとして動き幅も少ないピストンは慣れるのには丁度良かったが逆に焦ったさもある。
特に弱い部分に雁首が引っかかるように擦られると心地良さに思わず腰が逃げてしまう。どんなに抑えようとしても身体の奥から勝手に嬌声や喘ぎが湧き出し、俺は枕を掴みながら身を捩った。
段々尻が熱くなってくるのに従って前を擦りたい気持ちも湧いて来る。先程から急ピッチで生産されている精子を出したくて仕方が無い。だが後ろだけで達するにはまだ身体は熟れておらず、半ば無意識で下半身に手を伸ばそうとした。
「ダーメ。イきたいならこのままイってください」
「う……ひどい……っ、あ♡ 出したい、のに……♡」
ジュポッジュポッ……グチュッゴリュッ!
「はぁっ♡ あっ♡ おねが、イきた、イきたいっ♡ ああんっ♡」
どんなに懇願しても両手は頭上でまとめて押さえ付けられており、社長自身も俺の竿に触れてくれない。衝動だけが高まる中で快楽を求めて勝手に腰が揺れ、前立腺を内側から抉られる感覚に脳内がチカチカと瞬いた。
クる。竿を擦る自慰よりも、もっと深く強い感覚に俺は身体を反らせて溺れた。
「あっああああっ♡」
トプットロトロ……
「っく、きっつ……! ン……ッ♡」
ビューッビュルルルル!
視界が真っ白になり、男が得るにはあまりに大きすぎる快楽に酩酊する。白濁液が出たとはいえ尻での絶頂で漏らしたに等しく、射精のような満足感は全く無い。
だが社長の方は俺の肉壺の痙攣で限界を迎えたらしく、気付けば腹の中に熱い液体がぶち撒けられていた。荒い呼吸をしながらもまだ硬さが残っているのは流石と言うべきか。
「……すいません、もう出ちゃいました。でももうちょっと気持ち良くなりましょ。……神河さん、ココってどうですか」
「んっ……あん、まり……」
「自分で弄ったりしてないんですか?」
「して……ないです……」
社長の空いた手が俺の胸に伸びてその頂点を指で擦る。ゾク、と一瞬何かを感じたがきっとただの擽ったさだろう。
明け透けな質問に思わず顔が赤くなったのは半分嘘をついたからだ。
正確には、弄ったこともある、という方が正しい。俺だっていきなり尻にいったわけじゃない。アナニーを始める前、先に手を出したのは乳首の方だった。
だがどれだけ弄ってもあまり気持ち良く感じなかったのと、ここで感じたら危険だという直感がしてやめてしまった。その後アナニーにハマるのだがそちらの方がよっぽどヤバイということに気付いた時にはもう遅かった。快楽の欲求は時に人の判断を誤らせるのだ。
「じゃあやってみましょうか。色んな所で気持ち良くなれた方がいいですよね」
「そう、でしょうか……んっ、ひっ……ッ♡」
クチュッ……チュパッ……
だが時に正しく判断していても為す術が無い時もある。
俺が断るよりも早く、身体を倒した社長が俺の右乳首を咥える。唇で柔らかく食まれながら先端を舌先で刺激され、あるいは歯で甘噛みされ、あるいは唾液をたっぷり纏った舌で全体を捏ね上げられてから強く吸われる。
自分ではできない責め苦をされて身体が震える間、左側は右手で潰すように捏ねられたり摘まれて擦られたり爪でカリカリと引っ掻かれたり弾かれたり、かと思えば触れるか触れないかのフェザータッチで焦らされる。
左手1本で押さえ付けられている両手は無理矢理振り解こうと思えばできただろうが、胸から伝わる未知と既知の感覚に悶えてそれどころではなかった。
その上社長の腰はまだ動いているし、体勢が変わったお陰で下腹部が密着して竿が腹で擦られる。
いけないとわかっていても全ての快楽が繋がってしまう。弄られて赤くなっていく乳首は徐々に神経が剥き出しになっていくような感覚があり、それが気持ち良いと教え込まれる。
無理だ、こんなの耐えられない。
「あひっ……♡ はぁっ、あ、あ゛っ……♡」
「おっと、またイっちゃいそうですか?」
「イく、イっちゃう、全部出る……んあああっ♡」
ドプドプドプッビクビクッ!
遂に待ち望んでいた絶頂を得て、俺は手足の指をギュッと握り締めながら襲い来る快感に悲鳴を上げた。前も後ろも同時に達した法悦は恐ろしく強く、そのまま意識が飛びそうになる。
ようやく勢いよく放たれた精液は俺と社長の腹を汚し、生臭い匂いが朦朧とした中で自分の行いを突き付けてくる。
前回のように半ば無理矢理襲われたわけではない。俺は本質的には俺の意志で社長を求め、性交して達した。
本当にもう後には戻れない事実を感じて俺は手を動かす。社長も拘束を解いて一旦ベッドに両手を着き、未だ挿入はしたまま動きは止めて俺を見下ろしていた。弄られていた乳首は赤く膨らんでいて我ながら妙にエロい。
「……神河さん、どうですか、今の気分は」
社長は薄い笑みを浮かべているがどこか嘲笑的でもあった。嗤っているのは俺にか自分にか、両方なのかまではわからない。
短いとは言え前髪が垂れ下がるこのアングルでの顔を見るのは初めてだ。そもそもこの至近距離で見詰めあったこともない。これなら彼の瞳に映った俺の姿まで見えそうだ。薄暗いから今は無理だが。
俺はすぐに回答ができなかった。気持ち良い、社長が好き、もっとしたい。どれも正しいようで違う気もする。
どんな言葉をもってしても今のこの気持ちを言い表せない気がした。幸福と背徳と慈愛と自暴自棄と欲望と嫌悪が入り混じるとても複雑で静寂に満ちた気持ち。
「…………わからないです」
なので正直にそう答えた。
社長はそれを聞いて笑う。今度は揶揄する色は無く、純粋に眼を細める。
「よかった、僕もです」
「社長も……ですか?」
「ええ、余裕ぶってはいますが、本当はわからないことだらけですよ。……でもひとつ、わかることもあります」
「何ですか?」
「——神河さんのこと、もっとなかせたいです」
「はぁ~~~~……貴方って人は……」
呆れ果てたように振る舞いながらも俺も笑いが込み上げるのを隠し切れなかった。
泣かせたいのか、鳴かせたいのか。多分両方なのだろう。
元より歪な欲望で結ばれた縁だ。ならば今後も歪なまま進むのもまたいいのかもしれない。
その被害に遭うのは俺なのだが、俺もまたおかしいのはわかっている。
需要と供給が相互に合致するなら、それに従うのがWin-Winってなもんだろう。
俺は彼の背に手を回した。俺よりは大きくて頼れる身体だ。それを引き寄せて胸と胸を重ねればどちらの物かわからない心音が響く。
そして弄られて敏感になった乳首も擦れてまた身体が反応する。
これでいい。恐ろしく俗物な俺が美しい彼に触れる理由なんて、自分本位で下品であるべきだ。
「……最後までちゃんとやってくださいね」
「……っ、はい!」
今度は俺が社長の耳元で囁くと、息を呑んだような一拍を置いてからやたらと威勢の良い返事が返って来た。
難しく考える必要は無い。ベッドの上なんだから、互いに欲望を貪り合えばいい。
……そうは思ったものの、少々焚き付ける相手を間違えたかもしれない。
「あ゛っ♡ あ゛んっ♡ しゃちょ、ま゛っ♡ 待って、今イったばっかで、ああ゛んっ♡」
「待てないです。こっちも、もうイきそう、なんで……!」
ズゴッズゴッバチュンバチュンパンパンパンッ!
「あ゛ーっ♡ 無理っ♡ もう無理っ♡ 乳首やらぁっ♡ もう出ないのにっ♡ ひあああ゛あ゛ッ♡」
ビクビクビクビクッ! ……プシャッ!
あれからどれぐらい経っただろう、俺は社長に犯されまくった。
最初に出した白濁液をタオルで拭われた後で竿にゴムを付けられて、体位を変えながら何度も何度もピストンされる。同時に乳首を弄られ竿を扱かれたら耐えられるわけがなく、あれ程生産されていた精液も空になったが更に責め苦が続いた。もちろんたっぷり中出しもされて腹が重い。
後ろでは何回も達しているのに前から出したくても何も出せない苦しさの末、俺は遂に透明な液体を噴いた。それが男の潮と気付かないまま快楽と疲労のあまり気を失う。
——気付いた時には夜は明けていた。
また後始末をやってもらったようで、身体は綺麗になっているが乳首に張られた絆創膏だけが異様だ。しかも何だかムズムズする。
隣に社長はおらず、代わりに枕元には綺麗に畳まれたトレーナーやジャージが置かれていた。泊まりを期待していると思われたくなくて着替えは持って来なかったのだが向こうは準備がいい。と言っても俺は社長より少し身長が低いぐらいでほとんど同じサイズだから適当に部屋着を見繕って貸し出しただけかもしれない。
今日は2人共休日だから時間に追われることも無いはずだが家主の姿が見えないと不安になる。しかも棚に置かれている時計を見るともう昼に近い時間だ。
慌ててリビングに行くとテーブルで新聞を広げつつマグカップを傾ける優雅な姿があった。
「あ、おはようございます」
「おはようございます……ごめんなさい起きるの遅くて」
「いえいえいいんですよ、昨日はお疲れだったでしょうから。身体の具合はどうですか?」
「筋肉痛……ぐらいですかね。でも何か絆創膏貼られてるんですけど、何ですかコレ」
一番心配な腹具合は空腹なのもあってか今のところ音沙汰が無い。筋肉痛は予兆を感じるぐらいで本格的に来るのは明日以降だろうがそれもいい。
問題は胸だと指差しながら問うと、社長は悪戯っぽくクスクス笑った。
「保護兼開発……ですかね」
「は……?」
「昨日のそのままだと服に擦れる度に大変なことになっていたでしょうから、それを防ぐ為というのがひとつ。あと、毎日軟膏塗ってると完璧にイイ物になるらしいので試そうかと」
「俺の身体を何だと思ってるんですか!」
「大切で愛おしいと思っていますよ」
完璧な笑顔でそんなことを言うんじゃない。間違ってはないのかもしれないが腑に落ちない。
俺もそのやり方は聞いたことがあるし何なら試したが数日で痒くなって諦めた。だがこの男相手だと何だかんだ続けさせられる気がする。
ただでさえ排泄で快感を得てしまう時があるのに、胸まで感じるようになってしまったらどうなるのだろう。恐怖と不安と仄かな不安で身が震える。
「さて、お昼は楽に済ませようと思いますが、トーストとウインナー、それから目玉焼きとスクランブルエッグのどちらがいいですか?」
「……目玉焼きで」
「了解です。昨日の続き見ながら食べましょっか」
社長が立ち上がってキッチンに向かう。何気無い会話も、同居してるみたいだ、なんて思ったら急に胸が切なくなる。
幾らなんでもそれは高望みすぎる。俺はただの相談役。会話して、性欲処理に付き合って、その合間にちょっとした恋人ごっこを楽しめるだけで良しとしなければ。
それを続ける為ならばちょっとした意地悪も許せるし、いやらしい身体は悦んでしまう。
だがそれを社長が望むならば。できる限り従おうと、俺の為に食事を作る横顔を見ながら思った。
◆
だがこれは、ちょっと、想像以上かもしれない。
「んっ……はぁっ、ヤバ……♡」
俺は出社して早々にトイレの個室へ駆け込む。ジャケットの前を開くとワイシャツの下からぽっちりと存在を主張する膨らみがあった。
あれから暫く、俺は軟膏と絆創膏による調教を完遂した。
毎夜ビデオ通話で取り替えるところを確認され、食事で会った際はトイレで服を開いて見せなくてはならなかった。本当は監視の目を掻い潜る方法は幾つもあったろうが俺はどんなに途中で痒さや触れたい衝動に襲われようが命令を守った。見られる度に勃起して終わった後で自慰する快感が病みつきになっていたのだ。
社長と食事はしても次の日予定があるからとセックスはお預けになっているのがより辛い。その手で最後の1枚を剥がしてもらい「もう明日からやらないでいいですよ」と言われた時は嬉しかったものの、何もせず帰宅した後は女性のもののように大きくなった綺麗なピンク色の乳首を散々弄りながらオナニーした。
社長の為にやったのに、淫乱な身体はそれ以外にも反応する。
「ん……んっ……♡」
毎朝の通勤電車は危険な場所だ。ラッシュの押し合いの際に乳首が擦れるとこんな風に性欲が止まらなくなってしまう。
会社のトイレでオナニーするなんて絶対によくないのに帰るまでなんて待てるはずがない。自分で服の上から突起を弄るが全力で声は押し殺した。
摘んで、潰して、擦って。ちょっと触っただけでよりいっそうそこは膨らんで股間に熱が沸る。竿を取り出して扱きながら乳首を責めるなんて男として情けなさすぎるが萎えるどころか身体は燃える一方だ。
「んぅっ、ん、っ……ぅうンッ♡」
カリカリカリ……ビュルルルルッ!
ヤバイ、ちょっと声出た。絶頂の快感が治まるまで息を殺して周囲の音を探る。遠い所からひっきりなしに足音や扉の開閉する音が聞こえるのはこの時間帯ならではだ。
とりあえずこのトイレ内には誰もいないようで、ほっとしながら吐き出した白濁液の後始末をする。
こんな身体を見られてはいけない。当初恐れていた通りすぐに感じる不便な身体にはなったが受け入れるしかない。
きっとこれが役に立つ日も来るはずだ。この大きな突起を潰しながらセックスしたら恐ろしく気持ちが良いに違いない。
その日が来るまで、いやその日が来ても俺は日常を守らないといけない。
「はーっはーっ♡ ……はぁっ……」
何とか証拠を隠滅すると呼吸を整えてから個室を出る。
大丈夫だ、何食わぬ顔でいれば気付かれることもない。
そう信じて俺は日常へと戻って行った。——少なくとも、戻ろうとはした。
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白銀奏斗(攻):勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
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