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クロノス編
選びし道
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ガルドルとの戦いから1週間余りが経とうとしていた。
あれからガルドルはずっと睡眠に陥っており、目を覚ます気配が無かった。
ハッターとグリーエンスはガルドルの治療に専念している。
そして俺かと言えば・・・。
「あーつーい!!」
「男なんだから我慢しろよ」
「だってよー!!」
勲と共にアドベンチャーワールドに来ている。
あれからハッターから聞いた話だと・・・。
「回胴勲はお前と同じく迷い人だ」
「いや、それは知ったんだけど何でドライバーを持ってんだよ?」
ガルドルを始めとした怪我人を病院に搬送した後、俺とハッターはそんな会話をしていた。
「回胴もまた、ドライバーの適合があったのだ。だが、お前のようにエリミラルダに選ばれてこの地に立っている訳ではなかった」
「・・・待てよ、エリミラルダに選ばれない限りここには来れないだろ?」
「選ぶにも種類があるのよ」
治療を終えたエリーがそこに現れた。
致命傷、とまではいかなかったが重症だったようだ。
あのリーリアスとかいう奴のエレメントの力、相当なもんらしいな・・・。
「エリミラルダの話だっけ?」
「そうよ。エリミラルダに選ばれるのは主に二種類あるって言われてるわ。一つは人生をこの鏡世界で過ごす事。そしてもう一つは私達みたいにエリミラルダから使命を持たされてこの世界に訪れる事よ」
「エリーもあったのか?その、使命ってのが」
「えぇ。私の場合は最初にこの世界に来た人間の手助けよ。そして友輝はこの世界を変える、あのダーニアンを倒す事だと思うわ」
「へぇ、知らんかった。それだと、勲は前者だったってことか」
「そうだ。だが、ドライバーの適合というのはエリミラルダの使命とは関係が無かった。勲は自らの運命を自らで変えた、という訳だ。まぁ、戦いの運命という残酷なものだがな」
「それはそうだけど、その結果俺達が助かった」
「あぁ、そういう事だ」
なるほど、と頷く。
まぁ、結果としては俺達からしたら良かったかもしれない。
「一段落付いたみたいだよ」
奥からグリーエンスと勲もエントランスに到着した。
ガルドルも相当ダメージを負っていたようで、今も意識を失っている状態らしい。
「それじゃ、一度僕はマジックワールドに戻るとするよ」
「大師父様、有難う御座います」
「礼には及ばないよ。こうして全員生きていた事は結果として予言を覆したようだからね。エリー、少し落ち着いたらマジックワールドに来てくれよ。今回の件を女王に話しておくから」
「わかりました!」
マジックワールドの女王、か。
いつか会えるのかな。
「友輝、お前暇だろ?なら付き合えよ!」
「は?男と付き合う趣味はねーけど」
「ちげーよ!俺がアドベンチャーワールドを案内してやるって事だよ!」
あ、そういう事か。
確かに、別の世界を経験しておくのは悪い事じゃないな。
「行くか、アドベンチャーワールドに!」
「その意気だぜ!」
という流れがあり、俺は今絶賛ジャングルの中を歩いていた。
まさかワープホールの先にジャングルがあるってのは驚いたが、それよりも民族すら会わないなんてのはまさに秘境の地、という訳だ。
「おっ、見えてきてぜ」
勲が指差した方向には海があり、そして一隻の船がある。
あれは・・・海賊?
「待ってたぜ、勲」
沿岸から出てきたのは、如何にもらしい海賊達だ。
「おっ、コイツが新しい迷い人か?」
「あぁ、天野友輝ってんだ。宜しくな」
「よ、宜しく!」
「おうよ!俺ぁこの海賊団の船長、キャプテン・ハイグってもんだ。宜しく頼むぜ」
俺は初めて出会った海賊と握手を交わし、そのまま海賊船へ案内された。
どうやら勲は海賊や部族の集落を転々として生活をしているらしい。
そして今回向かう集落というのが面倒な島にあるらしく、この海賊達の力を借りるとの事だ。
海の上、というものにあまり経験がなく俺は踊る気持ちで船内を見て回った。
「そういや友輝はどれくらいの時期でここに来たんだ?」
「あー、大体2018年位だったかな?」
「おっ、じゃあ近いんだな」
勲は俺に飲み物を渡して俺の死亡した時期を聞いてきた。
やっぱり、なんだかんだ近いもんなんだな。
「勲はどうして自殺したんだ?」
「元は格闘家でな、知る人ぞ知る、ってくらいまで強くなったんだ」
やっぱり、という気持ちとへぇ、という関心が出てしまう。
あの身のこなし方は経験者だと俺は感じていた。
「だけどな、戦えない身体になっちまって生きる希望を無くしたんだ。それで首吊って死んだ。次に目を覚ました時にはバザールの門の前って訳さ」
「・・・そうか」
「お前は?」
「俺は・・・生きるのが嫌になったんだ。どんなに生きても、絶対にいい事が無いって思ってな。だから飛び降りたよ」
「・・・なるほどな」
この話をすると皆暗くなってしまう。
でも、感じるのはエリーや勲と比べ、俺が自殺した理由なんて薄っぺらい事だ。
だから、この世界があるのかも知れない。
自殺者を生かすんじゃなく、自分が自殺した理由を本当は回避できたんじゃないかって思わせる為に。
「そういえば他の迷い人っていないのか?」
「見た事ねえんだよ、これが。一番長くいるエリーはあるみたいだが、ここ数年で一気に数が減っているらしい。寧ろ、ここに残っている人間こそ変人って分類みたいだな」
・・・消滅を選ぶ、か。
でもまぁ、殆どの人間がそうなのかもしれない。
自殺した人間は何かを成し遂げようとしてもできなかった。
しかもこんな右も左も分からないなら尚更だ。
「おっ!見えてきたぞ!!」
目の前の島を勲が示した。
見た感じ、かなり巨大な島だ。
「彼処、かなり危険だから気をつけろよ?しかも噂だと六騎聖が彷徨いてるって話だ」
・・・六騎聖!
なら、見過ごす訳にもいかないな。
船から小舟に移り変わり、勲がバザールで揃えた荷物を運ぶ。
沿岸に到着し、荷物を背負って森の中に入った。
やはりジメジメした気候のせいか、汗が滴っている。
そして歩く事数十分後、開けた空間に辿り着く。
そこはある部族が生活をしている集落だ。
「おつかれさん!」
「ホントだよ」
俺は口を尖らせながら渡された水を飲み込む。
集落の子供達は皆、勲の元へと走り込んでいる。
勲も勲で、あれだけ歩いてもまだ体力があるようだ。
少し休んだ後、俺達は集落のリーダーから呼び出され一番大きなテントの中に入っていく。
そしてそこには数人の部落の人間がおり、俺と勲はそれぞれ隣の場所に胡座を掻いた。
「勲、そこの者が・・・」
「あぁ、恐らくブリアン族の預言者が唱えた救世主になり得る者だろうな」
「・・・そうか。名を何と言う?」
「天野、友輝です」
「友輝か。よろしく頼むぞ」
「はい」
「それで、この島で何が起きてるんだ?」
「そうだったな。この島には恐竜、と呼ばれる生物が住んでいるのは知っているな?」
・・・マジかよ。
あの恐竜がここにいて、そんな所に住んでるのかよ。
余程の危険知らずって訳だな。
「最近になり、恐竜達がざわついている。その理由は六騎聖の一人、リーリアスがここに来ている。我々の者が一人偵察に行き、その目で奴を捉えた」
「リーリアスが・・・!!」
「どうやらここで俺達を迎え撃つつもりだったみたいだな。だけど俺達が思った以上早く来ている、という状況だな)
「そのようだな。奴はエレメントを利用し、最強の恐竜を精製しようとしている」
「それは危険だろ!!止めないと!!」
「そうだな・・・ここの生態系が狂う行いだな」
「佐用。詳しい場所も特定している。勲と友輝にはリーリアスを倒して貰いたいのだ」
願ってもないチャンスだ。
受けよう、と答えようとした時だった。
勲が首を横に振った。
「何故だ!?」
「確かに俺達しか倒せないが、こればかりは手出しができない」
「何でだよ!!」
「この世界にはこの世界のルールってのがあんだよ。もし仮にリーリアスに俺達が手を出せば、この部族はここに存在できなくなるんだ」
その言葉に部族のリーダーは口を閉じた。
・・・なんだよ、それ。
「それじゃ、この人達は滅びるのを待つしかないって事か?」
「・・・何もしなければ、な」
「あんまりにも不条理だろ!?何で、何でここの人間達が巻き込まれなくちゃいけないんだ!!」
「そういう喧嘩をしてんだよ!!俺達は!!連中は何も知らないお前が攻撃をしてくるタイミングでここの人間を人質に取るつもりだ!!それにもし、俺達が応じなくとも新種の恐竜に殺される!!」
「それじゃ助けるべきだろ!!そもそも、何でこの人達が消えるんだよ!?」
「この世界の出来事はこの世界の住人でなければ解決してはいけないんだ!!俺達迷い人はその際どい線を字で歩いてる。俺は現に消えていく部族を見た事もある!!」
・・・だからか。
だから、マジックワールドは外部の人間や魔術師を入れたがらない。
いや、入る事を許しいていない。
それはもしもその人間が自身の世界にとって有益な事をしてしまえば自分達が滅んでしまうからたま。
テクノワールドやバザールはそうしたとしてもあまりダメージが存在しないし、場合によっては被害を起こさない事も可能である。
だが、この世界はそうじゃない。
「なら、俺がしようとしてる事に意味はあるのかな・・・」
「いや、それは・・・」
「俺がこの世界を救ったとしても、この世界が残ってるって保証が何処にあるんだよ!俺達がしようとしてる事ってのはそういう事じゃねえのかよ!!」
「・・・そうだ、そうだと俺も気付いていた。いや、ハッターや他の連中もだ」
「ここまで来てこれかよ・・・」
「でもよ、何でキングダムのダーニアンがそれをやろうとしていると思う?」
「・・・まさか、いやでもそれなら確かに辻褄が合う」
「そうだ。ダーニアンも俺達と同じ迷い人だったんだ。だが、奴は身分を隠して王宮に近付き、今の地位を手に入れたんだ。なら、俺達のやる事は一つだ。連中を止められるのは俺達しかいない」
「・・・それなら、リーリアスを止める理由もそれだったら問題が無いってことだよな」
俺は立ち上がる。
それが分かったなら、迷いは要らない。
あれからガルドルはずっと睡眠に陥っており、目を覚ます気配が無かった。
ハッターとグリーエンスはガルドルの治療に専念している。
そして俺かと言えば・・・。
「あーつーい!!」
「男なんだから我慢しろよ」
「だってよー!!」
勲と共にアドベンチャーワールドに来ている。
あれからハッターから聞いた話だと・・・。
「回胴勲はお前と同じく迷い人だ」
「いや、それは知ったんだけど何でドライバーを持ってんだよ?」
ガルドルを始めとした怪我人を病院に搬送した後、俺とハッターはそんな会話をしていた。
「回胴もまた、ドライバーの適合があったのだ。だが、お前のようにエリミラルダに選ばれてこの地に立っている訳ではなかった」
「・・・待てよ、エリミラルダに選ばれない限りここには来れないだろ?」
「選ぶにも種類があるのよ」
治療を終えたエリーがそこに現れた。
致命傷、とまではいかなかったが重症だったようだ。
あのリーリアスとかいう奴のエレメントの力、相当なもんらしいな・・・。
「エリミラルダの話だっけ?」
「そうよ。エリミラルダに選ばれるのは主に二種類あるって言われてるわ。一つは人生をこの鏡世界で過ごす事。そしてもう一つは私達みたいにエリミラルダから使命を持たされてこの世界に訪れる事よ」
「エリーもあったのか?その、使命ってのが」
「えぇ。私の場合は最初にこの世界に来た人間の手助けよ。そして友輝はこの世界を変える、あのダーニアンを倒す事だと思うわ」
「へぇ、知らんかった。それだと、勲は前者だったってことか」
「そうだ。だが、ドライバーの適合というのはエリミラルダの使命とは関係が無かった。勲は自らの運命を自らで変えた、という訳だ。まぁ、戦いの運命という残酷なものだがな」
「それはそうだけど、その結果俺達が助かった」
「あぁ、そういう事だ」
なるほど、と頷く。
まぁ、結果としては俺達からしたら良かったかもしれない。
「一段落付いたみたいだよ」
奥からグリーエンスと勲もエントランスに到着した。
ガルドルも相当ダメージを負っていたようで、今も意識を失っている状態らしい。
「それじゃ、一度僕はマジックワールドに戻るとするよ」
「大師父様、有難う御座います」
「礼には及ばないよ。こうして全員生きていた事は結果として予言を覆したようだからね。エリー、少し落ち着いたらマジックワールドに来てくれよ。今回の件を女王に話しておくから」
「わかりました!」
マジックワールドの女王、か。
いつか会えるのかな。
「友輝、お前暇だろ?なら付き合えよ!」
「は?男と付き合う趣味はねーけど」
「ちげーよ!俺がアドベンチャーワールドを案内してやるって事だよ!」
あ、そういう事か。
確かに、別の世界を経験しておくのは悪い事じゃないな。
「行くか、アドベンチャーワールドに!」
「その意気だぜ!」
という流れがあり、俺は今絶賛ジャングルの中を歩いていた。
まさかワープホールの先にジャングルがあるってのは驚いたが、それよりも民族すら会わないなんてのはまさに秘境の地、という訳だ。
「おっ、見えてきてぜ」
勲が指差した方向には海があり、そして一隻の船がある。
あれは・・・海賊?
「待ってたぜ、勲」
沿岸から出てきたのは、如何にもらしい海賊達だ。
「おっ、コイツが新しい迷い人か?」
「あぁ、天野友輝ってんだ。宜しくな」
「よ、宜しく!」
「おうよ!俺ぁこの海賊団の船長、キャプテン・ハイグってもんだ。宜しく頼むぜ」
俺は初めて出会った海賊と握手を交わし、そのまま海賊船へ案内された。
どうやら勲は海賊や部族の集落を転々として生活をしているらしい。
そして今回向かう集落というのが面倒な島にあるらしく、この海賊達の力を借りるとの事だ。
海の上、というものにあまり経験がなく俺は踊る気持ちで船内を見て回った。
「そういや友輝はどれくらいの時期でここに来たんだ?」
「あー、大体2018年位だったかな?」
「おっ、じゃあ近いんだな」
勲は俺に飲み物を渡して俺の死亡した時期を聞いてきた。
やっぱり、なんだかんだ近いもんなんだな。
「勲はどうして自殺したんだ?」
「元は格闘家でな、知る人ぞ知る、ってくらいまで強くなったんだ」
やっぱり、という気持ちとへぇ、という関心が出てしまう。
あの身のこなし方は経験者だと俺は感じていた。
「だけどな、戦えない身体になっちまって生きる希望を無くしたんだ。それで首吊って死んだ。次に目を覚ました時にはバザールの門の前って訳さ」
「・・・そうか」
「お前は?」
「俺は・・・生きるのが嫌になったんだ。どんなに生きても、絶対にいい事が無いって思ってな。だから飛び降りたよ」
「・・・なるほどな」
この話をすると皆暗くなってしまう。
でも、感じるのはエリーや勲と比べ、俺が自殺した理由なんて薄っぺらい事だ。
だから、この世界があるのかも知れない。
自殺者を生かすんじゃなく、自分が自殺した理由を本当は回避できたんじゃないかって思わせる為に。
「そういえば他の迷い人っていないのか?」
「見た事ねえんだよ、これが。一番長くいるエリーはあるみたいだが、ここ数年で一気に数が減っているらしい。寧ろ、ここに残っている人間こそ変人って分類みたいだな」
・・・消滅を選ぶ、か。
でもまぁ、殆どの人間がそうなのかもしれない。
自殺した人間は何かを成し遂げようとしてもできなかった。
しかもこんな右も左も分からないなら尚更だ。
「おっ!見えてきたぞ!!」
目の前の島を勲が示した。
見た感じ、かなり巨大な島だ。
「彼処、かなり危険だから気をつけろよ?しかも噂だと六騎聖が彷徨いてるって話だ」
・・・六騎聖!
なら、見過ごす訳にもいかないな。
船から小舟に移り変わり、勲がバザールで揃えた荷物を運ぶ。
沿岸に到着し、荷物を背負って森の中に入った。
やはりジメジメした気候のせいか、汗が滴っている。
そして歩く事数十分後、開けた空間に辿り着く。
そこはある部族が生活をしている集落だ。
「おつかれさん!」
「ホントだよ」
俺は口を尖らせながら渡された水を飲み込む。
集落の子供達は皆、勲の元へと走り込んでいる。
勲も勲で、あれだけ歩いてもまだ体力があるようだ。
少し休んだ後、俺達は集落のリーダーから呼び出され一番大きなテントの中に入っていく。
そしてそこには数人の部落の人間がおり、俺と勲はそれぞれ隣の場所に胡座を掻いた。
「勲、そこの者が・・・」
「あぁ、恐らくブリアン族の預言者が唱えた救世主になり得る者だろうな」
「・・・そうか。名を何と言う?」
「天野、友輝です」
「友輝か。よろしく頼むぞ」
「はい」
「それで、この島で何が起きてるんだ?」
「そうだったな。この島には恐竜、と呼ばれる生物が住んでいるのは知っているな?」
・・・マジかよ。
あの恐竜がここにいて、そんな所に住んでるのかよ。
余程の危険知らずって訳だな。
「最近になり、恐竜達がざわついている。その理由は六騎聖の一人、リーリアスがここに来ている。我々の者が一人偵察に行き、その目で奴を捉えた」
「リーリアスが・・・!!」
「どうやらここで俺達を迎え撃つつもりだったみたいだな。だけど俺達が思った以上早く来ている、という状況だな)
「そのようだな。奴はエレメントを利用し、最強の恐竜を精製しようとしている」
「それは危険だろ!!止めないと!!」
「そうだな・・・ここの生態系が狂う行いだな」
「佐用。詳しい場所も特定している。勲と友輝にはリーリアスを倒して貰いたいのだ」
願ってもないチャンスだ。
受けよう、と答えようとした時だった。
勲が首を横に振った。
「何故だ!?」
「確かに俺達しか倒せないが、こればかりは手出しができない」
「何でだよ!!」
「この世界にはこの世界のルールってのがあんだよ。もし仮にリーリアスに俺達が手を出せば、この部族はここに存在できなくなるんだ」
その言葉に部族のリーダーは口を閉じた。
・・・なんだよ、それ。
「それじゃ、この人達は滅びるのを待つしかないって事か?」
「・・・何もしなければ、な」
「あんまりにも不条理だろ!?何で、何でここの人間達が巻き込まれなくちゃいけないんだ!!」
「そういう喧嘩をしてんだよ!!俺達は!!連中は何も知らないお前が攻撃をしてくるタイミングでここの人間を人質に取るつもりだ!!それにもし、俺達が応じなくとも新種の恐竜に殺される!!」
「それじゃ助けるべきだろ!!そもそも、何でこの人達が消えるんだよ!?」
「この世界の出来事はこの世界の住人でなければ解決してはいけないんだ!!俺達迷い人はその際どい線を字で歩いてる。俺は現に消えていく部族を見た事もある!!」
・・・だからか。
だから、マジックワールドは外部の人間や魔術師を入れたがらない。
いや、入る事を許しいていない。
それはもしもその人間が自身の世界にとって有益な事をしてしまえば自分達が滅んでしまうからたま。
テクノワールドやバザールはそうしたとしてもあまりダメージが存在しないし、場合によっては被害を起こさない事も可能である。
だが、この世界はそうじゃない。
「なら、俺がしようとしてる事に意味はあるのかな・・・」
「いや、それは・・・」
「俺がこの世界を救ったとしても、この世界が残ってるって保証が何処にあるんだよ!俺達がしようとしてる事ってのはそういう事じゃねえのかよ!!」
「・・・そうだ、そうだと俺も気付いていた。いや、ハッターや他の連中もだ」
「ここまで来てこれかよ・・・」
「でもよ、何でキングダムのダーニアンがそれをやろうとしていると思う?」
「・・・まさか、いやでもそれなら確かに辻褄が合う」
「そうだ。ダーニアンも俺達と同じ迷い人だったんだ。だが、奴は身分を隠して王宮に近付き、今の地位を手に入れたんだ。なら、俺達のやる事は一つだ。連中を止められるのは俺達しかいない」
「・・・それなら、リーリアスを止める理由もそれだったら問題が無いってことだよな」
俺は立ち上がる。
それが分かったなら、迷いは要らない。
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