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鍵を開けし者≠鍵を締めし者
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ー都内某所ー
「たっくよー!何でこうなったんだよ!!」
海城巧『カイジョウタクミ』は仕事道具を持ち、新宿の街を爆走していた。
そして後を追うのは顔面強面の男達。
何が起きた、というよりも嵌められた、と言う方が正しい出来事だった。
数日前。
彼の仕事場に訪れた一人の男がいる。
その男はあるビルの金庫の鍵を開けてほしい、と頼み込んできた。
なんでも、自分が所有する金庫だが開けられなくなったそうだ。
依頼金もかなりの額だったので、金欠状態だった巧は快諾した。
そして今日がその当日。
鍵を開けている最中、男が突然外に出ていき不審だと感じた。
その矢先、鍵が空いたタイミングでビルの本来の所有者が姿を見せたのだ。
ビルの一室は確かに見た感じヤクザの事務所チックだった。
だが、本当にヤクザが出てくるとは思ってもなかった。
しかも、彼が開けた金庫はそのヤクザのものだったらしく巧は慌ててその場を逃げる。
ヤクザもメンツがあるので彼の後を追う。
そして現在に至る、という流れだ。
「ふっざけんな!あんなんなら依頼されても断るべきだったー!!」
訳を話せば・・・と後ろを振り返るが、完全に表情は自分を殺しに来てる、と判断する。
あ、これは死んだと判断し速度を緩めずに走り切る。
その様子を、一人の男が見ていた。
この街でヤクザに追われている人間を見るのは珍しくない。
だが、青年の表情を見るからに悪さを働いた、とは考え難い。
「少し待っててくれ」
彼はヤクザの前に入る。
「あんだテメェ!!とっととそこを退け!!」
巧も足を止め、自分とヤクザの間に入った男を見る。
スーツ姿だが、服の上からでも分かる。
多分だが、この人は鍛えてる。
この街にいればその人が鍛えているのかどうかは判断できる。
人ととなりまでは判断できないけど。
「少しは話だけでも聞いてやるのはできないのか?」
「それをすんのにもそのガキが逃げてんだからこうして追ってんじゃねえか!!」
「なる程。なら、この場で話せ。何かあれば俺が守ってやる」
巧は男にそう言われ、ここまでの経緯を話す。
ヤクザは勘繰っているが、男はなる程、と答える。
「と、言う訳だがどうだ?その男とやらを捕まえた方がいいんじゃないか?」
「でも、俺その男の素性知らねえっすよ?」
「そこのヤクザの組長さんがうちに依頼すれば調べてやる」
名刺を一枚ヤクザの一人に渡す。
そこには『瀬上セキュリティ』、と書かれていた。
しかも役職は代表取締役社長、と。
「少し待ってろ」
ヤクザは携帯を取り出し、組長に連絡しているようだった。
瀬上セキュリティ、は巧でも知ってる企業だ。
あらゆる顧客であろうと完璧に守り、果ては人探しまできっちり、鍵を締めるように仕事を行うこと有名だ。
裏の人々でも少しはその名前を知っている程である。
「組長から許可が出たが、もし調べがつかなかったらそこのガキに責任取らせるってよ」
「そうか。なら、すぐに仕事に掛かろう」
男は携帯で連絡を取る。
「俺だ。すぐに調べて欲しいことがある。数日前にこの・・・」
「海城鍵屋です!」
「海城鍵屋周辺に入った男を調べろ。あぁ、頼んだぞ」
簡単な遣り取りだけで通話を終えた。
「これからは俺が窓口になる。そこの青年に手を出せばうちに喧嘩を売る、ということになるからな」
「わーってるよ。一応お前の連絡先も教えろ」 そう言われ、巧は携帯を取り出しヤクザと連絡先を交換した。
「俺は畑山組の加賀美ってもんだ。まぁ、その男とやらが見つかるまでの間だが宜しく頼むぞ」
「俺は瀬上悠馬『セガミユウマ』だ。そっちは?」
「海城巧、です」
「また連絡する。絶対出ろよ」
そう言われ、ヤクザは加賀美さんが連れて何処かへ去ってしまう。
そこに取り残されたのは巧と悠馬のみだった。
「災難だったな、海城君」
「いえ、助けてくれて有難う御座います」
「いいんだ。次は真っ当な依頼を受けるんだな。名刺だけ渡しておく。連絡先はさっきのでいいか?」
「はい。本当に有難う御座います!」
巧は深々と頭を下げ、悠馬はその場を後にした。
「社長!あんな揉め事に首を突っ込まなくとも・・・」
「少しだけ可哀想だったからな。大目に見ろ」
社用車に乗り込み、悠馬は部下にそう言う。
部下ははぁ、と溜め息を吐いた。
「いいんですけど、何かあったら俺の責任なんですから」
「そうならないようにするのがお前だろうが。早く車を出せ」
「はいはい」
そう言われ、悠馬を乗せた車は走り出した。
巧は変わった人だな、と思いながら名刺を見る。
瀬上さん、か。と頭の中で呟く。
まるで自分とは正反対の、大人の男という印象だった。
あんなに鮮やかにヤクザを振り払うのは相当な手練だと感じた。
事務所に戻ると、そこには一人の女性が待っているのを発見した。
「涼花!何勝手に入ってんだ!」
「えー、いいじゃん」
三木下涼花『ミキシタスズカ』は笑いながら誤魔化すが、そうはいかない。
鍵屋が簡単に侵入されたら世話無いのだから。
「ところで、大丈夫だったの?今日の仕事」
「あー、追い掛け回された」
「だから言ったじゃん!危ないって!!」
涼花は巧の幼馴染で、この仕事を始める事は反対をしていた。
こんな危険があるから、と言っていたのを思い出す。
「これからは気をつけるよ」
そう言い、仕事道具を片付ける。
涼花は少しだけ呆れた表情で巧を見た。
「気をつける、って言ってもそんなのが多かったら心配になるよ」
「べっつにお前の心配なんかいらないっての。お母さんかよ」
「うっさい!」
作業台の上を見ると、知らない荷物があった。
差し出し人は書いてない。
「何だ?これ」
「あ、それなんか置いてあったよ。入り口にあったから中に入れたけど。なんか、妙じゃない?」
確かに、と巧は感じる。
荷物を開けてみると、中には見たことない機械と鍵が入っていた。
「何、これ?」
「さぁ・・・?」
昼間の出来事を思い出す。
あの青年を助けなければならない、という心情で動いてしまった。
「彼は何者なんだ・・・?」
携帯に連絡が入り、悠馬は出る。
昼間に依頼したヤクザの事務所の金庫を海城巧に開けさせた男の件だ。
「どうだった?」
『えぇ、見つかりました。名前は高山総司『タカヤマソウジ』。都内に住んでいます』
「そうか。済まないな」
『えっと、一個問題があって・・・」
その時、自身の部屋の扉からノック音が聞こえた。
「後で折り返す」
そう言い、通話を終了する。
入ってきたのは秘書であった。
「社長、お荷物です」
「俺宛?」
「はい。ですが、差出人不明のお荷物で・・・」
秘書が持っていた荷物を受取り、悠馬は中身を確認する。
「なんだ?」
悠馬の元にも、謎の機械と鍵が届く。
不審がるが、悠馬は何故かそれを保管しようと判断した。
そして先程の部下に連絡を再度取る。
「悪いな、話の途中で」
『いえ、それでこの男なんですけど先程死体で発見されました』
ガタッ、と椅子を動かしてしまった。
死亡、だと?
悠馬は耳を疑った。
「何が起きてるんだ・・・?」
不可解な出来事が重なっている。
あの青年の出来事。
依頼人の死亡。
そしてこの箱。
違和感が彼の体を駆け巡った。
この一連の事件は仕組まれたのか?
いや、それにしては都合が良過ぎる。
違和感の正体をつかないまま、その日は終わろうとしていた。
ある場所で、一人の男は『それ』を眺めていた。
『それ』は鈍い色を放ちながらも、異様な空気を漂わせている。
「もう始まる。『鍵』は渡すべき人間に行き届いた。そして・・・」
『それ』を握った男は妖しく嘲笑った。
「世界が終わる」
次の日の事だった。
巧は悠馬に呼び出され、瀬上セキュリティ本社へと向かっていた。
東京のオフィス街のど真ん中に大きなビルを構えていたそれは初めて入るだろう場所だ。
広いエントランスがあり、受付を通す。
そこで客人用のパスカードを受取り、ビルの内部へ。
案内された会議室には加賀美と悠馬が既に到着していた。
「遅かったな」
「仕事が詰まってたんで終わらせてから来ました」
「それで?社長さん、電話で話した事は本当なんだろうな?」
「あぁ、海城君に依頼した男は既に死体になっていた。金庫の中身は話で聞いた通り、現金で100万円と拳銃を所持していた。それと気になったのは・・・」
プロジェクターで今回の依頼内容と報告書が映されている。
そしてアップされたのはリストのようなものだった。
巧の欄には丸がつけられており、他にも恐らく同業と思われる人物達がリストアップされている。
「実は深く調べてみると、同じような事件が何件かあるそうだ。大金を餌に鍵師を尋ねているのはこの男だけじゃない。他にも数名いるみたいだな」
「まるでテストみたいですね」
「俺も同じ意見だ。鍵師としての実力を測っているようにも伺える」
「だがよ、それじゃうちの親父は納得しねえぜ?鍵を開けられてそれが他の人間の指示でした、なんか笑い話にもならねえな」
「確かにそうだが、判断材料にはなるだろ?」
「・・・まぁ、この中身を小僧が知らなかったってなら問題はねえだろうがな。この話は俺から伝えておく。社長さんには後で礼金を払うつもりだ。それと小僧、悪かったな。これに懲りたら変な野郎の指図は受けんなよ?困った事がありゃ俺が相談に乗ってやるからよ」
加賀美はそれだけ言い残し、会議室を後にする。
その場に残されたのは巧と悠馬のみとなった。
「それじゃ・・・」
「海城君、君にはもう一つだけ聞きたい事がある」
悠馬は昨日届いた機械を巧に見せた。
巧は目を疑った。
それが昨日自分の所に届いたものと全く同じだったからだ。
鍵は一つだけ違えど、他の内容は全く同じである。
「・・・これ、どうしたんですか?」
「わからん。俺の元には差出人不明で届いた。その反応だと、君の元にも届いたようだな」
はい、と巧は慎重に答える。
まさかこれが彼から出てくるとは思ってもなかった。
今回の件と関わりがあるのか、と疑ってしまう。
「いや、分からなければいい。これは俺も調べている最中だ。もし、何か分かれば教えてくれ」
「わかりました」
そう言い、巧も会議室を後にする。
巧を見送った悠馬は宛が外れたか、と考えた。
もしかすれば巧が鍵を握っているのか、と考えたがそれは見当違いであった。
『えー!現場の向井です!あれを見てください!!あれはーーー』
巧は考え事をしながらボーッとテレビを見ていた。
路上から見えるテレビはどうしてニュースなのか、といつも考えている。
今回は現場と中継が繋がっているようだ。
何でも怪物が暴れているらしい。
「世の中不思議な事があるもんだな」
バッグの中からあの機械を取り出す。
隠そうとは思ったが、これが事務所にある事を知られて荒らされるのは勘弁だと思い持っている。
事務所の方向に歩みを進めようとした時、鍵が一本動き出した。
一人でに方向を指している。
「な、なんだ!?」
オカルト現象に脳が反応できず、鍵が向いている方向に走る。
そしてそれは中継現場の近く。
目の前にいるのは、巧の人生の中で一度も出会ったことの無い『怪物』だった。
鍵と同じように何も反応を示さなかった機械が作動し、巧の腰に勝手に装置された。
会議室で黄昏れていると、秘書から連絡が入った。
『社長!テレビを見てください!!』
そう言われ、会議室のモニターをテレビに繋げる。
そこには自分の人生の中で一度も見たことのない生物がテレビの注目を浴びていた。
身長だけで言えば人間と同じだが、その身体は生物と断定するには『卑し』い。
「あれは、何だ?」
テーブルの上に置いていた鍵が揺れる。
バイブ音を聞き取った悠馬は鍵を持ち上げ、揺れが大きくなる方向へと向けた。
「壽子、位置を特定できるか?」
『か、可能ですが・・・。もしかして向かうおつもりですか?!』
「あぁ、すぐ戻る」
機械と数本の鍵を手にし、現場へと向かう為に会議室を飛び出した。
地下駐車場に停めているバイクに携帯をセットし、走らせる。
おそらく、海城君も現場に向かっているだろう、と予測する。
彼が同じ装置を持ち運んでいるのであれば、必ず現場に現れる。
「確かめさせて貰うぞ、違和感の正体を」
現場に到着した頃には辺りにいるのはマスコミだけ。
影から怪物の様子を窺う。
その時、彼が持つ装置が勝手に起動した。
そして、悠馬の腰に勝手に装着される。
巧がこの後、何をしたのかはいまいち記憶に残っていない。
装置が腰に装着された瞬間、勝手に腕が動いた。
装置の右側にある鍵穴にその鍵を装填する。
鍵を撚る。
装置から声が響いた。
『解錠』
巧の姿が変化し、まるで鎧を纏うようにその姿が現れた。
『Unlocker!』
その姿を見せたのは、まるで特撮の主人公のような鎧。
巧は自分の姿を触って確認する。
「うっ、そ!!なんだこれ!?」
慌てながら、現状を把握する。
この姿を見られたのは、マスコミだと思ったが運良くその光景は見られていなかったようだ。
姿を変えた瞬間、怪物が巧に反応する。
唸り声を上げながら、巧の眼前へと迫ってきた。
悠馬は腰に装着された機械を眺めていた。
本能では手に持つ鍵を左側に装填する、という流れだ。
だが、それに逆らう、というよりも従わず機械を観察する。
「仕方ない」
鍵を左側に装填する。
鍵を捻った瞬間だった。
『施錠』
自分の姿が変化していく事が分かる。
おそらくこの機械は自分達が想像もつかない力があるのだろう。
『Rocker』
低い音声が自分の差した鍵の名前を上げる。
Rocker、とは鍵を締めし者、という意味だろう。
「さて、と」
姿を隠したまま、怪物の動向を探る。
怪物は移動していた。
「まさか・・・」
海城君?、と判断した。
外に出ていき、怪物の背後を取る。
怪物は大きな腕を振り上げ、攻撃を仕掛けてくる。
巧は腕でその一撃を防ぎ、そのまま蹴りを喰らわせる。
本来の人間の姿だったらダメージは無いだろう。
だが、変身したお陰なのかダメージを受けている様子だ。
「行ける!」
そのままパンチ、キックと連続で打撃を与えた。
怪物は怯み、そのまま後ろ回転蹴り。
武術にとって一番攻撃力が高い攻撃がこれらしい。
大きな唸り声が上げた瞬間、彼が見たことない攻撃を仕掛けてくる。
それはエネルギーが視覚化され、放たれた一撃。
ビームのように見えたその一撃は身体を貫通する事は無かったが大きなダメージを負ってしまった。
そのまま怪物の追撃があるか、と判断し防御態勢を取る。
だが、怪物は別の人間に阻まれ攻撃を与える事ができなかった。
「危なかったな。大丈夫か?」
その声には聞き覚えがある。
「瀬上、さん?」
「あぁ、そうだ。とりあえず目の前の敵を倒すぞ」
「はい!」
二人は構え、怪物は態勢を立て直した。
『み、見てください!暴れまわっていた怪物におそらく、鎧?を着た一般人が戦っています!危険ではないでしょうか?!』
涼花は渋谷のオーロラモニターでその光景を見た。
その時、ある出来事を思い出した。
鎧の腰辺りに装着されている機械は巧の元に届いたものと同じだった。
嫌な胸騒ぎがする。
涼花は急いで現場へと向かった。
ビルの上から怪物と二人の戦いを見ている男がいる。
「あら?あら、あら?」
そこに、一人の少女が姿を見せた。
黒いワンピースを身に纏った少女は男の顔を探りながら目の前に立つ。
「これは『計画』が新たなステップに進んだ、ということかしら?」
「そうだ。あの化物と同じ力を持つ人間だ。私の『仕掛け』に引っかかった人間さ。『彼等』と『彼等』の戦いによって集められたエネルギーが『鍵』を完成させるピースとなる。そして・・・」
少女は不敵に笑う。
彼女は額の鍵穴を揺らしながら、ヒラリと回る。
そして両手を掲げ、嬉しそうに踊っていた。
「楽しみだわ!この『計画』が進めば遂に開くのね!あぁ、私達の『彼の父』がこの世に姿を見せるわ!!えぇ、私はこの世界を終わらせる『扉』となるのだから!!!」
「分かっているさ。さて、今世での名は・・・」
「そうね?姿が似ている人がいるらしいの。だから、『アビゲイル』とでも呼んで欲しいわ。そういう貴方はどう呼べばいいかしら?」
「新たな名を騙る必要は無い。さぁ、そろそろ行こうか」
下では既に決着が付く流れとなっていた。
二人は攻撃を加え、遂に怪物がグロッキー状態となった。
最後の締めの一撃。
「どうすればいいんだ?」
「この腰の装置は?」
「これ?」
腰辺りに増築された機械にも鍵穴がある。
そこに鍵を差し、回してみる。
『解錠!エネルギーフルチャージ!』
エネルギーが足に収束する。
大きく跳び、飛び蹴りを構える。
そして蹴りが怪物へ一直線。
最後の一撃が効き、怪物は消滅した。
一本の鍵がそこに現れ、巧の手元へとゆらりと着地。
鍵にはマークが書いてあるが、何の鍵かまでは判断ができない。
「ほぅ、属性鍵とは運が良いな」
怪物とはまた違う人間が現れ、二人は連戦に備えた。
「構える必要はない。だが、敵かもしれないがね」
「たっくよー!何でこうなったんだよ!!」
海城巧『カイジョウタクミ』は仕事道具を持ち、新宿の街を爆走していた。
そして後を追うのは顔面強面の男達。
何が起きた、というよりも嵌められた、と言う方が正しい出来事だった。
数日前。
彼の仕事場に訪れた一人の男がいる。
その男はあるビルの金庫の鍵を開けてほしい、と頼み込んできた。
なんでも、自分が所有する金庫だが開けられなくなったそうだ。
依頼金もかなりの額だったので、金欠状態だった巧は快諾した。
そして今日がその当日。
鍵を開けている最中、男が突然外に出ていき不審だと感じた。
その矢先、鍵が空いたタイミングでビルの本来の所有者が姿を見せたのだ。
ビルの一室は確かに見た感じヤクザの事務所チックだった。
だが、本当にヤクザが出てくるとは思ってもなかった。
しかも、彼が開けた金庫はそのヤクザのものだったらしく巧は慌ててその場を逃げる。
ヤクザもメンツがあるので彼の後を追う。
そして現在に至る、という流れだ。
「ふっざけんな!あんなんなら依頼されても断るべきだったー!!」
訳を話せば・・・と後ろを振り返るが、完全に表情は自分を殺しに来てる、と判断する。
あ、これは死んだと判断し速度を緩めずに走り切る。
その様子を、一人の男が見ていた。
この街でヤクザに追われている人間を見るのは珍しくない。
だが、青年の表情を見るからに悪さを働いた、とは考え難い。
「少し待っててくれ」
彼はヤクザの前に入る。
「あんだテメェ!!とっととそこを退け!!」
巧も足を止め、自分とヤクザの間に入った男を見る。
スーツ姿だが、服の上からでも分かる。
多分だが、この人は鍛えてる。
この街にいればその人が鍛えているのかどうかは判断できる。
人ととなりまでは判断できないけど。
「少しは話だけでも聞いてやるのはできないのか?」
「それをすんのにもそのガキが逃げてんだからこうして追ってんじゃねえか!!」
「なる程。なら、この場で話せ。何かあれば俺が守ってやる」
巧は男にそう言われ、ここまでの経緯を話す。
ヤクザは勘繰っているが、男はなる程、と答える。
「と、言う訳だがどうだ?その男とやらを捕まえた方がいいんじゃないか?」
「でも、俺その男の素性知らねえっすよ?」
「そこのヤクザの組長さんがうちに依頼すれば調べてやる」
名刺を一枚ヤクザの一人に渡す。
そこには『瀬上セキュリティ』、と書かれていた。
しかも役職は代表取締役社長、と。
「少し待ってろ」
ヤクザは携帯を取り出し、組長に連絡しているようだった。
瀬上セキュリティ、は巧でも知ってる企業だ。
あらゆる顧客であろうと完璧に守り、果ては人探しまできっちり、鍵を締めるように仕事を行うこと有名だ。
裏の人々でも少しはその名前を知っている程である。
「組長から許可が出たが、もし調べがつかなかったらそこのガキに責任取らせるってよ」
「そうか。なら、すぐに仕事に掛かろう」
男は携帯で連絡を取る。
「俺だ。すぐに調べて欲しいことがある。数日前にこの・・・」
「海城鍵屋です!」
「海城鍵屋周辺に入った男を調べろ。あぁ、頼んだぞ」
簡単な遣り取りだけで通話を終えた。
「これからは俺が窓口になる。そこの青年に手を出せばうちに喧嘩を売る、ということになるからな」
「わーってるよ。一応お前の連絡先も教えろ」 そう言われ、巧は携帯を取り出しヤクザと連絡先を交換した。
「俺は畑山組の加賀美ってもんだ。まぁ、その男とやらが見つかるまでの間だが宜しく頼むぞ」
「俺は瀬上悠馬『セガミユウマ』だ。そっちは?」
「海城巧、です」
「また連絡する。絶対出ろよ」
そう言われ、ヤクザは加賀美さんが連れて何処かへ去ってしまう。
そこに取り残されたのは巧と悠馬のみだった。
「災難だったな、海城君」
「いえ、助けてくれて有難う御座います」
「いいんだ。次は真っ当な依頼を受けるんだな。名刺だけ渡しておく。連絡先はさっきのでいいか?」
「はい。本当に有難う御座います!」
巧は深々と頭を下げ、悠馬はその場を後にした。
「社長!あんな揉め事に首を突っ込まなくとも・・・」
「少しだけ可哀想だったからな。大目に見ろ」
社用車に乗り込み、悠馬は部下にそう言う。
部下ははぁ、と溜め息を吐いた。
「いいんですけど、何かあったら俺の責任なんですから」
「そうならないようにするのがお前だろうが。早く車を出せ」
「はいはい」
そう言われ、悠馬を乗せた車は走り出した。
巧は変わった人だな、と思いながら名刺を見る。
瀬上さん、か。と頭の中で呟く。
まるで自分とは正反対の、大人の男という印象だった。
あんなに鮮やかにヤクザを振り払うのは相当な手練だと感じた。
事務所に戻ると、そこには一人の女性が待っているのを発見した。
「涼花!何勝手に入ってんだ!」
「えー、いいじゃん」
三木下涼花『ミキシタスズカ』は笑いながら誤魔化すが、そうはいかない。
鍵屋が簡単に侵入されたら世話無いのだから。
「ところで、大丈夫だったの?今日の仕事」
「あー、追い掛け回された」
「だから言ったじゃん!危ないって!!」
涼花は巧の幼馴染で、この仕事を始める事は反対をしていた。
こんな危険があるから、と言っていたのを思い出す。
「これからは気をつけるよ」
そう言い、仕事道具を片付ける。
涼花は少しだけ呆れた表情で巧を見た。
「気をつける、って言ってもそんなのが多かったら心配になるよ」
「べっつにお前の心配なんかいらないっての。お母さんかよ」
「うっさい!」
作業台の上を見ると、知らない荷物があった。
差し出し人は書いてない。
「何だ?これ」
「あ、それなんか置いてあったよ。入り口にあったから中に入れたけど。なんか、妙じゃない?」
確かに、と巧は感じる。
荷物を開けてみると、中には見たことない機械と鍵が入っていた。
「何、これ?」
「さぁ・・・?」
昼間の出来事を思い出す。
あの青年を助けなければならない、という心情で動いてしまった。
「彼は何者なんだ・・・?」
携帯に連絡が入り、悠馬は出る。
昼間に依頼したヤクザの事務所の金庫を海城巧に開けさせた男の件だ。
「どうだった?」
『えぇ、見つかりました。名前は高山総司『タカヤマソウジ』。都内に住んでいます』
「そうか。済まないな」
『えっと、一個問題があって・・・」
その時、自身の部屋の扉からノック音が聞こえた。
「後で折り返す」
そう言い、通話を終了する。
入ってきたのは秘書であった。
「社長、お荷物です」
「俺宛?」
「はい。ですが、差出人不明のお荷物で・・・」
秘書が持っていた荷物を受取り、悠馬は中身を確認する。
「なんだ?」
悠馬の元にも、謎の機械と鍵が届く。
不審がるが、悠馬は何故かそれを保管しようと判断した。
そして先程の部下に連絡を再度取る。
「悪いな、話の途中で」
『いえ、それでこの男なんですけど先程死体で発見されました』
ガタッ、と椅子を動かしてしまった。
死亡、だと?
悠馬は耳を疑った。
「何が起きてるんだ・・・?」
不可解な出来事が重なっている。
あの青年の出来事。
依頼人の死亡。
そしてこの箱。
違和感が彼の体を駆け巡った。
この一連の事件は仕組まれたのか?
いや、それにしては都合が良過ぎる。
違和感の正体をつかないまま、その日は終わろうとしていた。
ある場所で、一人の男は『それ』を眺めていた。
『それ』は鈍い色を放ちながらも、異様な空気を漂わせている。
「もう始まる。『鍵』は渡すべき人間に行き届いた。そして・・・」
『それ』を握った男は妖しく嘲笑った。
「世界が終わる」
次の日の事だった。
巧は悠馬に呼び出され、瀬上セキュリティ本社へと向かっていた。
東京のオフィス街のど真ん中に大きなビルを構えていたそれは初めて入るだろう場所だ。
広いエントランスがあり、受付を通す。
そこで客人用のパスカードを受取り、ビルの内部へ。
案内された会議室には加賀美と悠馬が既に到着していた。
「遅かったな」
「仕事が詰まってたんで終わらせてから来ました」
「それで?社長さん、電話で話した事は本当なんだろうな?」
「あぁ、海城君に依頼した男は既に死体になっていた。金庫の中身は話で聞いた通り、現金で100万円と拳銃を所持していた。それと気になったのは・・・」
プロジェクターで今回の依頼内容と報告書が映されている。
そしてアップされたのはリストのようなものだった。
巧の欄には丸がつけられており、他にも恐らく同業と思われる人物達がリストアップされている。
「実は深く調べてみると、同じような事件が何件かあるそうだ。大金を餌に鍵師を尋ねているのはこの男だけじゃない。他にも数名いるみたいだな」
「まるでテストみたいですね」
「俺も同じ意見だ。鍵師としての実力を測っているようにも伺える」
「だがよ、それじゃうちの親父は納得しねえぜ?鍵を開けられてそれが他の人間の指示でした、なんか笑い話にもならねえな」
「確かにそうだが、判断材料にはなるだろ?」
「・・・まぁ、この中身を小僧が知らなかったってなら問題はねえだろうがな。この話は俺から伝えておく。社長さんには後で礼金を払うつもりだ。それと小僧、悪かったな。これに懲りたら変な野郎の指図は受けんなよ?困った事がありゃ俺が相談に乗ってやるからよ」
加賀美はそれだけ言い残し、会議室を後にする。
その場に残されたのは巧と悠馬のみとなった。
「それじゃ・・・」
「海城君、君にはもう一つだけ聞きたい事がある」
悠馬は昨日届いた機械を巧に見せた。
巧は目を疑った。
それが昨日自分の所に届いたものと全く同じだったからだ。
鍵は一つだけ違えど、他の内容は全く同じである。
「・・・これ、どうしたんですか?」
「わからん。俺の元には差出人不明で届いた。その反応だと、君の元にも届いたようだな」
はい、と巧は慎重に答える。
まさかこれが彼から出てくるとは思ってもなかった。
今回の件と関わりがあるのか、と疑ってしまう。
「いや、分からなければいい。これは俺も調べている最中だ。もし、何か分かれば教えてくれ」
「わかりました」
そう言い、巧も会議室を後にする。
巧を見送った悠馬は宛が外れたか、と考えた。
もしかすれば巧が鍵を握っているのか、と考えたがそれは見当違いであった。
『えー!現場の向井です!あれを見てください!!あれはーーー』
巧は考え事をしながらボーッとテレビを見ていた。
路上から見えるテレビはどうしてニュースなのか、といつも考えている。
今回は現場と中継が繋がっているようだ。
何でも怪物が暴れているらしい。
「世の中不思議な事があるもんだな」
バッグの中からあの機械を取り出す。
隠そうとは思ったが、これが事務所にある事を知られて荒らされるのは勘弁だと思い持っている。
事務所の方向に歩みを進めようとした時、鍵が一本動き出した。
一人でに方向を指している。
「な、なんだ!?」
オカルト現象に脳が反応できず、鍵が向いている方向に走る。
そしてそれは中継現場の近く。
目の前にいるのは、巧の人生の中で一度も出会ったことの無い『怪物』だった。
鍵と同じように何も反応を示さなかった機械が作動し、巧の腰に勝手に装置された。
会議室で黄昏れていると、秘書から連絡が入った。
『社長!テレビを見てください!!』
そう言われ、会議室のモニターをテレビに繋げる。
そこには自分の人生の中で一度も見たことのない生物がテレビの注目を浴びていた。
身長だけで言えば人間と同じだが、その身体は生物と断定するには『卑し』い。
「あれは、何だ?」
テーブルの上に置いていた鍵が揺れる。
バイブ音を聞き取った悠馬は鍵を持ち上げ、揺れが大きくなる方向へと向けた。
「壽子、位置を特定できるか?」
『か、可能ですが・・・。もしかして向かうおつもりですか?!』
「あぁ、すぐ戻る」
機械と数本の鍵を手にし、現場へと向かう為に会議室を飛び出した。
地下駐車場に停めているバイクに携帯をセットし、走らせる。
おそらく、海城君も現場に向かっているだろう、と予測する。
彼が同じ装置を持ち運んでいるのであれば、必ず現場に現れる。
「確かめさせて貰うぞ、違和感の正体を」
現場に到着した頃には辺りにいるのはマスコミだけ。
影から怪物の様子を窺う。
その時、彼が持つ装置が勝手に起動した。
そして、悠馬の腰に勝手に装着される。
巧がこの後、何をしたのかはいまいち記憶に残っていない。
装置が腰に装着された瞬間、勝手に腕が動いた。
装置の右側にある鍵穴にその鍵を装填する。
鍵を撚る。
装置から声が響いた。
『解錠』
巧の姿が変化し、まるで鎧を纏うようにその姿が現れた。
『Unlocker!』
その姿を見せたのは、まるで特撮の主人公のような鎧。
巧は自分の姿を触って確認する。
「うっ、そ!!なんだこれ!?」
慌てながら、現状を把握する。
この姿を見られたのは、マスコミだと思ったが運良くその光景は見られていなかったようだ。
姿を変えた瞬間、怪物が巧に反応する。
唸り声を上げながら、巧の眼前へと迫ってきた。
悠馬は腰に装着された機械を眺めていた。
本能では手に持つ鍵を左側に装填する、という流れだ。
だが、それに逆らう、というよりも従わず機械を観察する。
「仕方ない」
鍵を左側に装填する。
鍵を捻った瞬間だった。
『施錠』
自分の姿が変化していく事が分かる。
おそらくこの機械は自分達が想像もつかない力があるのだろう。
『Rocker』
低い音声が自分の差した鍵の名前を上げる。
Rocker、とは鍵を締めし者、という意味だろう。
「さて、と」
姿を隠したまま、怪物の動向を探る。
怪物は移動していた。
「まさか・・・」
海城君?、と判断した。
外に出ていき、怪物の背後を取る。
怪物は大きな腕を振り上げ、攻撃を仕掛けてくる。
巧は腕でその一撃を防ぎ、そのまま蹴りを喰らわせる。
本来の人間の姿だったらダメージは無いだろう。
だが、変身したお陰なのかダメージを受けている様子だ。
「行ける!」
そのままパンチ、キックと連続で打撃を与えた。
怪物は怯み、そのまま後ろ回転蹴り。
武術にとって一番攻撃力が高い攻撃がこれらしい。
大きな唸り声が上げた瞬間、彼が見たことない攻撃を仕掛けてくる。
それはエネルギーが視覚化され、放たれた一撃。
ビームのように見えたその一撃は身体を貫通する事は無かったが大きなダメージを負ってしまった。
そのまま怪物の追撃があるか、と判断し防御態勢を取る。
だが、怪物は別の人間に阻まれ攻撃を与える事ができなかった。
「危なかったな。大丈夫か?」
その声には聞き覚えがある。
「瀬上、さん?」
「あぁ、そうだ。とりあえず目の前の敵を倒すぞ」
「はい!」
二人は構え、怪物は態勢を立て直した。
『み、見てください!暴れまわっていた怪物におそらく、鎧?を着た一般人が戦っています!危険ではないでしょうか?!』
涼花は渋谷のオーロラモニターでその光景を見た。
その時、ある出来事を思い出した。
鎧の腰辺りに装着されている機械は巧の元に届いたものと同じだった。
嫌な胸騒ぎがする。
涼花は急いで現場へと向かった。
ビルの上から怪物と二人の戦いを見ている男がいる。
「あら?あら、あら?」
そこに、一人の少女が姿を見せた。
黒いワンピースを身に纏った少女は男の顔を探りながら目の前に立つ。
「これは『計画』が新たなステップに進んだ、ということかしら?」
「そうだ。あの化物と同じ力を持つ人間だ。私の『仕掛け』に引っかかった人間さ。『彼等』と『彼等』の戦いによって集められたエネルギーが『鍵』を完成させるピースとなる。そして・・・」
少女は不敵に笑う。
彼女は額の鍵穴を揺らしながら、ヒラリと回る。
そして両手を掲げ、嬉しそうに踊っていた。
「楽しみだわ!この『計画』が進めば遂に開くのね!あぁ、私達の『彼の父』がこの世に姿を見せるわ!!えぇ、私はこの世界を終わらせる『扉』となるのだから!!!」
「分かっているさ。さて、今世での名は・・・」
「そうね?姿が似ている人がいるらしいの。だから、『アビゲイル』とでも呼んで欲しいわ。そういう貴方はどう呼べばいいかしら?」
「新たな名を騙る必要は無い。さぁ、そろそろ行こうか」
下では既に決着が付く流れとなっていた。
二人は攻撃を加え、遂に怪物がグロッキー状態となった。
最後の締めの一撃。
「どうすればいいんだ?」
「この腰の装置は?」
「これ?」
腰辺りに増築された機械にも鍵穴がある。
そこに鍵を差し、回してみる。
『解錠!エネルギーフルチャージ!』
エネルギーが足に収束する。
大きく跳び、飛び蹴りを構える。
そして蹴りが怪物へ一直線。
最後の一撃が効き、怪物は消滅した。
一本の鍵がそこに現れ、巧の手元へとゆらりと着地。
鍵にはマークが書いてあるが、何の鍵かまでは判断ができない。
「ほぅ、属性鍵とは運が良いな」
怪物とはまた違う人間が現れ、二人は連戦に備えた。
「構える必要はない。だが、敵かもしれないがね」
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