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6.信一の打ち上げ花火
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「なあ、帰る前に身長測りに行かないか?」
文化祭を三日後に控えて、信一が提案してきた。
オレのクラスは文化祭に対しての熱意が殆ど無く、一部の有志だけが張り切ってる状況だ。クラスの催し物は『天文の部屋』。今まで全く知らなかったんだが、天文同好会ってのがあって、五人のうち三人がうちのクラスらしい。と言うことで、月やら木星やらの写真をパネルにして教室に展示するんだって。一応クラスの催し物だからお願いされたらパネルを貼ったりはするけれど、中心になってるのは天文同好会だ。つまり、それ以外のクラスメイトには、文化祭の準備なんて作業は無い。
「いいよ~。もしかして信一背ぇ伸びた?」
そろそろオレも自分の身長が気になってたので、即了解した。信一もオレも身長に対してはコンプレックスを持っていて、お互い目標は百七十センチ超えだ。ホントはもっと上を見たいけど、とりあえずの目標。最低ラインってところだ。ふたりとも朝と昼の牛乳は欠かしていないし、寝る方が背が伸びるって説を信じて夜更かしはしないことにしている。
「それいいね。せっかくだから私たちも一緒に行こ」
「だなー。オレの高身長を智と信一に見せびらかしたる」
梨奈ちゃんと雅人の言葉で、結局六人全員で放課後身長を測りに行くことになった。
「ちぃーっす!」
そんな雅人の言葉で勢いよく保健室のドアを開けたら、先生がビックリしていた。
「ゾロゾロといっぱい来たね。どうしたのかな?」
「身長測りに来ましたー!」
最初はビックリしてたけど、信一のそんな言葉に先生はにっこり笑って「そこにあるから皆で測ってね」と言ってくれた。
ドキドキの身長測定会。現在の身長と春から伸びた分はこんなだった。
亮介:百八十二センチ。四センチUP
雅人:百七十七センチ。一センチUP
信一:百七十一センチ。六センチUP!
梨奈ちゃん:百七十二センチ。変わらず
愛理ちゃん:百五十七センチ。一センチUP
オレ:百六十八センチ。三センチUP
げっ。このメンバーだと下から2番目じゃん。しかも、いつのまにか信一に身長抜かれてるし。
「第一目標達成だ!」
信一は嬉しそう。一緒に喜んであげたいけど、今ちょっと複雑……。
「智は相変わらずちっせぇなぁ」
「えー、智クンはそれくらいがいいと思うよ」
るせー雅人! でもって、それは全く慰めになってないからね、愛理ちゃん。
「オレは大器晩成型なんだ! 来年には信一より背高くなってるからなっ!」
「いやいや、オレも智はそのくらいが丁度いいと思うぜ」
オレの叫びに対して、亮介は愛理ちゃんに味方する。ちくしょー! 亮介なんか無駄に背高いじゃん。伸びた分オレによこせ!
思わず亮介を睨み付けると、オレの頭をクシャっとやってきた。だーかーらっ、その仕草が悔しいんだってば。それって背高い人の余裕?
結局保健室を出るまで、オレはプリプリしたままだった。
そんなこんなで下校途中。信一とオレと亮介の三人だ。亮介と一緒に帰るなんて、マジ久しぶり。だいたいいつも女の子と一緒に歩く亮介を信一とふたりで眺めるのが、オレたちの下校スタイルだったから。
今日の身長測定結果のおかげで、信一はマジ嬉しそうだ。ちっくしょー、お前は明日から牛乳は朝だけな! オレは心の中で信一にそう宣告しておいた。それよりも、オレが牛乳増やした方がいいかもだけど。
「あのさぁ、オレ、身長目標達成出来たらやろうと思ってたことあるんだ」
突然信一が話し出した。そうだよなぁ。オレと信一は百七十センチ超えが第一目標だったもんなぁ。そんなことを考えながら聞いてたら、信一はとんでもない花火を持ち出した。
「オレさ、梨奈ちゃんが好きなの。まだ彼女より一センチ背低いけど、目標達成したから明日告白する」
ナ・ン・デ・ス・ッ・テ
「たぶん断られるだろうけどさ、だからその後フォローしてくれよ。梨奈ちゃんに断られても、今まで通りに6人でワイワイやりたいからさ」
ビックリだ。すげービックリだ。でも信一男前だ。なのでオレはこう答えてた。
「おぅ頑張れ! 後のフォローはオレと亮介で何とかしてやる」
あっ、亮介の了承得てないや。と思ったけど、亮介も頷いてたからいっか。
男前な信一は宣言通り翌日梨奈ちゃんに告白していた。嬉しいことに、信一の持ち出した花火は見事な打ち上げ花火だったようだ。誇らしい信一と、ちょっと恥ずかしそうにしてる梨奈ちゃんの笑顔が本当に花火のようだった。良かったな信一。自分のことじゃないけれど、何かオレも嬉しかった。
そんなワケで、オレたち仲良しグループの中からカップルが成立して、信一と梨奈ちゃんは、文化祭をふたりで見て回ったりして楽しんだみたいだった。オレを含めた残りの四人は、そんなふたりを追っ払って適当にいろいろ見て回ったりした。
てっきり亮介は女の子と一緒に文化祭を楽しむと思ってたけど、気が乗らなかったのかな? 文化祭の3日間、オレたちと一緒にすごしてた。
そろそろオレも新しい出会い欲しいなぁ。
文化祭を三日後に控えて、信一が提案してきた。
オレのクラスは文化祭に対しての熱意が殆ど無く、一部の有志だけが張り切ってる状況だ。クラスの催し物は『天文の部屋』。今まで全く知らなかったんだが、天文同好会ってのがあって、五人のうち三人がうちのクラスらしい。と言うことで、月やら木星やらの写真をパネルにして教室に展示するんだって。一応クラスの催し物だからお願いされたらパネルを貼ったりはするけれど、中心になってるのは天文同好会だ。つまり、それ以外のクラスメイトには、文化祭の準備なんて作業は無い。
「いいよ~。もしかして信一背ぇ伸びた?」
そろそろオレも自分の身長が気になってたので、即了解した。信一もオレも身長に対してはコンプレックスを持っていて、お互い目標は百七十センチ超えだ。ホントはもっと上を見たいけど、とりあえずの目標。最低ラインってところだ。ふたりとも朝と昼の牛乳は欠かしていないし、寝る方が背が伸びるって説を信じて夜更かしはしないことにしている。
「それいいね。せっかくだから私たちも一緒に行こ」
「だなー。オレの高身長を智と信一に見せびらかしたる」
梨奈ちゃんと雅人の言葉で、結局六人全員で放課後身長を測りに行くことになった。
「ちぃーっす!」
そんな雅人の言葉で勢いよく保健室のドアを開けたら、先生がビックリしていた。
「ゾロゾロといっぱい来たね。どうしたのかな?」
「身長測りに来ましたー!」
最初はビックリしてたけど、信一のそんな言葉に先生はにっこり笑って「そこにあるから皆で測ってね」と言ってくれた。
ドキドキの身長測定会。現在の身長と春から伸びた分はこんなだった。
亮介:百八十二センチ。四センチUP
雅人:百七十七センチ。一センチUP
信一:百七十一センチ。六センチUP!
梨奈ちゃん:百七十二センチ。変わらず
愛理ちゃん:百五十七センチ。一センチUP
オレ:百六十八センチ。三センチUP
げっ。このメンバーだと下から2番目じゃん。しかも、いつのまにか信一に身長抜かれてるし。
「第一目標達成だ!」
信一は嬉しそう。一緒に喜んであげたいけど、今ちょっと複雑……。
「智は相変わらずちっせぇなぁ」
「えー、智クンはそれくらいがいいと思うよ」
るせー雅人! でもって、それは全く慰めになってないからね、愛理ちゃん。
「オレは大器晩成型なんだ! 来年には信一より背高くなってるからなっ!」
「いやいや、オレも智はそのくらいが丁度いいと思うぜ」
オレの叫びに対して、亮介は愛理ちゃんに味方する。ちくしょー! 亮介なんか無駄に背高いじゃん。伸びた分オレによこせ!
思わず亮介を睨み付けると、オレの頭をクシャっとやってきた。だーかーらっ、その仕草が悔しいんだってば。それって背高い人の余裕?
結局保健室を出るまで、オレはプリプリしたままだった。
そんなこんなで下校途中。信一とオレと亮介の三人だ。亮介と一緒に帰るなんて、マジ久しぶり。だいたいいつも女の子と一緒に歩く亮介を信一とふたりで眺めるのが、オレたちの下校スタイルだったから。
今日の身長測定結果のおかげで、信一はマジ嬉しそうだ。ちっくしょー、お前は明日から牛乳は朝だけな! オレは心の中で信一にそう宣告しておいた。それよりも、オレが牛乳増やした方がいいかもだけど。
「あのさぁ、オレ、身長目標達成出来たらやろうと思ってたことあるんだ」
突然信一が話し出した。そうだよなぁ。オレと信一は百七十センチ超えが第一目標だったもんなぁ。そんなことを考えながら聞いてたら、信一はとんでもない花火を持ち出した。
「オレさ、梨奈ちゃんが好きなの。まだ彼女より一センチ背低いけど、目標達成したから明日告白する」
ナ・ン・デ・ス・ッ・テ
「たぶん断られるだろうけどさ、だからその後フォローしてくれよ。梨奈ちゃんに断られても、今まで通りに6人でワイワイやりたいからさ」
ビックリだ。すげービックリだ。でも信一男前だ。なのでオレはこう答えてた。
「おぅ頑張れ! 後のフォローはオレと亮介で何とかしてやる」
あっ、亮介の了承得てないや。と思ったけど、亮介も頷いてたからいっか。
男前な信一は宣言通り翌日梨奈ちゃんに告白していた。嬉しいことに、信一の持ち出した花火は見事な打ち上げ花火だったようだ。誇らしい信一と、ちょっと恥ずかしそうにしてる梨奈ちゃんの笑顔が本当に花火のようだった。良かったな信一。自分のことじゃないけれど、何かオレも嬉しかった。
そんなワケで、オレたち仲良しグループの中からカップルが成立して、信一と梨奈ちゃんは、文化祭をふたりで見て回ったりして楽しんだみたいだった。オレを含めた残りの四人は、そんなふたりを追っ払って適当にいろいろ見て回ったりした。
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