大好きだよっ!

ふゆの桜

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8.期末テストが終わって

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「あ―――――……、燃えカスだぁ」


 期末試験最終日。鐘が鳴って最後のテストが終わったところ。最後のテストはオレの苦手な物理だった。もう燃え尽きて、燃えカスもちょびっとしか残らなかったよ。一応全部解いたつもりだけど、正解率低そうだなぁ。
 周りを見渡すと、オレ同様燃え尽きてる人が多かった。信一もげんなりした顔してるし、梨奈ちゃんや愛理ちゃんもどんよりしてる。逆に雅人は開き直ったんだろうな、ヘラヘラしてるや。


「智どうだった?」

 物理の得意な亮介は平常運転ってカンジ? ニコニコしながら聞いてきた。物理が得意って、亮介の脳みそヘンなんじゃないか?


「一応全部解いた……けど、全然自信ねぇ。赤点じゃないとは思うけど今回のは難しかったわ」
「智が赤点ってのは無いだろ。雅人じゃあるまいし」

 そう願いたい。



 試験期間中は部活が無いので、今日も六人全員で帰ることにした。試験も終わったんで、皆でファミレスへ向かった。
 ファミレスでの話題はもっぱら試験のことについてで、特に一番最後の物理については反応それぞれ。信一と雅人の表情は見てて笑えるレベルに達していた。

「ぐぁぁぁ、オレやっぱ物理赤点だわ」
「赤点は補習じゃね? 雅人クリスマスも学校行くんだ」
「なんですとーっ!」


 その後はクリスマスの話題になっていった。もちろん雅人はカヤの外だ。


「クリスマス、特に用事が無いなら皆で集まりたいな」
「えー、梨奈ちゃんは高梨クンとデートじゃないの?」
「信一クンとも話してたんだけど、高3になったらこうやって皆とワイワイやれるか分かんないから、今のうちに集まって騒ぎたいねって」

 梨奈ちゃんと愛理ちゃんの会話を聞きながら、クリスマスかぁ……と考えていた。
 オレも用事無いしな。梨奈ちゃんの言うこともわかるな。


「さんせーい。オレも集まりたい」
「智クン賛成してくれるんだ。嬉しい」
「オレも、オレも行く!」
「香山クンは補習じゃなかったらだね」
「ひでぇ」
「じゃあさ、ウチに集まらないか? その日は親がばあちゃん孝行で旅行に行くんで、誰もいないんだ」

 今まで黙ってみんなの話を聞いていた亮介がこう提案してきた。ちょっとビックリ。だって亮介モテモテだから、きっと誰かとデートすると思ってたもん。で、それはオレ以外のみんなもそう思ったみたいだった。


「井川クンてクリスマス忙しいんじゃないの? デートとか……」
「ないよ」
「だってモテモテじゃん」
「特別な日に一緒にいたら、相手にヘンな期待をさせちゃうからね」
「ぐはぁぁぁ、モテる人のセリフだよなぁ。オレも一度は言ってみたい」

 うん……、オレも一度は言ってみたいセリフだ。
 梨奈ちゃんと愛理ちゃんは呆れた目で亮介を見ていたけど。

 そんなこんなでクリスマスは亮介の家に集合することになった。プレゼント交換あり。食べ物は全員持ち寄りってことで。ジュースとかは集まってからみんなで買いに行くことにした。


「クリスマスプレゼントって幾らまで?」
「五百円じゃねーの?」
「さすがにキツくない?」
「でもその縛りで探すってのも楽しいんじゃない?」
「それって税込み?」

 そんな会話をしてクリスマスプレゼントの金額も決まった。


「智その日ウチに泊まってかね?」
「別にいいけど。ねーちゃんや亮太はどーすんの?」
「姉貴は彼氏んとこに泊まるって。亮太は強化合宿があるから大晦日まで帰ってこない」
「クリスマスにひとりは寂しいってか。んじゃオレが慰めてやるよ」
「そうじゃなくて、智は片付け要員な」

 うわっ、そっちかよ。まあ面倒だけど仕方ない、手伝ってやるか。

 そうそう亮介は三人姉弟で、一番上のお姉さんはもう働いている。そして亮介の一歳下の亮太は、水泳の有名な全寮制の高校に通っているんだ。水泳をやってる亮太は亮介以上にがっしりしてる。もちろん背も高い。この二人に囲まれるとものすっごく自分の身長が気になるんだよな。


 暫くみんなでワイワイやってから解散となった。冬休みまであと少し。楽しみが出来て嬉しい。



◇◇◇ ◇◇◇

「あらそうなの~。ならお母さんいっぱい料理作ってあげるから、智クン持ってってね」

 クリスマスの予定をお母さんに話したら、そんな返事が返ってきた。うちのお母さんは料理が大好きだ。兄貴が大学に入って一人暮らしを始めたとき、ごはん作る量が減ったのが悲しいって言ってたくらいだ。きっと当日は大量の食べ物を持たせられるんだろうな。亮介に来てもらった方がいいかも。


 まあ何はともあれ、楽しみだ。な。

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