大好きだよっ!

ふゆの桜

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12.ホントのホントにマジですか?

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「智くーん、いつまで寝てるのー?」

 亮介の告白のおかげで、明け方くらいまで眠れなかったんだよ。だから、このまま静かに眠らせて欲しい……。
 なんてことお母さんに話せるワケは無く、オレはヨロヨロと起きだした。


「明日から冬季講習でしょう? 寝坊グセは付けない方がいいわよ」

 そう言って、お母さんはパートへ出かけていった。
 そうなんだよ。明日から冬季講習なんだよ。でもって、亮介も一緒なんだよ。だって一緒に申し込んだんだから……。



 明日どんな顔して亮介に会えはいいんだ?



 昨日の亮介の告白は、オレには衝撃的だった。逃げ出そうにもがっちりホールドされてたから、結局最後まであの体勢で聞かされたんだ。



 知らなかったよ、オレ。
 亮介が高1からずっとオレのこと好きだったなんて……。



 亮介今までそんな素振り全く見せてなかったし。女の子にモテモテで、いっつもいろんな子と一緒に帰ったりしてたのに。


「全員遊び。好きな子がいるから、遊びでしか付き合えないよって言って、それでもいいって子とだけ遊んでた」

 そんなのズルイじゃん。


「智に告白しようと思ったから、遊んでた子たちには全員ちゃんと会って、お別れしたんだ」

 そんなこと言われたって、オレどうしたらいいんだよ。
 て言うか、何で今なんだよ?


「高校生活もあと一年と少しだから。今言わないと後悔すると思ったんだ」

 じゃあ言われたオレは?



 昨日の亮介の言葉に、オレはまた脳内でツッコミを入れる。そう……、昨日の会話をリフレインしてるんだ。ぐるぐるぐるぐる、昨夜からずーっとリフレイン。

 そもそもオレも亮介も男だ。だから恋愛対象は女の子のはず。男同士なんて普通に考えたらおかしいじゃん。ヘンだよ。


「男とか女とかじゃなく、智が好きなんだ」

 そう言われて、オレどうしたらいいのさ?


 亮介のこと嫌いじゃないけど、そんな目で見たことないし。頼りになる親友だと思ってたし。このまま友達じゃダメなのかな?


 オレは……、このまま友達でいたい。




 結局昨日は、亮介の告白を聞いて逃げるように帰ってきたんだ。そのときの亮介の顔がすごく切なそうで、心が痛んだ。でもあのときは、あの場所にいれなかったんだ。




「あー、もうっ!」

 イライラして、勢いつけてベッドに横になった。そしてまた考えてしまう、亮介のことを。

 最後のあの顔は……。
 ホントにホントのマジでオレのこと好きなんだろうな……。




 オレがどんなに悶々してようが時間は無情に流れるわけで、今日から冬季講習だ。
 昨夜亮介からラインが来て、待ち合わせて一緒に行くことになった。避けたとしても、どうせ向かう場所は一緒だ。ならここは男らしく顔を合わせよう。

 あーでも、どんな顔すればいいの?




「一昨日ゴメンな。別にオレ、智のこと困らせたいワケじゃないから」

 待ち合わせの場所には既に亮介は来ていて、会った途端に謝られた。


「オレの気持ちは嘘じゃないけど、だからってそれで智を縛るつもりもないし、出来れば今まで通り普通に友達でいて欲しい。オレ、友達としても智のこと大好きだからさ」

 亮介のションボリした顔。ゴメンな……。


「オレも亮介のこと好きだよ。友達として。つーか親友だと思ってたし」

 なんとなく亮介の顔が見れなくて、オレは下を向いたままそう答えていた。

「ありがと」亮介はそう言ってオレの頭をクシャっとした。




 冬季講習の間は、いつも通りの亮介だった。空き教室での自習を認められていたので、オレたちはお互いに理解不足のところをやり取りしながら、講習を進めてった。やっぱりこの関係がオレには居心地良いと思う。




 元日はまた六人で集まって初詣に行った。愛理ちゃんは着物で来てて、それがすっごく可愛かった。雅人が愛理ちゃんの着物姿を見て鼻の下伸ばしてたし、いろんな人がチラチラと彼女を見ていた。

「でも着物って歩き難いんだよねぇ」

 着てた本人はあまり嬉しそうじゃなかったのが残念だけど。



「井川センパーイ」
「剣道部の後輩だ。ゴメン、先行っててくれる?」

 お参りも終わって、みんなでお決まりのファミレスに行こうとしてたら、剣道部の後輩が亮介に手を振っていた。後輩って言っても全員女の子。しかも可愛い。


「モテるヤツは違うなぁ。別にオレは羨ましくなんかないぞー」

 雅人が羨ましそうに吼えていた。


 でも亮介の好きな人はオレなんだって。
 でも断っちゃったんだよな、オレ。
 じゃあまた別の子と付き合うのかな?
 さっきの後輩の子たちも可愛かったし……。


 そう思ったら胸の奥がチクッとした。あれ? なんで?

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