32 / 36
32.ふたりの誕生日プレゼント?
しおりを挟む
今日は八月三十日だ。この日は何の日か知ってる? オレ的にはめちゃ有名な日なんだぜ。だってオレの誕生日なんだもん。
せっかくの誕生日だけど中学までは全然嬉しい日じゃなかったんだ。どちらかと言うと、祝うよりも怒られる日だったからな。夏休み最終日の前日、宿題がまだ終わってなくて必死こいてやってた日だ。そして、終わる気配が全くなかった日でもあったんだ。
さすがに高校生になってからは心を入れ替えたよ。宿題とか課題は前倒しでやって、あとはのんびりってかんじにね。
高校に入ってからは特に誕生日を祝ってもらうってのは無かったけど、それでも毎年ケーキだけはお母さんが焼いてくれる。だからきっと今夜も、晩ごはんの後にケーキが出てくるんじゃないかな。
余談だけど亮介の誕生日は九月三日だ。ふっふっふっ、実はオレの方が年上なんだぜ。たった数日だけど。
「これ……、誕生日プレゼント」
なるべく早く来てってお願いされてやって来た、今は朝の九時半だ。亮介の部屋で渡されたのはオレへの誕生日プレゼントで、レモンイエローのざっくりとしたセーターだった。薄手だけど長袖だから着るのはもう少し涼しくなってからになるのかな。
「亮介サンキュッ! でも似合うかな? オレこんな色のは着たことないや」
「智の髪茶色っぽいから似合うと思うよ」
着てみたら自分でもビックリするくらい似合ってた。すげーわ。亮介ってセンス良いんだなぁ。
「でも何時買ったん? 夏期講習とかあったし、なかなか買い物行くヒマ無かったじゃん」
「姉貴のヤケ買いツアーのお供をさせられたとき。今回は珍しく服も見に行ってさ。姉貴、ケンカ中なのに彼氏の服買ってたんだぜ。で、そんときオレも智の服選んでたの」
「ああ、あんときかぁ……」
そうだった。そういえばそんなことがあった。亮太がひとりでウチに遊びに来た日だ。
あの日亮太はオレの部屋で飽きるまでゲームをやり散らかして、お母さんの作ったごはんを全部平らげて、追加で作ったごはんもペロリと食べつくして、そして帰ってったんだ。好き放題やってやがると思ったけど、お母さんは大満足だったみたいだ、あの食べっぷりに。
「なあ亮介、亮介は誕生日プレゼント何が良い? オレひとりじゃ選べないと思うからさ、亮介にリクエストされたものにしたい」
実はオレもいろいろ考えてたんだ、亮介のプレゼントのことを。でも、いまいち決まらなくてさ。だから亮介の欲しいものを聞くのが一番だと思ってた。
「一番欲しいものあるんだけどさ、それをリクエストしてもいい?」
「いいよ。あっでも、あんまし高いものは無理」
「それって、今日でもいい?」
「いいよ。……て、だから今日は早く来いって言ってたのかぁ」
なるべく早く来てってお願いされてたのがちょっと不思議だったんだよ。きっと亮介の欲しいものが売ってるお店は限られてて、遠くにあるんだろうな。
「んじゃあさ、もう買いに出かける?」
それなら善は急げだ。亮介の欲しいものをちゃちゃっと買って、その後はふたりでマッタリしたいなぁなんて思いつつそう聞いてみた。
でも違ってた。ここに早く来て欲しい理由ってのはさ、オレの予想とは全然違ってたんだ。て言うか、亮介はやっぱり亮介で、エロエロ大王だった。
「トーモ♪ オレ、誕生日プレゼントに智が欲しい」
「へっ? 何言ってくれてんの?」
「だーかーらぁ、オレへの誕生日プレゼントに、智とじっくりゆっくりエッチしたい。智もオレも気持ち良くなれるから良いこと尽くめだし、次にふたりっきりでじっくりエッチできるのって当分無いだろうし、今のうちに智をいっぱい摂取しときたいじゃん」
じゃん……、じゃねぇだろ!
亮介はオレに抱きついてそう言うけど、まだ午前中だよ、昼前だよ、十時半だよ。こんな時間からサカってどうすんのよ。大丈夫かオレ? 今日は生きて家に帰れるんか? オレ今夜は家で誕生日ケーキを食べたいんだぜ。
「おまえさぁ、何でそんなにエロいんだよ……」
「えー、前にも言ったじゃん。オレ、智相手だとどこまでもエロくなれる自信あるって」
ニッコリ笑って言い切った。言い切ったよ! そうだよ、前もそう言ってたよ。だからきっとブレて無いんだよ。でもオレ……、逃げていい?
「ダメ?」
「っ……ダメ……じゃない」
嗚呼もうっ! 普段はオレのこと甘やかすくせして、こんな時だけはオレに甘えるんだぜ。そんな顔されたらダメって言えないじゃんか。別にエッチしたくないわけじゃないし……したいし……。ただこんな朝っぱらからってのがちょっとなぁって……。
「よーし、じゃあまずお風呂行こっか。今日もいっぱい気持ち良くしてあげるね」
そう言って亮介はオレを風呂場へ連れていった。
これってさぁ……、亮介と初エッチのときみたいじゃないか? やっぱオレ、今夜は干からびてるような気がする。
別に嫌じゃないけどな。
う、嬉しいけどな。
……恥ずかしいから認めたくないけど。
せっかくの誕生日だけど中学までは全然嬉しい日じゃなかったんだ。どちらかと言うと、祝うよりも怒られる日だったからな。夏休み最終日の前日、宿題がまだ終わってなくて必死こいてやってた日だ。そして、終わる気配が全くなかった日でもあったんだ。
さすがに高校生になってからは心を入れ替えたよ。宿題とか課題は前倒しでやって、あとはのんびりってかんじにね。
高校に入ってからは特に誕生日を祝ってもらうってのは無かったけど、それでも毎年ケーキだけはお母さんが焼いてくれる。だからきっと今夜も、晩ごはんの後にケーキが出てくるんじゃないかな。
余談だけど亮介の誕生日は九月三日だ。ふっふっふっ、実はオレの方が年上なんだぜ。たった数日だけど。
「これ……、誕生日プレゼント」
なるべく早く来てってお願いされてやって来た、今は朝の九時半だ。亮介の部屋で渡されたのはオレへの誕生日プレゼントで、レモンイエローのざっくりとしたセーターだった。薄手だけど長袖だから着るのはもう少し涼しくなってからになるのかな。
「亮介サンキュッ! でも似合うかな? オレこんな色のは着たことないや」
「智の髪茶色っぽいから似合うと思うよ」
着てみたら自分でもビックリするくらい似合ってた。すげーわ。亮介ってセンス良いんだなぁ。
「でも何時買ったん? 夏期講習とかあったし、なかなか買い物行くヒマ無かったじゃん」
「姉貴のヤケ買いツアーのお供をさせられたとき。今回は珍しく服も見に行ってさ。姉貴、ケンカ中なのに彼氏の服買ってたんだぜ。で、そんときオレも智の服選んでたの」
「ああ、あんときかぁ……」
そうだった。そういえばそんなことがあった。亮太がひとりでウチに遊びに来た日だ。
あの日亮太はオレの部屋で飽きるまでゲームをやり散らかして、お母さんの作ったごはんを全部平らげて、追加で作ったごはんもペロリと食べつくして、そして帰ってったんだ。好き放題やってやがると思ったけど、お母さんは大満足だったみたいだ、あの食べっぷりに。
「なあ亮介、亮介は誕生日プレゼント何が良い? オレひとりじゃ選べないと思うからさ、亮介にリクエストされたものにしたい」
実はオレもいろいろ考えてたんだ、亮介のプレゼントのことを。でも、いまいち決まらなくてさ。だから亮介の欲しいものを聞くのが一番だと思ってた。
「一番欲しいものあるんだけどさ、それをリクエストしてもいい?」
「いいよ。あっでも、あんまし高いものは無理」
「それって、今日でもいい?」
「いいよ。……て、だから今日は早く来いって言ってたのかぁ」
なるべく早く来てってお願いされてたのがちょっと不思議だったんだよ。きっと亮介の欲しいものが売ってるお店は限られてて、遠くにあるんだろうな。
「んじゃあさ、もう買いに出かける?」
それなら善は急げだ。亮介の欲しいものをちゃちゃっと買って、その後はふたりでマッタリしたいなぁなんて思いつつそう聞いてみた。
でも違ってた。ここに早く来て欲しい理由ってのはさ、オレの予想とは全然違ってたんだ。て言うか、亮介はやっぱり亮介で、エロエロ大王だった。
「トーモ♪ オレ、誕生日プレゼントに智が欲しい」
「へっ? 何言ってくれてんの?」
「だーかーらぁ、オレへの誕生日プレゼントに、智とじっくりゆっくりエッチしたい。智もオレも気持ち良くなれるから良いこと尽くめだし、次にふたりっきりでじっくりエッチできるのって当分無いだろうし、今のうちに智をいっぱい摂取しときたいじゃん」
じゃん……、じゃねぇだろ!
亮介はオレに抱きついてそう言うけど、まだ午前中だよ、昼前だよ、十時半だよ。こんな時間からサカってどうすんのよ。大丈夫かオレ? 今日は生きて家に帰れるんか? オレ今夜は家で誕生日ケーキを食べたいんだぜ。
「おまえさぁ、何でそんなにエロいんだよ……」
「えー、前にも言ったじゃん。オレ、智相手だとどこまでもエロくなれる自信あるって」
ニッコリ笑って言い切った。言い切ったよ! そうだよ、前もそう言ってたよ。だからきっとブレて無いんだよ。でもオレ……、逃げていい?
「ダメ?」
「っ……ダメ……じゃない」
嗚呼もうっ! 普段はオレのこと甘やかすくせして、こんな時だけはオレに甘えるんだぜ。そんな顔されたらダメって言えないじゃんか。別にエッチしたくないわけじゃないし……したいし……。ただこんな朝っぱらからってのがちょっとなぁって……。
「よーし、じゃあまずお風呂行こっか。今日もいっぱい気持ち良くしてあげるね」
そう言って亮介はオレを風呂場へ連れていった。
これってさぁ……、亮介と初エッチのときみたいじゃないか? やっぱオレ、今夜は干からびてるような気がする。
別に嫌じゃないけどな。
う、嬉しいけどな。
……恥ずかしいから認めたくないけど。
0
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる