目立たず静かに大人しく?

ふゆの桜

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閑話

フィラー教師の生徒観察日記2

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【〇月×日】

前期試験の結果が出た。
1年全体でのトップはセインであった。座学だけの結果では僅差でマシューだったが、魔法の成績でセインが逆転となった。入学時のマシューの成績は上位ではあったが特筆するほどでは無かったことを考えると、努力の結果だと思われる。また、マシューとセインは寮で同室であることから、ふたりで教えあいながら勉強したと思われる。
以下の成績では、三位と五位はCクラスの生徒で四位がティタンとなった。2年からは専攻する科毎の成績発表となる為、学年全体の成績は1年次のみだ。後期試験も非常に楽しみである。



【〇月×日】

本日は我がクラスのイベント日で、魔物の森見学があった。
見学自体は契約冒険者グループが受け持つ為、私は報告を待つだけである。1年生を連れて行く為、魔物の森の中でも比較的安全な場所であることから、今まで事故は一度もおきたことは無い。今回も大丈夫だろうとのんびり報告を待つことにした。
結果として特に事故は無かったが、面白い話が一件だけあった。セインが猛毒キノコを見つけたのだそうだ。しかもこのキノコはい十三年ぶりの発見らしい。偶然とは言え、見つけたのがセインと言うところが興味深い。



【〇月×日】

セインより面白い相談を受けた。
冒険者の護衛付きで、再び魔物の森へ入りたいと言うのだ。しかも先日の猛毒キノコのおかげで、依頼料もあると言うのだから面白い。また魔物の森へ行ってみたいと言う生徒は大勢いるが、具体的に私に相談してくる子は今までひとりもいなかった。下級生で今回のような相談をするのは、彼が初めてではないかと思う。
彼の目的は絶滅したと言われているエンダルベリーだそうだ。それだけ聞くと微笑ましいが、他にも何かあるのではないかと、どうしても疑ってしまうのを止められない。逆に言うと、それ以外も何かやって欲しいと言うのが、私の中の密かな要望である。
相談に対しては反対する理由が無かったので許可しておいた。契約書関係については、彼自身がまだ子供なので、私の方で手を貸すことにした。魔物の森から戻ってきたときの報告が楽しみである。



【〇月×日】

本日はセインたちが護衛付きで魔物の森へ入った日である。
休日な為彼らからの報告は明日まで待たなくてはならない。が、非常に気になった為、午後から冒険者ギルドへ行って、彼らが戻って来るのを待っていた。とりあえずリロイ氏たちから話を聞いておこうと思ったからだ。
冒険者ギルドではセインたちも見かけたが、彼らには見つからないようにし、その後リロイ氏に話しかけることに成功した。
リロイ氏曰く、依頼は事故も無く安全に終了したとのことだった。それ以上詳しく聞くと、守秘義務がある為話せないとの答え。まさかそのような答えを貰うとは思ってもいなかった為、非常に驚いてしまった。特に何も無ければリロイ氏がそのようなことを言うワケが無いのだ。いったい彼らは何をやったのだろうか? 非常に気になる。



【〇月×日】

放課後、セインに魔物の森でのことを詳しく聞き出そうとした。
最初はエンダルベリーを沢山食べたことだけを話したが、しつこく食い下がると、鍋を持参してスープを作った話をしだした。野営のまね事がしたかったのだろうか? もしかしたら冒険者に憧れてるのかもしれない。が、私の勘がそれ以上何かあったと言っているのだ。しかし、聞いても答えてくれなさそうなので、残念だが引き下がった。

冷静になって考えてみれば、セインはただの一生徒である。他の生徒よりも魔法に対する才能があるだけで、それ以上では無い。無いハズだ。であるが、何故か私は彼が気になってしまうのだ。根拠は無い。単なる私の勘なのだが。この勘はいったいどこから来ているのだろうか?



【〇月×日】

六日間に及ぶ学園祭が本日終了した。
毎年1年生には客として学園祭を楽しんでもらうのが恒例な為、担任の私も今年はのんびりすることが出来た。
内容的には毎年同じようなものなので、特筆するようなことは無かった。



【〇月×日】

本日時点で我がクラスの生徒全員が、1年次の魔法科目を終了した。
例年であれば数名の脱落者が2年進級前に補修を受けるのだが、それがゼロと言うのは非常に喜ばしい。
今後は魔力制御の練習を中心とし、残りの時間で各自の魔法の復習を行わせる予定だ。ただし、成績優秀者たちに対しては、2年で習う魔法を教えようかと考えている。



【〇月×日】

本日、セインとマシューが魔物の森へ入る許可を求めてやって来た。もちろん許可はせず、逆に説教をしておいた。普段はマジメな子たちだが、時々とんでもないことをしでかしそうな子たちでもある。やはりあの二人からは目を離さない方が良いようだ。



【〇月×日】

してやられたと言った方が良いのかもしれない。あの子たちは魔物の森へ入ることを諦めてなかったようで、リロイ氏たちを巻き込んで、ほぼ強引に許可を取った形となった。まさかリロイ氏たちが学園長へ誓約書を出すとは。何故彼らはそこまでするのだろうか? 不思議である。



【〇月×日】

後期試験の結果が発表された。
前期試験とは逆で、学年トップは今回はマシュー、二位はセインだった。相変わらずこの二人はずば抜けている。私の予想では、この二人は必ず飛び級すると思われる。1年が飛び級不可なのが残念なくらいだ。
また、ティタンは前期同様四位だった。凡ミスを防げれば、彼の成績はもっと上がると思われる。どちらにしろ、彼も非常に優秀な生徒だ。
セインとティタンは魔法科な為、2年でも私の受け持ちとなる。今後の指導が非常に楽しみな生徒たちだ。



【〇月×日】

本日より2年の選択科目の説明が始まった。
2年からは専攻する科毎のクラスな為、説明会も専攻科毎となる。説明会は今日と明日。それ以降は、興味がある選択クラスの見学となる。実際にどのクラスを取るかを決定するのは2年に進級した後になるが、今後のためにもしっかり見学して欲しいと思う。



【〇月×日】

まったく、とんでもない子たちだ。どうやらあの子たちの本当の目的は、モーグを狩ることだったらしい。それならリロイ氏たちの行動が理解できる。彼らから本当のことは聞いていないが、行動やセインの髪の色、そして実際にモーグを狩ってきたことで分かることだ。

もちろんあの二人にはしっかりと説教をしておいた。実際の説教内容は、魔物が出た報告を怠ったことである。彼らが1年生であることを考えると仕方ないことなのかもしれないが、頭の良い子たちだからこそ、そこらへんまで気を回して欲しいと思うのだ。説教と言う形を取ったが、実際には彼らの今後に期待していると言う意味でもある。もっとも、彼らにしてみれば、裏に込めた私の期待は気付かないと思うが。

彼らは今後とんでもない問題児になる予感がある。違反をする子たちでは無いが、上手く隙をついて自分たちの目的を達成するような子になりそうだ。実際にはその片鱗が見えているわけで。今回の件と私の見解は、2年のマシューの担任にも伝えておいた方が良さそうだ。



【〇月×日】

トーマに魔法科への転科を勧めてみたのだが、あっさりと断られてしまった。引き抜き失敗である。その後文官科を担当している教師から嫌味を言われてしまったが、どこでバレたのだろうか?



【〇月×日】

明日から新学期が始まる。楽しみだ。
観察日記は今後も続ける予定である。特にセインとティタンは要注目だ。

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