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第3章 イーディスとモーラ
第10話 魔法使いとお姫様
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その頑なな意志に、イーディスは面食らいながらも二つのことを思った。
まずは、だから湖の北にそびえる『鷹山』を目指していたのか、ということ。
『神吹の湖』の北側には、三つの山が連なっていた。真ん中の一番大きな山が『鷹山』といい、その両脇にちょうど同じ大きさの山が、まるで鷹が両翼を広げたように続いている。それで三つ山をまとめて『鷹ノ連山』と呼ぶこともある。今、その山脈には白鷹のように雪が積もっていた。
『鷹ノ巣城』は、城主が亡くなった後、妻アデリーンが主人となって治めている。背後に平原と川を越えるとすぐそこが、ゴーガ人の住む『金の鉱山』であるが、道はまっすぐに繋がっていない。『王の道』はどれも『鷹山』を避けるように伸びているので、『神吹の湖』の資源がなければ何もない、いわば忘れられた城である。
おそらく女城主でいられるのも、そういう理由だろうとイーディスは考えていた。噂によるとアデリーンは平民の出で、元は誰かの侍者だったとか。そこから考えれば大出世どころの話ではない。夫を退けて城主の座に収まったといわれるのも頷ける。
無理やりにでも舟先を反転させたいと思っていたが、イーディスは好奇心に駆られた。
もう一つの考えは、姫と馬番の愛についてだ。逃走中の変装としてリチャードという名をかたっていると思ったが、どうも様子がおかしい。そして今、愛する男に危険が迫っているというのに、彼女はガスよりも『鷹ノ巣城』へ行くことを選んだ。ガスとの約束だと言ったが、女は普通こんなときにはすべてを投げ出して愛を選ぶものだと思っていたのだが。
自分がロマンチストすぎるのだろうか。
それとも……
彼女は、思ったよりも大きな使命を帯びているのか?
そのとき、ひらひらと一頭の黄色い蝶がどこからともなく飛んできて、イーディスの頭上を旋回した。
彼女は心のままに身を委ね、蝶に思いを乗せて陸へ返した。
ひらひら、ふわふわ、くるくると、小さな蝶は空高く舞い、雲を越え、青い空からオルダニアを見下ろした。
リシェルを探す兵は『湖畔の町』を荒らすだけ荒らして、目当てを見つけられず引き上げていくところだった。ガスの姿もあった。だが、その進行方向は西ではなく東。『鴉城』ではなく、直接『東の鉄壁城』へ戻るようだった。
『王の道』を行き交う人々。人と物の流れが、蝶を通じてイーディスに流れ込んでくる。ゴーガ人が移動しようとしている。『南東の入江』も『崖の町』も、どちらも『古代の壁』の修繕が終わったようだ。
イーディスは蝶から離れた。タイレルが自分を探す姿を見つけてしまったからだ。向こうからこっちを知ることはできないが、決まりが悪くて見ていられない。それに、かすかに父の気配も感じた。真っ黒な、悲しみと怒り。
「リチャード様」と、イーディスは目の前に意識を向けた。「そこまで仰るのなら、私もその旅路を共にしましょう。仲間は多いほうがいい。私もすべてを話します。私がなぜ、あなたの前に姿を現したのか。それを聞いて、話す気になってくれたら、あなたも私に真実を語ってほしい」
そう述べたところで、船頭が舟を岸へ寄せようとしているのがわかった。
「申し訳ないです。リチャード様。わたくしがあなた様をお運びできますのは、ここまでです」
「ありがとう。助かった」
リチャードはイーディスの手を借りて小舟を降りると、懐を探って、それからチラリと隣の魔法使いを見やった。
なんてことだ。こいつは、根っからのご主人様だ。
イーディスはかえって小気味良いくらいの気持ちになって、わずかではあるが駄賃を男の手に乗せた。『大鴉の町』で食べ物を買うときにタイレルから預かった余りだ。
「かたじけないことでございます」
うやうやしく受け取って、男は舟に戻っていった。
さてと周囲を見回せば、河岸に際まで木々が迫っていて、獣道のような細い一本道が淵に沿うように長く続いている。『鷹山』はさっきよりもぐっと近く見えるが、あそこまで、いったいどれほど歩くことになるのだろうか。この寒さを凌ぎながら。
リチャードは思い詰めた表情で凍りついた湖を眺めている。彼女の心も、このくらい冷たく、固く閉ざされているように思えた。
「私は昨日まで、『鴉城』の牢獄にいました」
と、イーディスはその横顔に語った。
リチャードの目が、驚きを持ってイーディスに注がれた。
「そう。捕まっていたんです」
自嘲的に笑って、イーディスは先を続けた。手近な小枝を折って、迫る枝葉を払いながら。
「私の父は、マグナ会の代表です」
リチャードは目を丸くした。
「『知恵の里』をご存知ですか?」
と続け様に聞くと、リチャードはその顔のまま首を振った。イーディスは簡単に生まれ故郷を説明した。
「山と森に囲まれた小さな村が、魔法使いの隠れ里でした。そこで生まれるものは、ほとんどが魔法と呼ばれる不思議な力を持っている。全員じゃない。力の弱い者もいる。だが、みんなでそれを鍛えて、伸ばしていくのです。風を読み、大地と話す力を」
そしてその力は、やがて戦争に利用される。
「私の家は、代々強い力を持っていました。父もそうです。だが母を失って、父は変わってしまった。父に従ってオルダニアに移り住んだ者たちも、みな里では異端者とされてきたものたちです。マグナ会というのはそういう連中の集まりで、魔法という商品を売る商人軍団に近い。利害が一致している間は結束していますが、これから先、どうなるかはわからないのです」
話していて、イーディスは悲しくなってきた。なんて馬鹿げた集団に自分は属しているのだろう。
彼女は咳払いして続けた。
「私は父と違う考え方を持っています。つまり、愛するものを失ったからといって、怒りや悲しみを周囲へ八つ当たりするでもなく、自身の利害のためだけに動くのでもなく……もっと、大局的に物事を見たいと思っているんです」
リチャードは訝しげにイーディスを見ていた。
「大局的、とは?」
「この世界の、全体の動きや、未来のこと」
「未来……」
そう繰り返すリチャードの顔は、それまでと異なっていた。急に、鼻先にあった覆いが外されたような、遠くまで見渡すような目だ。
イーディスは、リチャードを信じて言い切った。
「オルダニアは今、戦争の危機にあります」
まずは、だから湖の北にそびえる『鷹山』を目指していたのか、ということ。
『神吹の湖』の北側には、三つの山が連なっていた。真ん中の一番大きな山が『鷹山』といい、その両脇にちょうど同じ大きさの山が、まるで鷹が両翼を広げたように続いている。それで三つ山をまとめて『鷹ノ連山』と呼ぶこともある。今、その山脈には白鷹のように雪が積もっていた。
『鷹ノ巣城』は、城主が亡くなった後、妻アデリーンが主人となって治めている。背後に平原と川を越えるとすぐそこが、ゴーガ人の住む『金の鉱山』であるが、道はまっすぐに繋がっていない。『王の道』はどれも『鷹山』を避けるように伸びているので、『神吹の湖』の資源がなければ何もない、いわば忘れられた城である。
おそらく女城主でいられるのも、そういう理由だろうとイーディスは考えていた。噂によるとアデリーンは平民の出で、元は誰かの侍者だったとか。そこから考えれば大出世どころの話ではない。夫を退けて城主の座に収まったといわれるのも頷ける。
無理やりにでも舟先を反転させたいと思っていたが、イーディスは好奇心に駆られた。
もう一つの考えは、姫と馬番の愛についてだ。逃走中の変装としてリチャードという名をかたっていると思ったが、どうも様子がおかしい。そして今、愛する男に危険が迫っているというのに、彼女はガスよりも『鷹ノ巣城』へ行くことを選んだ。ガスとの約束だと言ったが、女は普通こんなときにはすべてを投げ出して愛を選ぶものだと思っていたのだが。
自分がロマンチストすぎるのだろうか。
それとも……
彼女は、思ったよりも大きな使命を帯びているのか?
そのとき、ひらひらと一頭の黄色い蝶がどこからともなく飛んできて、イーディスの頭上を旋回した。
彼女は心のままに身を委ね、蝶に思いを乗せて陸へ返した。
ひらひら、ふわふわ、くるくると、小さな蝶は空高く舞い、雲を越え、青い空からオルダニアを見下ろした。
リシェルを探す兵は『湖畔の町』を荒らすだけ荒らして、目当てを見つけられず引き上げていくところだった。ガスの姿もあった。だが、その進行方向は西ではなく東。『鴉城』ではなく、直接『東の鉄壁城』へ戻るようだった。
『王の道』を行き交う人々。人と物の流れが、蝶を通じてイーディスに流れ込んでくる。ゴーガ人が移動しようとしている。『南東の入江』も『崖の町』も、どちらも『古代の壁』の修繕が終わったようだ。
イーディスは蝶から離れた。タイレルが自分を探す姿を見つけてしまったからだ。向こうからこっちを知ることはできないが、決まりが悪くて見ていられない。それに、かすかに父の気配も感じた。真っ黒な、悲しみと怒り。
「リチャード様」と、イーディスは目の前に意識を向けた。「そこまで仰るのなら、私もその旅路を共にしましょう。仲間は多いほうがいい。私もすべてを話します。私がなぜ、あなたの前に姿を現したのか。それを聞いて、話す気になってくれたら、あなたも私に真実を語ってほしい」
そう述べたところで、船頭が舟を岸へ寄せようとしているのがわかった。
「申し訳ないです。リチャード様。わたくしがあなた様をお運びできますのは、ここまでです」
「ありがとう。助かった」
リチャードはイーディスの手を借りて小舟を降りると、懐を探って、それからチラリと隣の魔法使いを見やった。
なんてことだ。こいつは、根っからのご主人様だ。
イーディスはかえって小気味良いくらいの気持ちになって、わずかではあるが駄賃を男の手に乗せた。『大鴉の町』で食べ物を買うときにタイレルから預かった余りだ。
「かたじけないことでございます」
うやうやしく受け取って、男は舟に戻っていった。
さてと周囲を見回せば、河岸に際まで木々が迫っていて、獣道のような細い一本道が淵に沿うように長く続いている。『鷹山』はさっきよりもぐっと近く見えるが、あそこまで、いったいどれほど歩くことになるのだろうか。この寒さを凌ぎながら。
リチャードは思い詰めた表情で凍りついた湖を眺めている。彼女の心も、このくらい冷たく、固く閉ざされているように思えた。
「私は昨日まで、『鴉城』の牢獄にいました」
と、イーディスはその横顔に語った。
リチャードの目が、驚きを持ってイーディスに注がれた。
「そう。捕まっていたんです」
自嘲的に笑って、イーディスは先を続けた。手近な小枝を折って、迫る枝葉を払いながら。
「私の父は、マグナ会の代表です」
リチャードは目を丸くした。
「『知恵の里』をご存知ですか?」
と続け様に聞くと、リチャードはその顔のまま首を振った。イーディスは簡単に生まれ故郷を説明した。
「山と森に囲まれた小さな村が、魔法使いの隠れ里でした。そこで生まれるものは、ほとんどが魔法と呼ばれる不思議な力を持っている。全員じゃない。力の弱い者もいる。だが、みんなでそれを鍛えて、伸ばしていくのです。風を読み、大地と話す力を」
そしてその力は、やがて戦争に利用される。
「私の家は、代々強い力を持っていました。父もそうです。だが母を失って、父は変わってしまった。父に従ってオルダニアに移り住んだ者たちも、みな里では異端者とされてきたものたちです。マグナ会というのはそういう連中の集まりで、魔法という商品を売る商人軍団に近い。利害が一致している間は結束していますが、これから先、どうなるかはわからないのです」
話していて、イーディスは悲しくなってきた。なんて馬鹿げた集団に自分は属しているのだろう。
彼女は咳払いして続けた。
「私は父と違う考え方を持っています。つまり、愛するものを失ったからといって、怒りや悲しみを周囲へ八つ当たりするでもなく、自身の利害のためだけに動くのでもなく……もっと、大局的に物事を見たいと思っているんです」
リチャードは訝しげにイーディスを見ていた。
「大局的、とは?」
「この世界の、全体の動きや、未来のこと」
「未来……」
そう繰り返すリチャードの顔は、それまでと異なっていた。急に、鼻先にあった覆いが外されたような、遠くまで見渡すような目だ。
イーディスは、リチャードを信じて言い切った。
「オルダニアは今、戦争の危機にあります」
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