転生した私は人間不信の勇者と村を出る

スノウ

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冒険者として生きていく

戦うか否か



「ふああ。良く寝た。もうお昼かあ。やっぱり時間の感覚が狂ってるみたい」

「おはようユーニス。ゆっくり寝られたみたいだね」

「おはようアンセル。私、あれからもう3日も休んでいるのに、まだ時間の感覚がおかしいのよ」

「きっと疲れが溜まっていたんだろうね」

「そうなのかな。…あれ、デリックは?」

「あいつは日課のトレーニング中」

「え?休みの日までトレーニングしてるの?デリックはすごいね。私も見習わなきゃ」

「アイツの場合は体を動かすのが趣味みたいなものだろう。ユーニスは今のままでいいよ」

「そ、そうかな?」

「そうだよ」


 きっと、デリックは体を動かさないと調子が出ないタイプの人間なのだろう。

 幼い頃から部屋に閉じ込められていた私にとっては部屋でじっとしていることが当たり前で、動き回りたいという欲求は今もあまり湧いてこない。

 冒険者になってからはモンスター狩りであちこち動き回っているが、私個人の運動能力はかなり低いと思う。
 デリックのお父さんに武器の扱いは壊滅的と言われるわけである。


「デリックが戻ったら、そろそろマーダーグリズリーと戦うかどうかの話し合いをしようと思うんだ」

「わかった。それまでに食事を済ませておくね」




 アンセルと別れ、テントに戻って食事をとる。私だけ寝坊してしまったので、今日は1人での食事だ。

 マーダーグリズリーと戦うかどうかは決まっていないが、私はおそらく戦うことになるのではないかと思っている。

 まずは様子見をして、勝てる見込みがありそうなら倒す。そんな感じになると思う。

 マーダーグリズリーと戦うための準備は今日までの間にしっかりと済ませてある。

 レベルに関しては、ホワル周辺の敵を相手に上げられる限界であろうレベル16まできっちり上げてある。

 マーダーグリズリーとのレベル差はまだまだ大きいが、これ以上レベルを上げようと思うならホワルを出なければならなくなる。

 いくつもの町を行ったり来たりするのは時間がかかるし、あまり現実的ではない。

 そんなことをするくらいなら、マーダーグリズリーはスルーして、次の町に旅立ったほうがいいと思う。


 防具もミスリル装備を揃えてある。

 あれからコツコツと資金を貯め、2週間前にやっと全員分のミスリル装備を買い揃えることができた。

 鎧、盾、小手、ブーツ、すべてを揃えるためにお財布からかなりの金額が消えていった。

 実はアンセルとデリックにはミスリル製の兜も購入しているのだが、これに関しては2人の評価があまり良くない。

 性能的には問題ないのだが、兜を装備すると視界が狭まり、さらには息がこもって暑苦しいのだとか。

 これを装備しないとまともに戦えないほど敵が強いならともかく、現状オーバースペック気味であるため、結局2人とも兜を装備しないままで戦っている。

 私達のミスリル装備は白銀色でキラキラしていてとても目立つため、ホワルの町に行くと冒険者達からよく話しかけられるようになった。

 話題は主に「君達の装備立派だね。どこで買ったんだい?」という質問ばかりだ。

 人間不信のアンセルは、それらの質問をことごとく無視し続けている。

 デリックは愛想よく答えているし、私も防具屋さんが少しでも繁盛するように、できる限り防具屋さんの名前を出し、店の宣伝をしている。いいものを売っているとわかれば来店するお客さんも増えることだろう。


 食事を終えた私は隣のテントに移動する。

 私が来るとわかっているのでテントの入り口は開いたままだ。


「アンセルお待たせ。あ、デリック、帰ってきてたんだね。お帰りなさい」

「おう、ただいま」


 軽い挨拶を済ませ、空いている場所に腰を下ろす。


「さて、みんな集まったことだし、マーダーグリズリーと戦うかどうかを決めたいと思う」

「戦うかどうかって言うけどさ、一度実物を見てみないと判断がつかないぞ」

「デリック、言いたいことはわかるが、相手に気付かれたら戦闘になるぞ」

「遠くから眺めるのはどう?相手が気付いたら全速力で逃走するの」

 私の提案にアンセルは考え込む。

「…ユーニス、マーダーグリズリーはいつも同じ場所に現れるという話だったよね」

「うん。普通の敵は出現範囲とされる場所の中でランダムに出現するけど、マーダーグリズリーは草原の端にある草むらにしか出現しないみたい。それも一体だけ」

 マーダーグリズリーはリポップするという話だったからボスではないと考えていたけど、立ち位置としてはボスと同等の扱いなのかもしれない。

 同じ場所に一体だけ出現するというのは、他のモンスターにはない特徴だ。
 

「……一体だけなら逃げきれるか。どちらにせよ戦うと決まれば同じことになっていたわけだしね」

「今の俺達は性能のいい防具も装備してるし、一撃で殺されるってことはないと思うぞ」

「──わかった。一度マーダーグリズリーの様子を見に行こう。そうと決まればユーニス」

「?はい」

「君にはマーダーグリズリーに《封縛陣》が効くかどうか試してもらいたい」

「!わかった、やってみるね」

「魔法の有効範囲ギリギリのところから《封縛陣》を使うんだ。そして、もしマーダーグリズリーの動きが止まった場合は何秒停止したかを調べておいてほしい」

「うん。頑張るよ」

「ってことは、今回は完全に様子見だな」

「当たり前だろう。何だと思っていたんだ」

「いやー、やれそうなら戦ってみてもいいかな~、と」

「自重しろ」

「スマン、悪かった」


 こうして私達の大まかな方針が決まり、3人で草原ヘと向かった。

 
「草原の端に1ヵ所だけ草が生い茂っている場所があるのがわかる?マーダーグリズリーはあそこにいるはずだよ」

 私は草原の端を指差し、敵の居場所を2人に伝えた。

 敵がいる場所からはまだまだ遠いため、マーダーグリズリーの気配までは感じ取れない。


「よし。このままゆっくりと距離を詰めよう。ユーニスは魔法の有効範囲ギリギリになったら教えてくれ」

「わかった」

「くぅ~、緊張するぜ」


 デリックは緊張しながらもどこか楽しそうだ。

 私達はゆっくりと前進した。しばらく進むと草むらの中にマーダーグリズリーと思われるモンスターの姿を視認できた。


「おお……デケェな……」


 さすがのデリックも思わず言葉を失ってしまったようだ。

 マーダーグリズリーは遠目で見てもかなりの大きさで、おそらくは2.5メートルはあるのではないかと思う。

 あの巨体から繰り出される攻撃は、並みの冒険者が相手であれば一撃で死に追いやるほどの攻撃力がある。
 今の私達でも直撃すればどうなるかわからないだろう。


「アンセル、ここが《封縛陣》の有効範囲ギリギリの場所だよ。早速魔法を使ってみる?」

「あ、ユーニス。それなら少し待って」

「?」


 何か問題でもあるのだろうかとアンセルの様子を窺っていると、彼はそのまま私に近づいてきて、何故か私を抱き上げた。いつぞやのお姫様抱っこと同じ体勢である。


「??アンセル?これはどういうことなの?」

「ユーニス、マーダーグリズリーが追いかけてきたら、君の足では振りきれない」

「!!」


 私の胸に真実の刃が突き刺さる。

 ……そうだね。私の運動能力はからっきしだから、当然走る速さもメチャクチャ遅い。

 もしマーダーグリズリーが追ってきた場合、私が自分で走って逃げるよりもアンセルに抱えられて運んでもらうほうが速い。少なくともアンセルはそう考えたのだろう。

 うう、わかるよ。命がかかってるものね。

 恥ずかしいとかみっともないとか言っている場合じゃないんだよね。

 うん、仕方ない。申し訳ないが、ここはアンセルにおまかせしよう。

 私がそう腹を括ったその時、私達のやり取りを聞いていたデリックが話しに入ってきた。


「なあ、ユーニスを抱えて逃げるんなら俺のほうが速くないか?俺が───!?」


 デリックは言いかけた言葉を何故か飲み込んでしまった。
 そして真っ青な顔でアンセルを凝視している。アンセルの表情はこちらからは見えない。


「デリック、何か言ったかい?」

「い、いや、何でもない」

「そうか、それならいいんだ」

「………」


 デリック。あなた、さっきまでの勢いはどうしたの?急に怯えたような表情になって、小さい声で「怖えぇ…」とか言ってるけど、それ、マーダーグリズリーに対してだよね。


「アンセル、このまま《封縛陣》を使うの?」

「ああ、ユーニスのタイミングで発動してくれ」

「……わかった」


 今はマーダーグリズリーに集中しなければ。

 私はマーダーグリズリーに対して魔法を行使しようとして……ふとマーダーグリズリーの真っ黒な瞳と目が合った気がした。


「!!」


 途端に全身に震えが走る。

 あの瞳、私を格下の取るに足らない羽虫のように思ってる目だ。圧倒的強者の余裕。そして、自分の気まぐれであっけなく相手の命を刈り取ってしまえるという自負。

 オマエハ狩ラレル側ダ。

 そう言われたように感じ、震えが止まらない。

 私達、あんなヤツと戦うの?無理だよ。目が合っただけでこんなに怖いのに。ああ、逃げたい。早く帰りたい。


「──ス!ユーニス!大丈夫かい?」

「ぁ……」


 アンセルの声で我に返る。

 ……そうだ。私はひとりじゃないんだ。

 ついつい敵の雰囲気に呑まれてしまったが、私達はできる限りの準備をしてからここに来ているのだ。敵をやみくもに恐れる必要はない。

 私はただ、自分の為すべきことをするだけでいい。

 私は一度大きく息を吸い、それからゆっくりと吐き出した。


「もう大丈夫。ありがとう、アンセル」

「ユーニス……わかった。君を信じるよ」


 ありがとう、アンセル。

 あなたがそばにいてくれて良かった。

 私は先程までとは打ってかわり、とても冷静な気持ちでマーダーグリズリーを見つめた。
 敵の姿を視認し、魔法のターゲットとして捕捉する。


「いくよ。《封縛陣》!」


 私の魔法が発動した瞬間、マーダーグリズリーの動きが止まり、立っていられなくなった敵は派手な音を立てながら地面に倒れた。


「おお!魔法が効いてるぞ!」

「まずはひと安心だね。あとはどれくらいの間動きを止められるかだが…」


 私は心の中で数を数える。

 1、2、3、4、5、……

 12まで数を数えたところでマーダーグリズリーが動きだした。


「!アンセル、ユーニスを連れて逃げろ!しんがりは俺が引き受ける」

「デリック……すまない、頼む」

「おう!まかせとけって」


 それからは、ただひたすら草原の入り口を目指して走り続けた。

 マーダーグリズリーの出現区域は草原なので、おそらく草原を抜けれはそれ以上は追ってこないだろうと予想している。
 少なくとも他のモンスターの場合はその方法で逃げきることができていた。

 ゲームではマップを切り替えると敵が再配置されていた。
 おそらく私達が草原を出た瞬間に、草原の敵すべてが再配置されるだろう。
 つまり、次に会う時のマーダーグリズリーは、今日会った個体とは全く別の存在ということになる。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


 草原を抜け、さらにしばらく走ったところでアンセルが足を止めた。

 ごめんなさい、アンセル。鎧を装備しているからただでさえ走りづらいのに、私という荷物まで持って全力疾走したのだ。彼の体力は限界だろう。


「ありがとう、アンセル。もう大丈夫だからおろしてね」

「はぁ、はぁ、はぁ」

「アンセル……?」

「──うん、今おろすよ」


 そう言って私を地面におろしてくれたのだが、アンセルはそのまま私に抱きついてきた。

 私が彼の体重を支えられるはずもなく、2人して地面に座り込む。アンセルはそれでも変わらず私に抱きついたままだ。


「おーい、お二人さん、そーゆーのは俺がいないところでやってくれー」

「!デリック。良かった、無事に逃げられたのね」

「まあ、なんとかな。つーか、アンセルはどうしちまったんだ?」


 私は何と答えていいかわからず首をひねる。

 これは私の推測でしかないが、アンセルは私の命が危険にさらされたことで、私が村人達にいけにえに捧げられそうになった時のことを思い出したのではないかと思う。

 私を抱き締めることで、私がちゃんと生きていることを確かめようとしているのかもしれない。


「……大丈夫よデリック。もうしばらくこのままにしておきましょう」







 その後、もとの調子に戻ったアンセルとともに拠点にしている場所まで戻ってきた。

 冷静さを取り戻したアンセルは、マーダーグリズリーと戦うことを止めようとはしなかった。やはり先程の彼の行動は意図したものではなかったのだろう。


 
 
 さあ、次はマーダーグリズリーと戦うための作戦準備だ。







 

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