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てっきりサロンに案内されると思いきや、通された場所は庭だった。
しかもお見合いは一対一。
アウェイである侯爵家の敷地内では、リシャーナに発言権は無い。唯一の味方であるアンナが、付き人用のサロンに収納されていくのを涙を呑んで見送ることしかできなかった。
「さぁさぁさぁ、こちらでございます。本日は晴天に恵まれ良かったです。エルディック様もずっと天気を気にされておりまして、昨夜なんかーー」
「おい、口を縫い付けられたいのか?」
ペラペラと良くしゃべるシイドを黙らせたのは、リシャーナではなかった。
「下がれ、シイド。……さて、久しぶりだなリシャーナ。今回は逃げなかったな。褒めてやる」
顎で執事を追い払った彼ーーエルディック・アラドは、リシャーナに向けてニヤリと笑った。
春の柔らかな陽の光に反射して、眩しいほどに輝く銀髪。宝石を埋め込んだようなターコイズ色の瞳。背が高く、筋肉質な彼は見る者に威圧感を与える。
でも一度笑えば人懐っこい大型犬のようで、実際、責任感が強く頼りがいのある青年で、エルディックはアカデミーでは学年問わず沢山の人に慕われていた。
リシャーナも、かつては彼を慕っていた一人だった。
でも今は違う。できることなら関わり合いたくない相手。自分の黒歴史の生き証人……ということもあるが、エルディックだって、自分と関わり合いたくなんかないだろう。
「……どうしてですか?」
「は?どうした、藪から棒に」
堪らない気持ちで問うと、エルディックに眉間に皺が寄った。嫌な気持ちを隠す気も無ければ、答える意思も無いのだろう。
「いえ、なんでもありません」
しつこく尋ねたとて、そこに欲しい言葉は無いのはわかっているリシャーナは俯きエルディックから目を逸らす。
「そうか。まぁ、立ち話をするのもアレだから、向こうに席を用意した。行くぞ」
アカデミーを卒業して互いに紳士淑女となったのに、エルディックはリシャーナに背を向けさっさと歩き出す。
お見合いと称して呼びつけたくせに、エスコートをしてくれる気はないのだ。
「そうだよね……やっぱり嫌われているんだよね、私」
振り向く気配が無いエルディックにリシャーナは、そりゃそうだよねと薄く笑った。
だって彼は自分に「いい加減、見苦しい真似はやめろ。実に不快だ」と冷たく言い放ったんだから。
しかもお見合いは一対一。
アウェイである侯爵家の敷地内では、リシャーナに発言権は無い。唯一の味方であるアンナが、付き人用のサロンに収納されていくのを涙を呑んで見送ることしかできなかった。
「さぁさぁさぁ、こちらでございます。本日は晴天に恵まれ良かったです。エルディック様もずっと天気を気にされておりまして、昨夜なんかーー」
「おい、口を縫い付けられたいのか?」
ペラペラと良くしゃべるシイドを黙らせたのは、リシャーナではなかった。
「下がれ、シイド。……さて、久しぶりだなリシャーナ。今回は逃げなかったな。褒めてやる」
顎で執事を追い払った彼ーーエルディック・アラドは、リシャーナに向けてニヤリと笑った。
春の柔らかな陽の光に反射して、眩しいほどに輝く銀髪。宝石を埋め込んだようなターコイズ色の瞳。背が高く、筋肉質な彼は見る者に威圧感を与える。
でも一度笑えば人懐っこい大型犬のようで、実際、責任感が強く頼りがいのある青年で、エルディックはアカデミーでは学年問わず沢山の人に慕われていた。
リシャーナも、かつては彼を慕っていた一人だった。
でも今は違う。できることなら関わり合いたくない相手。自分の黒歴史の生き証人……ということもあるが、エルディックだって、自分と関わり合いたくなんかないだろう。
「……どうしてですか?」
「は?どうした、藪から棒に」
堪らない気持ちで問うと、エルディックに眉間に皺が寄った。嫌な気持ちを隠す気も無ければ、答える意思も無いのだろう。
「いえ、なんでもありません」
しつこく尋ねたとて、そこに欲しい言葉は無いのはわかっているリシャーナは俯きエルディックから目を逸らす。
「そうか。まぁ、立ち話をするのもアレだから、向こうに席を用意した。行くぞ」
アカデミーを卒業して互いに紳士淑女となったのに、エルディックはリシャーナに背を向けさっさと歩き出す。
お見合いと称して呼びつけたくせに、エスコートをしてくれる気はないのだ。
「そうだよね……やっぱり嫌われているんだよね、私」
振り向く気配が無いエルディックにリシャーナは、そりゃそうだよねと薄く笑った。
だって彼は自分に「いい加減、見苦しい真似はやめろ。実に不快だ」と冷たく言い放ったんだから。
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