トロールと棍棒

リン

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トロールと棍棒

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 デリクリスタは敵をみやった。
 大きい。
 大きすぎる。
 その手に持つ棍棒の巨大さに、彼女は歓喜した。
 棍棒オタク。
 それがデリクリスタの難点だった。
 街では可憐で話題になるほどの彼女がなぜ棍棒をそんなに愛してやまないのか。
 誰にも理由はわからなかった。
 口さがない者たちは埒もないことを言い合った。
 しかしデリクリスタはそんなことは気にしない性質だ。
 家にはサイクロプスから奪い取った棍棒を何本も飾っていて、それらを見入っているのが彼女の至福のひとときだった。
 そういうことで、今回もトロールの手に握られた大木のような棍棒に目を輝かせているのである。
 「なんて大きさなの!」
 思わず叫ぶデリクリスタにトロールも困惑気味だった。
 「コレ、ホシイ、ノカ?」
 「ほしい!ほしい!ほしい!」
「コレ、チチ、ハハ、クロウシテ、テニイレタ。ダカラ、オマエ、ヤレナイ」
「そこをなんとかならない?」
 敵を倒すことを忘れているデリクリスタであった。
「ジョウケン、アル。オレ、ヒトリ。トモダチ、ホシイ」
「わたしがあなたの友だちになればいいの?」
「ソウ、ハナシ、アイテ、ホシイ。ソレナラ、ヤル」
「お安い御用ね。お友だちになりましょう。で、どんな話をしてほしいのか教えて」
「オトギ、バナシ、シロ」
 トロールは腰を下ろした。ずしんと地鳴りのような音がした。
 デリクリスタもその横にちょこんと座る。
 そしておとぎ話を始めるのだった。
 それは王国に伝わる昔話だった。
 国王の命令で、勇者がトロール王を倒しに行く話である。
「ソレデ、トロールノ、オウサマハ、ドウシタ」
「首チョンパね」
「ソウカ、オキサキハ、ドウシタ」
「首チョンパね」
「オマエモ、オレ、クビチョンパ、カ」
「友だちだから、そんなことしない。それよりあなたのいちばん大事なもののようだけど、ほんとにわたしにくれるの?」
「オレ、ヤクソク、マモル」
 トロールはいい奴だった。
「やっぱり、もらえないな。友だちのいちばん大切なものをもらうんだったら、こちらもなにかあげないといけない。でも、わたしにはこれより小さな棍棒しかないから」
「イチバン、デハナイ。ガ、モット、リッパ、コンボウ、アル」
「えっ、ほんと?」
 トロールが見せるそれは、まさに立派なコンボウだった。
 デリクリスタは目を丸くして、まじまじとソレを見つめた。
 「コレ、ナラ、イツデモ、ミテイイ」
 「それなら決まりね」
 そんなわけで、デリクリスタとトロールは幸せに暮らしました。とさ。
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