強引社長とΩくん。

強引社長とΩくん。

訪問

家に帰ると突然片倉さんが迎えに来ていた。
早く車に乗れと急かされて意味もわからず車に乗り込む。

事情を聞いても行ったら分かるからと教えてくれなかった。
そしてじいちゃんの住んでいる屋敷に着いた。

片倉さんに連れられるまま奥の部屋の襖を開けた。
そこに居たのは、なんと成宮さんだった。

「えっ？成宮さん？どうしてここに？」

「メールで伝えたが見ていないようだな。」

あの時のメールか、と急いで充電器を借りてスマホをつける。
そこには成宮さんからの最初のメールと電話がかかっていた。

「ごめんなさいっ！充電切れてて……」

「まぁいい。ここに座りなさい。」

そう言われて成宮さんの横に腰掛ける。
何を話してもいいのかわからず気まずい空気が流れる。

するとまた襖が開きじいちゃんが姿を現し、目の前のソファにどっかりと座った。

「前置きはなしじゃ。本題に入ろう。」

「はい。奏叶さんのことについてですが、1人で別宅に住んでいらっしゃると聞きました。
一人暮らしは何かと不安でしょう。ですので、私に奏叶さんを預からせて頂きたいのです。」

俺を預かる？どういうことだろう。説明もなく話し合いが始まり、バチバチとじいちゃんと成宮さんの間に火花が散る。

「じゃがこの子はまだ高校生じゃ。赤の他人とも言える君に大事な孫を預けるのはいささか不安じゃのう。」

「しかし一人暮らしをする上でも不安はあります。それは赤の他人ではなく、運命の番として不安なのです。」

じいちゃんは赤の他人、成宮さんは運命の番という言葉を強調している。