強引社長とΩくん。

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強引社長とΩくん。

修羅場

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海斗は俺の腕を握り締めたまま成宮さんと睨み合っている。

「海斗っ!これは、その、違くて…」

「奏叶は黙ってて。」

必死に弁明しようとするも言葉を遮られる。鋭い‪α‬の眼光で睨まれると本能的に従うしかなくなる。
成宮さんは余裕そうな不敵な笑みを浮かべて睨んでいる。

「成宮さんっ、その!帰りましょうっ…!」

この空気に耐えかねた俺は成宮さんを半ば強引に引っ張って車のドライバーさんに車を出すように伝えた。
後ろから海斗の声が聞こえたがここにいてもゆっくり説明することは不可能だろう。

急いで車を出してもらって学校から離れる。

「あいつは誰だ? 」

「あ、えっと、五十嵐海斗って言うんですけど親友です。」

「‪α‬だろう。大丈夫なのか?」

「それは大丈夫です。仲良くしてくれてますし……」

「そうか。」

それだけ言うと車内は静寂に包まれた。
本当はもっと話したかったけれどこんな雰囲気で話せる訳もなく。怒ってはいないようだが、俺の方を見てくれない。

いつもの成宮さんのように見えるがなぜだか分からないが少しピリピリした雰囲気に気分が悪くなる。

そんな状態が30分程続き、車はあるホテルの前で止まった。
そこは俺が発情してしまったあのホテルだった。

ドアが開くと成宮さんが腕を差し伸べてきた。

小声で「エスコート」と囁かれ、慌てて成宮さんの腕に自分の手を置く。
エスコートされるままにまた控え室でスーツに着替えてレストランに案内される。

夕焼けから星空に変わって行く空を背に成宮さんは座っていた。
その美しさに見とれながらも向かい側のソファに座る。

しかし成宮さんは外を向いたままこっちを見てくれない。俺は空気に耐えかねてなにか話そうと頑張るも空回り。

(俺が逃げようとしたから怒ってるのかな……)

「っ……成宮さんっ!どうして何にも話してくれないんですか?俺っ、その、逃げようとはしましたけど別に成宮さんが嫌いとか言うわけではなくって!その!ごめんなさい……!」

「いや、怒っているのではない。確かに逃げようとしたのは後でおしおきだが……あの五十嵐海斗……どこかで見たことがあるような気がしてな。考え事をしていたのだ。」

「そうだったんですね……よかった……」

とりあえず怒っていないことを確認できてほっとする。
少しして豪華な食事が運ばれてきた。

一通りマナーは教わっているが、粗相をしたらどうしようと少し戸惑う。
けれど成宮さんは「好きなように食べろ。」と言ってくれた。

料理はやっぱりすごく美味しくて1口食べる度にほぼが緩んでしまう。
言葉はないが成宮さんも楽しんでくれているんだろう。
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