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Ⅴ 進捗
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「ただいま戻りました」
アクトが戻ってきた。
「また、人を殺してきたんですか」
「人じゃねえって言ってんだろ。職務をまっとうしてるだけだ。それに対しお前は、一生事務作業か」
「アクト君がそんなこと言うからこんなになっちゃうんでしょー?いい加減その口チャックしたらどうですか?」
「じゃあだめ宮さんが戦いますか?」
「そっ、それはだめです」
シュウが声を荒げた。
「レイラさんが戦うぐらいなら、僕が行きます」
「ありがとうシュウ君。それと、だめ宮じゃなくて雨宮ですから!」
「やっとやる気になったか。次は吐くなよ」
「これでも励ましてるの。気にしないでね」
「そんなんじゃねえ」
「あっ...はい」
その時、また扉が開く音がした。
「また喧嘩してんのか。アクト、ほどほどにしとけ」
「赤城さん、こいつが悪いんじゃないすか」
「いーのいーの」
赤城が聞き流す。
「ところでさっき、行くって言ったよなあ。まともにやれんのか、楽しみにしとくからな」
アクトはシュウを睨んで、また音楽プレーヤーのイヤホンを耳に挿し、目を閉じた。
その時、電話が鳴った。赤城が電話をとる。
「はい、もしもし、ああ、はいはい。すぐ行きます」
赤城は電話を置いた。
「おいアクト、出番だぞ人工尾の違法所持者だってよ。おい、お前起きてんだろ」
アクトは起きない。
「しゃあねえ、俺が行くか」
赤城はさっき脱いだばかりの上着に手をかける。
「あのっ」
シュウが声を上げた。
「ん?どうした?」
「ぼ、僕が行きます」
シュウは顔を下にうつむけたまま赤城に言う。
「僕に行かせてください」
「それでいいんじゃね」
アクトが目を覚ました。
「お前やっぱ起きてたんじゃねーか」
「別に?こいつも人手なんだから役に立たないと」
「お前なあ...シュウ、行けるか?」
「はい。行かせてください」
「無理だけはするなよ」
「えっと、言われた廃病院って確かここ...」
そこは廃れた、病院だったものだ。
「自動ドアは...動くわけないか」
シュウは手でこじ開けて中に入る。
「ここは...ロビー?」
そこは明かりもついてないが、誰もいないカウンターと誰もいない待合席が広く続く正真正銘のロビーだった。いや、そこに、人影が一つ。
「アッハハーー」
そいつはシュウまで聞こえるか聞こえないくらいの奇声を上げている。
「...誰ですか?」
声をかけると、その影が振り向く。
「アアァアーー?」
表情はめちゃくちゃだが、シュウの方を向いていた。
「ァアッハッハーーッ」
影は椅子の上に4足で立ち上がった。
「僕がやらなきゃいけないんだ...逃げたら被害が出る。ここで...」
シュウは次の言葉が出てこなかった。
「...殺す」
シュウは言葉にしたとたんに決意に変わるのを感じた。もう吐かない。敵は人の姿の化け物、人じゃない。
「行くぞ化け物!」
シュウは敵に向かって走り出した。
「アッハハハハハハハ!」
敵もこちらへ向かってきた。人工尾をこちらに向け、4足出走ってくる。それは人間とは思えないほど早い。
「ふっ!」
それをエンの尾で防ぐ。そして、シュウの尾を敵のこめかみに突き刺す。敵はだらんと手足から力が抜ける。
「やった...のか?」
「アハッ♥」
敵は再び力が入る。敵が手でシュウの尾をつかみ、握りつぶそうとする。
「アハ、唖ッハハはハ覇ッハハッハハ亜ハ破ハハはハハはハッハハ」
「うぐっ、うああああ」
シュウに尾の痛みが伝わる。
「いだい!うあああ!」
シュウはエンの尾を振り回す。それが敵の頭にクリティカルヒットした。
「アハ、アハア...あはは」
敵が力尽きた。これで正真正銘敵の死である。
「これで...これで勝ったんだ。殺した。僕が殺した」
シュウはかみしめるように繰り返した。
「ハァ、ハァ...勝った。ところでこれ、どうすればいいんだろう...」
シュウは、ポケットに携帯が入っていることを思い出した。
「そうだ、携帯。これで連絡すれば...番号わからないや」
ファームから出されて、意識が戻ってから2日しかたっていない。一般の携帯番号が何桁なのかすらもシュウにはわかっていなかった。
prrrrrr
その時、見越したように電話がかかってきた。シュウは折り畳み式の携帯を開いて、電話に出る。
「はっはい!」
―――もしもし、どうだ戦況は。
電話の相手は赤城だった。
「あ、たった今殺しました」
―――おお、やるじゃねえか。待ってな、近くから回収の車をやるから、積むの手伝ってくれや。
「わかりました」
―――お疲れ。吐き気は大丈夫か?
「大丈夫です」
―――そうか。安心した。じゃあいうことなしだな。一つ悪いとこ指摘すんなら...
「なんですか?」
―――電話に出たらもしもしな。
「はい」
―――もしもし、アクトだ。
「もしもしシュウです」
―――やっとスタートラインだ。今やっと言ってやるよ。ようこそ、こっちに。
「...はい!」
シュウは暗闇の中、照らすような笑顔を浮かべた。
アクトが戻ってきた。
「また、人を殺してきたんですか」
「人じゃねえって言ってんだろ。職務をまっとうしてるだけだ。それに対しお前は、一生事務作業か」
「アクト君がそんなこと言うからこんなになっちゃうんでしょー?いい加減その口チャックしたらどうですか?」
「じゃあだめ宮さんが戦いますか?」
「そっ、それはだめです」
シュウが声を荒げた。
「レイラさんが戦うぐらいなら、僕が行きます」
「ありがとうシュウ君。それと、だめ宮じゃなくて雨宮ですから!」
「やっとやる気になったか。次は吐くなよ」
「これでも励ましてるの。気にしないでね」
「そんなんじゃねえ」
「あっ...はい」
その時、また扉が開く音がした。
「また喧嘩してんのか。アクト、ほどほどにしとけ」
「赤城さん、こいつが悪いんじゃないすか」
「いーのいーの」
赤城が聞き流す。
「ところでさっき、行くって言ったよなあ。まともにやれんのか、楽しみにしとくからな」
アクトはシュウを睨んで、また音楽プレーヤーのイヤホンを耳に挿し、目を閉じた。
その時、電話が鳴った。赤城が電話をとる。
「はい、もしもし、ああ、はいはい。すぐ行きます」
赤城は電話を置いた。
「おいアクト、出番だぞ人工尾の違法所持者だってよ。おい、お前起きてんだろ」
アクトは起きない。
「しゃあねえ、俺が行くか」
赤城はさっき脱いだばかりの上着に手をかける。
「あのっ」
シュウが声を上げた。
「ん?どうした?」
「ぼ、僕が行きます」
シュウは顔を下にうつむけたまま赤城に言う。
「僕に行かせてください」
「それでいいんじゃね」
アクトが目を覚ました。
「お前やっぱ起きてたんじゃねーか」
「別に?こいつも人手なんだから役に立たないと」
「お前なあ...シュウ、行けるか?」
「はい。行かせてください」
「無理だけはするなよ」
「えっと、言われた廃病院って確かここ...」
そこは廃れた、病院だったものだ。
「自動ドアは...動くわけないか」
シュウは手でこじ開けて中に入る。
「ここは...ロビー?」
そこは明かりもついてないが、誰もいないカウンターと誰もいない待合席が広く続く正真正銘のロビーだった。いや、そこに、人影が一つ。
「アッハハーー」
そいつはシュウまで聞こえるか聞こえないくらいの奇声を上げている。
「...誰ですか?」
声をかけると、その影が振り向く。
「アアァアーー?」
表情はめちゃくちゃだが、シュウの方を向いていた。
「ァアッハッハーーッ」
影は椅子の上に4足で立ち上がった。
「僕がやらなきゃいけないんだ...逃げたら被害が出る。ここで...」
シュウは次の言葉が出てこなかった。
「...殺す」
シュウは言葉にしたとたんに決意に変わるのを感じた。もう吐かない。敵は人の姿の化け物、人じゃない。
「行くぞ化け物!」
シュウは敵に向かって走り出した。
「アッハハハハハハハ!」
敵もこちらへ向かってきた。人工尾をこちらに向け、4足出走ってくる。それは人間とは思えないほど早い。
「ふっ!」
それをエンの尾で防ぐ。そして、シュウの尾を敵のこめかみに突き刺す。敵はだらんと手足から力が抜ける。
「やった...のか?」
「アハッ♥」
敵は再び力が入る。敵が手でシュウの尾をつかみ、握りつぶそうとする。
「アハ、唖ッハハはハ覇ッハハッハハ亜ハ破ハハはハハはハッハハ」
「うぐっ、うああああ」
シュウに尾の痛みが伝わる。
「いだい!うあああ!」
シュウはエンの尾を振り回す。それが敵の頭にクリティカルヒットした。
「アハ、アハア...あはは」
敵が力尽きた。これで正真正銘敵の死である。
「これで...これで勝ったんだ。殺した。僕が殺した」
シュウはかみしめるように繰り返した。
「ハァ、ハァ...勝った。ところでこれ、どうすればいいんだろう...」
シュウは、ポケットに携帯が入っていることを思い出した。
「そうだ、携帯。これで連絡すれば...番号わからないや」
ファームから出されて、意識が戻ってから2日しかたっていない。一般の携帯番号が何桁なのかすらもシュウにはわかっていなかった。
prrrrrr
その時、見越したように電話がかかってきた。シュウは折り畳み式の携帯を開いて、電話に出る。
「はっはい!」
―――もしもし、どうだ戦況は。
電話の相手は赤城だった。
「あ、たった今殺しました」
―――おお、やるじゃねえか。待ってな、近くから回収の車をやるから、積むの手伝ってくれや。
「わかりました」
―――お疲れ。吐き気は大丈夫か?
「大丈夫です」
―――そうか。安心した。じゃあいうことなしだな。一つ悪いとこ指摘すんなら...
「なんですか?」
―――電話に出たらもしもしな。
「はい」
―――もしもし、アクトだ。
「もしもしシュウです」
―――やっとスタートラインだ。今やっと言ってやるよ。ようこそ、こっちに。
「...はい!」
シュウは暗闇の中、照らすような笑顔を浮かべた。
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