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Ⅶ 左ハンドル
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「ただいま~」
「ただいま...戻りました」
シュウらは部屋に戻ってきた。
「お帰り~、シュウ君吐かずに倒せたんだって?すごいじゃ~ん!」
「それだけじゃないぞ、過去一いい状態の研究体で手に入ったんだ」
「すごい!過去一だって!ほら、アクト君もなんか言ってよ」
「...認めてやらんこともない」
「またそう言う!」
「状態がいいってことは力が弱いってことでしょ。そんなんじゃもっと強いのが出てきたときに対応しきれないっすよ」
それは紛れもない事実だった。シュウの尾は深くまでは刺さっておらず、エンの尾で殴り倒したからだ。
「ま、いいじゃないか。シュウも一つ一つ成長していくんだからな。お前みたいに最初からLv.99で入ってくる奴なんていないんだよ」
「俺は俺の望みを果たすために当然の努力をしただけです」
「はいはいすごいすごい。じゃ、次の通報が入るまで待機だな。シュウ、ハンバーガーあるけど食う?」
「おっさん相変わらず体に悪そうなもんばっか食べてますね」
「お前今上司に向かっておっさんっつったか!?それに俺はまだおっさんじゃねえ!まだ39だ!」
「アラサーとかのレベルじゃないっすよそれ、アラフォーですよアラフォー」
「やめろ、それを言うな!ぐああああ」
「あの...ハンバーガー...ああ...」
ちなみにこの後しっかりハンバーガーをもらった。シュウはファームにいて食べたことなかったので感動していた。アクトが1個くれたので、シュウはハンバーガーでおなかを一杯にした。
「殺し...か...」
シュウはその日、寮に帰ってから考え込んでいた。今回はトイレではなくベッドの上だ。
「あの市民たちは僕のこと怖いっていってた」
守っているのに、助けたつもりなのに、市民からは白い目。
「助けないと文句言うくせに...」
無知は武器である。知らないというだけで立場に関係なく人を攻撃できる。
「生身の人が何もできないから僕らが戦ってるんだ。それなのに、殺せば人でなし扱い。僕は何をするのが正解なんだろう...人殺し、あれは人じゃないってみんな知らないんだろうか...」
例えば警察側からPRしたとしよう。民衆は「正当化だ」と聞く耳を持たないに違いない。さらに、別の方法で第三者からPRさせようとも「隠蔽だ」「買収だ」などという輩が湧いて出るだろう。
「だから警察側は無視しかしないのか...」
誰が悪いのか、そんなものはない。しいて言えば、人工尾が悪い。
「殲滅...アクト君のいうことは間違ってないのかもな...」
「シュウ、まただってよ。行けるか?」
赤城が電話を片手に持ったままシュウに聞く。アクトは出払っている。
「はい!」
「おう。じゃあ30-e2の地下駐車場に行ってくれ。割と近くだな...送ってくわ」
「ありがとうございます」
「昨日は寝れたか?」
「はい。おかげさまで」
「ハハッ、俺は何もしてないけどな。それならよかった」
赤城は前を向いたまま笑う。
「今日の敵な、なんか変なんだ」
「変...ですか?」
「ああ、人の目をやたら気にするんだと」
「何かを守ってるんですかね...」
「さあ?しかし誰も追いきれないんだそうだ。かろうじて監視カメラには映ってたみたいだけどな」
「...なんですかね」
「知能が薄いのかもしれん。人工尾の使用者にありがちな症状だ」
車は30-deを通過する。もうじきe2だ。
「そういえば、赤城さん」
「どうした?」
「人工尾と僕みたいな自然の尾ってどうやって区別してるんですか?僕2回戦いましたけど、どっちも普通の尾に見えてくる...」
「ああ、そんなことか。あれはな、自然尾は全員警察に登録されてるんだ。そんなに多くないんだけどな、よっぽどの例外以外うちの部署にな」
「でもうちの部署に尾がある人って...」
「ああ、俺とレイラだけだな」
「少なく...ないですか?」
「24...いや、23だったかな?」
「え?」
「うちの部署で死んだ人間の数だ。全員尾持ちだった」
「...っ」
「気にすんなよ。年齢でファーム出た奴だけだ。お前みたいに2体相手にしたやつはなかなか死なねえ。アクトが来た時には俺もひやひやしてたけどな~」
「あのアクト君がですか...」
「CiSUを使いこなすんだ。並大抵の努力じゃねえよ」
CiSU、アクトが持っていたキューブのことだ。
「Cube is Some Uepon、安直な名だが、あれは状況に応じて使い変えられる点で最強の武器だ。全電動、仕組みまでは知らんがどんな形の武器にもなって使用者を助ける。ありゃ兵器だ」
シュウは「UeponではなくUeponsでは?」と思ったが、言わないことにした。
「不思議な武器ですね...」
「ああ。全部上の人たちのおもちゃのおこぼれさ」
「上の人たちって...」
「知らん」
赤城は左にハンドルを切った。
「ついたぞ。終わったら連絡してくれ」
地下駐車場30-e2、シュウはそのまま車から降ろされた。
「ただいま...戻りました」
シュウらは部屋に戻ってきた。
「お帰り~、シュウ君吐かずに倒せたんだって?すごいじゃ~ん!」
「それだけじゃないぞ、過去一いい状態の研究体で手に入ったんだ」
「すごい!過去一だって!ほら、アクト君もなんか言ってよ」
「...認めてやらんこともない」
「またそう言う!」
「状態がいいってことは力が弱いってことでしょ。そんなんじゃもっと強いのが出てきたときに対応しきれないっすよ」
それは紛れもない事実だった。シュウの尾は深くまでは刺さっておらず、エンの尾で殴り倒したからだ。
「ま、いいじゃないか。シュウも一つ一つ成長していくんだからな。お前みたいに最初からLv.99で入ってくる奴なんていないんだよ」
「俺は俺の望みを果たすために当然の努力をしただけです」
「はいはいすごいすごい。じゃ、次の通報が入るまで待機だな。シュウ、ハンバーガーあるけど食う?」
「おっさん相変わらず体に悪そうなもんばっか食べてますね」
「お前今上司に向かっておっさんっつったか!?それに俺はまだおっさんじゃねえ!まだ39だ!」
「アラサーとかのレベルじゃないっすよそれ、アラフォーですよアラフォー」
「やめろ、それを言うな!ぐああああ」
「あの...ハンバーガー...ああ...」
ちなみにこの後しっかりハンバーガーをもらった。シュウはファームにいて食べたことなかったので感動していた。アクトが1個くれたので、シュウはハンバーガーでおなかを一杯にした。
「殺し...か...」
シュウはその日、寮に帰ってから考え込んでいた。今回はトイレではなくベッドの上だ。
「あの市民たちは僕のこと怖いっていってた」
守っているのに、助けたつもりなのに、市民からは白い目。
「助けないと文句言うくせに...」
無知は武器である。知らないというだけで立場に関係なく人を攻撃できる。
「生身の人が何もできないから僕らが戦ってるんだ。それなのに、殺せば人でなし扱い。僕は何をするのが正解なんだろう...人殺し、あれは人じゃないってみんな知らないんだろうか...」
例えば警察側からPRしたとしよう。民衆は「正当化だ」と聞く耳を持たないに違いない。さらに、別の方法で第三者からPRさせようとも「隠蔽だ」「買収だ」などという輩が湧いて出るだろう。
「だから警察側は無視しかしないのか...」
誰が悪いのか、そんなものはない。しいて言えば、人工尾が悪い。
「殲滅...アクト君のいうことは間違ってないのかもな...」
「シュウ、まただってよ。行けるか?」
赤城が電話を片手に持ったままシュウに聞く。アクトは出払っている。
「はい!」
「おう。じゃあ30-e2の地下駐車場に行ってくれ。割と近くだな...送ってくわ」
「ありがとうございます」
「昨日は寝れたか?」
「はい。おかげさまで」
「ハハッ、俺は何もしてないけどな。それならよかった」
赤城は前を向いたまま笑う。
「今日の敵な、なんか変なんだ」
「変...ですか?」
「ああ、人の目をやたら気にするんだと」
「何かを守ってるんですかね...」
「さあ?しかし誰も追いきれないんだそうだ。かろうじて監視カメラには映ってたみたいだけどな」
「...なんですかね」
「知能が薄いのかもしれん。人工尾の使用者にありがちな症状だ」
車は30-deを通過する。もうじきe2だ。
「そういえば、赤城さん」
「どうした?」
「人工尾と僕みたいな自然の尾ってどうやって区別してるんですか?僕2回戦いましたけど、どっちも普通の尾に見えてくる...」
「ああ、そんなことか。あれはな、自然尾は全員警察に登録されてるんだ。そんなに多くないんだけどな、よっぽどの例外以外うちの部署にな」
「でもうちの部署に尾がある人って...」
「ああ、俺とレイラだけだな」
「少なく...ないですか?」
「24...いや、23だったかな?」
「え?」
「うちの部署で死んだ人間の数だ。全員尾持ちだった」
「...っ」
「気にすんなよ。年齢でファーム出た奴だけだ。お前みたいに2体相手にしたやつはなかなか死なねえ。アクトが来た時には俺もひやひやしてたけどな~」
「あのアクト君がですか...」
「CiSUを使いこなすんだ。並大抵の努力じゃねえよ」
CiSU、アクトが持っていたキューブのことだ。
「Cube is Some Uepon、安直な名だが、あれは状況に応じて使い変えられる点で最強の武器だ。全電動、仕組みまでは知らんがどんな形の武器にもなって使用者を助ける。ありゃ兵器だ」
シュウは「UeponではなくUeponsでは?」と思ったが、言わないことにした。
「不思議な武器ですね...」
「ああ。全部上の人たちのおもちゃのおこぼれさ」
「上の人たちって...」
「知らん」
赤城は左にハンドルを切った。
「ついたぞ。終わったら連絡してくれ」
地下駐車場30-e2、シュウはそのまま車から降ろされた。
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