TAIL BERSERKER

滝永ひろ

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ⅩⅩⅡ 戦争

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赤城が前方を見る。その先には警備ロボットがキャタピラでこちらに進行してきていた。

「私が相手しよう」

閻が右足を振り上げる。

「君たち、悪いがもう少し飛んでいてくれ」

「ヤバイ!ペンギン、俺たちをもう一度とばせ!」

「おっ、おう!」

閻が足を振り下ろす。その瞬間、地面に足がめり込む。地面がひび割れ、振動で周りの建物は崩れ、警備ロボは振動で破壊されていく。

「あれが警視総監の奥義の一つだ。まるで歩く災害...」

その破壊の歩調のまま、閻は歩いていく。アスファルトは粉微塵。建物はパンゲアのスラムよりもひどい有様。

「地上波任せてもらおう。本当に必要なとこはこれくらいではびくともしないはずだ。雑魚は蹴散らそう。本丸は任せた」

「はい。...ペンギン、行ってくれ」

「わかった。しかし空中にも敵はいんだろ?」

「俺に任せてください」

アクトが手を挙げた。

「俺のCiSUで全部撃ち落とします」

「かっけえなおい。じゃあ行くからな」

また飛んだ。この時点でペンギンは計画以上の動きをしている。

「敵だぞ。アクトとかいうの、インベーダーゲームは得意か?」

「仕事ですよ!」

アクトは向かってくる敵全てを破壊した。それらすべてが撃ち落とされて落下する。
「ははっ、やるじゃねえか」

「うっ、頭が...」

「どうしたアクト!」

「CiSUは俺の体力を増幅して撃ち出すんです。撃ちすぎると...くそっ」

アクトは気絶した。寝息を立てている。眠っているだけだろう。

「チッ。これじゃあ的だな」

ペンギンは高度を下げた。

「シュウ、こいつも親友だろ。守ってやれ」
そういってシュウとアクトを近くのビルの窓に投げ込んだ。

「そんなっ、...アクト君を守る...」

今まで守られる側だった。そして、今の今までCiSUのデメリットを隠して強がっていた。

「守る...エンの尾で包めば...」

シュウが、エンの尾を広げる。極限まで広げる。白い尾は、人を包める大きさにはならない。

「もっと...もっと広げるんだ」

尾に力を入れる。すると、尾にひびが入って割れていく。白い殻がわれ、中から黒い中身が出てきた。

「これは...エンの」

その尾は今までの何倍も広がった。アクトを包み込むくらいは余裕だ。

「よし、これで守れる」

尾の身体強化が2倍入っているシュウ、人を一人持ったまま戦うのは余裕だった。

「ここは...なんだ?」

シュウが冷静に周りを見回すと、そこにはスーパーコンピューターが果てしなく広い空間に積んであった。

「揺れてる...閻さんかな...」

閻の地震(足音)でも崩れない。すると、この建物はよほど大事なものということになる。
「ここは何かの中枢...はっ、警視総監」

シュウが割れたビルから下を見る。

「警視総監!おそらくこの建物です!この部屋のコンピュータを壊せばおそらく何かできます!破壊して大丈夫ですか?」

警視総監はシュウの方を見て、うなずいた。

「あっ、危ない!」

警視総監の胸元を狙っている警備ロボが一台。その銃口が火を吹いた。しかし、警視総監に当たったものの銃弾ははじかれて落ちた。

「どうなってるんだあの人...」

警視総監の次の一歩で、そのロボもバラバラになった。

「すごいや...僕もやることやらなきゃ...」

シュウはコンピューターに向かった。

「はっ!」

シュウが力むと、シュウの尾が伸びてコンピューターを次々に破壊していく。うす暗いのもあり奥までは見えないのだが、シュウは向こうの壁まで貫通したのを感じた。

「やった...これでエンにも笑われないよね...」

シュウはその場に倒れこんだ。

「アレ...あの飛んでるものは?」



一方、赤城ら。ペンギンの飛行でエデンの中心まで来ている。そこにはエデンの中枢神経とでも言うべき重要機関があると踏んでのことだ。赤城はそこにある施設に入り込む。

「エン、俺らの姿を消せ。完全でなくても時間稼ぎくらいはできんだろ」

「はい」

敵国中枢、透明人間が3人。

「ここは...多分統治者の部屋だな」

目の前に立ちはだかる巨大な扉。赤城は扉に手をかけた。

「邪魔するぞ...」

扉はゆっくりと開いた。

「なっ、なんだ...扉が勝手に!?」

中にいたのは、でかい部屋にポツンとあるベッドの上にぶくぶく太った白髪のじいさんだった。

「おいくそジジイ、てめえの体には尾が生えてないようだな。俺らには押し付けてくれやがって。おかげでここまで来たぜ。おいエン、俺の透明化だけ解け」

赤城がジジイの目に映る。

「何者だ貴様!」

「その様子だと外の様子は伝わってねえようだな」

「なんだ、外で何かしているのか?」

「知らないようなら教えてやるよ。地球の裏、雲より遠い場所から雲の上のお偉いさんに殴り込みだコルァ!」

警察官赤城、心の叫びだった。

「何を勝手なことを...」

ジジイが倒れこむ。赤城の見えない尾によって絞殺されたのだ。

「私情で人殺し...辞職もんかもな。ま、構やしねーが」

赤城は部屋を後にした。

「もう幻覚解いていいぞ」

「わかりました...ってあれ?」

「ペンギンは?」
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