TAIL BERSERKER

滝永ひろ

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ⅩⅩⅠ 開戦

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「起きろ」

その日の夜。警察寮のシュウの部屋に現れたのは、赤城だった。

「パンゲア外からの使者を確認した。これからペンギンを招集する。この大陸の治安維持はペンギンからコンタクトとって世界中のギャングに任せている。そのうえで世界中から人工尾対策術を知る者ありったけに声かけた。各々の方法で同行することになっている。行くぞ」

「...わかりました。準備します。あと窓からくるのはやめてください」

「ふっ。戦争の火ぶたとはまだ気づかれてないはずだ。穴の位置はわかっている。少なくとも奴らが帰るときまでは猶予がある。いいか、万全を尽くせ」

「わかりました」



赤城につれてこられた場所には、ペンギン、エン、アクト。

「おーう、何時間かぶりやな。行く前に名前くらい聞いとくよ」

「アクト、戦闘要員。この中じゃ唯一尾がないが、負ける気はねえ。死にに行くわけじゃねえ」

「エン。ジャミング要員。戦闘にも地震波あります。二度親友が死ぬ思いをシュウにさせたくない。死ぬ気はありません」

「シュウ、自己紹介」

赤城が促す。

「シュウ...戦闘要員...自信はないです...でも死にたくはない...頑張ります」

「まず」

赤城が話し出す。

「まず、強い動機があるわけでもないのに命がけの戦争に参加してくれるシュウ。もう一度礼を言う。そして二人。アクトとエンも、俺を信じてくれてありがとう。ペンギン、ギャングと警察がここまで世界的に協力するのは歴史上おそらく初めてだ。ここまで大事にするようなことはこれで最後にしたい。しかし、この作戦に参加してくれたこと、大きく感謝する」

「けっ、警察がギャングに頭なんて下げんなよ。俺もこの尾の貸しは返さないといけないからな」

「あとは警視総監だけだ。あの人は忙しいからな。来たら全世界にGOサインを出す。お前ら準備はいいな」

「「「はい」」」
「応!」

あちこちで崩落音が聞こえる。もう何かが起きているようだ。

「高木からの通信が途絶えた。なんかあったな。アメリカの組のやつらからも一部途絶えた。早めに行くぞ」

「待たせてしまったかな?」

その声に全員が振り向いた。

「閻公成。戦闘要員だ。とりあえず足手まといにならないように気を付けるよ」

警視総監。ここにきて貫録を見せつけている。

「じゃあ、行こうか」

ペンギンが手を差し出す。

「つかめ。俺が飛ばすが、俺が飛ぶだけでお前らを運べるわけではねー。シュウは肩車して衝撃波を避けるためにそのとがった尾で角を作っとけ。お前ら、とりあえず飛ばすから鋭角に収まるようになれよ」

ペンギンはシュウを肩車した。そのうえでシュウがシュウの尾を上に突き出す。ほかはペンギンにしがみつく。

「ずいぶん不格好だが。じゃ、行くぞ」

ふわり、と浮いた。

「飛ばすぜ」

次の瞬間、急加速した。

「シュウ、尾は緩めるなよ。お前のそれが緩んだら終わりだ」

「これ今どれくらいスピード出てるんですか?マッハ10だ。このまま1時間半くらい我慢だ」

それほどの距離ということだ。

「なんだとっ!?」

急にペンギンが声を荒げる。

「穴が閉まってる。これじゃ出れねーぜ」

「ペンギンさん!」

「どうしたシュウとかいう小僧!」

「このまま突っ込んでください。このスピードなら貫通できるはずです」

「そんなことしたらお前の尾が」

「大丈夫です。もう一本あります」

「はっ、いい顔するようになったじゃねーか」

シュウはもう覚悟を決めていた。弱気な自分はもう振り切って、弱い自分から逃げ切る自分に変わるため、このロケットの先端になっていた。

「行くぞ。覚悟しろよ」

ペンギンはスピードを増した。

「ペンギンさん、なんでギャングになったんですか?」

「今聞くことかよ」

「すいません。気になって」

「フェンリルに正義は似合わねーかなって思ってな」

「...なんかかっこいいですね」

「そうか?見えてきたぞ。ぶっ壊して一番感知されないのはおそらくあそこ。上空10000m、ドームの天井だ」

もう目視で確認できるところまで来ていた。2秒後、すでに6人は上空13000mにいた。

「おめでとうシュウ。突破だ。まだ行くぜ」

ロケットは進路を変更し、横に向かって飛び出した。

「あとは俺の仕事だ。捕まってろよ!」

ペンギンはとにかく早く飛んだ。マッハ10なんて日ではなかった。30分後、迎撃システムのセンサーにも感知できないスピードで天空都市に飛び込んだ。

「さあ、まだ戦う力は残ってっか?俺はまだ燃えてるぜ」

ペンギンの目はまだメラメラと燃えている。

「おいでなすった...こうなると思ったぜ」

赤城が前方を見る。その先には警備ロボットがキャタピラでこちらに進行してきていた。
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