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ⅩⅩ すれ違い
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「そんな、無茶だよ」
「俺はいく」
「アクト君...」
「人工尾でダチ殺されてんだ...恨みは果たす」
「僕はファームで森の生き物と生きてきた。命の重みを知らないやつらは胸糞が悪いね」
「シュウ、来るのか?」
「強制はしない。シュウについてくる理由はないしね」
「そんな...でも二人だけ行かせるわけには...」
「来るのか、来ないのか」
「...そんなの、僕には荷が重いよ...僕は行けない」
「そうか」
「シュウが来たくないなら仕方ないね」
二人は歩き出した。
「先、いっとくぜ」
「帰ってきなね」
シュウは立ち尽くし、動けないでいた。
「ただいま帰りました...」
シュウは帰ってきた。
「お帰りシュウ」
エンがにこやかに迎えた。
「仕事は...ないんですか」
「ああ。ペンギン側で人工尾撲滅するよう言ってきたからな。あいつ側で全部処理するだろうさ」
「そう...ですか...」
「せっかくエンが来てくれたけどもう仕事はなしかな~」
赤城は上機嫌で書類をパラパラめくっている。
「事務作業..ですね」
「そうだな」
「これで私の仕事が五分の一に!」
「総量が5倍になるだけだ」
「やっぱり~」
レイラが机に突っ伏した。シュウは席について仕事にかかる。
(二人が頭おかしいんだ。ハウスにあった本に書いてあったのによると地球の裏側までは確か2万㎞、仮にパンゲアから出ても天空都市まで行けるわけないよ...)
シュウは仕事に手がつかなかった。
翌日。
「今日も仕事ありませんか」
「そうだな。事務作業も終わっちまいそうだが...」
「赤城さん、そろそろ説明くらいしといたらどうですか?」
エンが赤城に話しかけた。
「...」
「今日かも知れないんですよね。ならもう赤城さんの口から説明すべきだと思います」
「...やむをえんのか」
「実行するときに説明しても遅いです。知らせておくべきです」
「そうだな」
赤城は昨日のエンのように話し出す。
「まず、エンがここに来たのは偶然じゃない。そうやって俺が仕組んだ」
「えっ...」
シュウは驚きを隠せない。
「そのうえでうれしい誤算はシュウ、お前だ。お前が来て、戦力増強になった。しかし、エンがもともと持っていた尾まで持っている。エンの尾は蘇生の過程で抜かれたものと思っていたが、お前から生えていた。エンに聞いたら良かれと思って植えたってさ。車の中のことだろうな」
「エン...」
エンはにっこりと笑った。
「まず、2万㎞の移動だが、これは余裕だ。空の便がある。と言っても飛行機じゃないぞ?昨日ペンギンに合わせたのはあいつが尾で飛べるからだ。あいつも人工尾には迷惑してたようだし、ちょうどいいだろう」
「あの人が...」
「それと、お前らのママとも知り合いだ。意図的に仕組んでエンを死んだことにして出してもらった」
「ママも...」
「お前も必要だった。エンも幻覚を使える状態で来てほしかったんだが、お前まで死んで来るのはさすがにきついかなってなったんで、お前が18になって出てくる時を合図にするって約束だったんだ」
「エンの仮面のことは何か知ってたんじゃないですか?」
「あれは意識を保管したままほかのフィフスと同じ行動をさせるための道具だ。巣っと吸構えなかったのはすべての準備が整うまで町に隠しておくためだ」
「そう...だったんですか」
「フィフスは奴らの遊び道具だ。せき止めれば向こうから何かコンタクトがあるはず。そしたらきっと壁のどこかに出入口ができる。そしたらペンギンに運搬してもらって2万㎞先を目指す」
「そんなうまくいくんですか...?」
「わからん。でもお前の尾は必要だった。何分ペンギンがマッハで飛ぶもんでな、盾がないと困るんだ」
「俺は何のために呼ばれたんですか」
「純粋な戦力だ。単体で向こうの継母に柔軟に対応する実力があると見込んでいる。同じ理由で警視総監も同行してくださる」
「マジか...」
「シュウ。来てくれるよな」
「そんな...」
「俺らには必要なんだ少数に限ったうえで確実な戦力が欲しい。来い」
「そんなの勝手ですよ。気づいたらこんな街にいて、いきなり毛札なんかにされて、殺人を白なんて言われて、やっとこの仕事で得着るようになったのに。いきなりそんな戦争みたいなことやらされるなんて。そんなのあんまりですよ」
「シュウ。戦争みたいじゃなくて戦争なんだ。これは俺らによる俺らのための俺らが行う戦争。理解を示してくれないのなら死を覚悟してでも行くしかない」
「...!」
「来るのか、来ないのか」
「僕がいないと死んじゃうみたいなこと言ってたじゃないですか」
「ああ。この作戦がおじゃんになるのは俺が死んだときだけだ」
「...わかりましたよ。行けばいいんでしょ。行きますよ」
赤城は腰を落としてシュウより低い目線に行き、シュウを見上げて言う。
「シュウ、ありがとう。俺はこの作戦に関わる誰よりお前に感謝しよう」
この日、この作戦が発動されることはなかった。
「俺はいく」
「アクト君...」
「人工尾でダチ殺されてんだ...恨みは果たす」
「僕はファームで森の生き物と生きてきた。命の重みを知らないやつらは胸糞が悪いね」
「シュウ、来るのか?」
「強制はしない。シュウについてくる理由はないしね」
「そんな...でも二人だけ行かせるわけには...」
「来るのか、来ないのか」
「...そんなの、僕には荷が重いよ...僕は行けない」
「そうか」
「シュウが来たくないなら仕方ないね」
二人は歩き出した。
「先、いっとくぜ」
「帰ってきなね」
シュウは立ち尽くし、動けないでいた。
「ただいま帰りました...」
シュウは帰ってきた。
「お帰りシュウ」
エンがにこやかに迎えた。
「仕事は...ないんですか」
「ああ。ペンギン側で人工尾撲滅するよう言ってきたからな。あいつ側で全部処理するだろうさ」
「そう...ですか...」
「せっかくエンが来てくれたけどもう仕事はなしかな~」
赤城は上機嫌で書類をパラパラめくっている。
「事務作業..ですね」
「そうだな」
「これで私の仕事が五分の一に!」
「総量が5倍になるだけだ」
「やっぱり~」
レイラが机に突っ伏した。シュウは席について仕事にかかる。
(二人が頭おかしいんだ。ハウスにあった本に書いてあったのによると地球の裏側までは確か2万㎞、仮にパンゲアから出ても天空都市まで行けるわけないよ...)
シュウは仕事に手がつかなかった。
翌日。
「今日も仕事ありませんか」
「そうだな。事務作業も終わっちまいそうだが...」
「赤城さん、そろそろ説明くらいしといたらどうですか?」
エンが赤城に話しかけた。
「...」
「今日かも知れないんですよね。ならもう赤城さんの口から説明すべきだと思います」
「...やむをえんのか」
「実行するときに説明しても遅いです。知らせておくべきです」
「そうだな」
赤城は昨日のエンのように話し出す。
「まず、エンがここに来たのは偶然じゃない。そうやって俺が仕組んだ」
「えっ...」
シュウは驚きを隠せない。
「そのうえでうれしい誤算はシュウ、お前だ。お前が来て、戦力増強になった。しかし、エンがもともと持っていた尾まで持っている。エンの尾は蘇生の過程で抜かれたものと思っていたが、お前から生えていた。エンに聞いたら良かれと思って植えたってさ。車の中のことだろうな」
「エン...」
エンはにっこりと笑った。
「まず、2万㎞の移動だが、これは余裕だ。空の便がある。と言っても飛行機じゃないぞ?昨日ペンギンに合わせたのはあいつが尾で飛べるからだ。あいつも人工尾には迷惑してたようだし、ちょうどいいだろう」
「あの人が...」
「それと、お前らのママとも知り合いだ。意図的に仕組んでエンを死んだことにして出してもらった」
「ママも...」
「お前も必要だった。エンも幻覚を使える状態で来てほしかったんだが、お前まで死んで来るのはさすがにきついかなってなったんで、お前が18になって出てくる時を合図にするって約束だったんだ」
「エンの仮面のことは何か知ってたんじゃないですか?」
「あれは意識を保管したままほかのフィフスと同じ行動をさせるための道具だ。巣っと吸構えなかったのはすべての準備が整うまで町に隠しておくためだ」
「そう...だったんですか」
「フィフスは奴らの遊び道具だ。せき止めれば向こうから何かコンタクトがあるはず。そしたらきっと壁のどこかに出入口ができる。そしたらペンギンに運搬してもらって2万㎞先を目指す」
「そんなうまくいくんですか...?」
「わからん。でもお前の尾は必要だった。何分ペンギンがマッハで飛ぶもんでな、盾がないと困るんだ」
「俺は何のために呼ばれたんですか」
「純粋な戦力だ。単体で向こうの継母に柔軟に対応する実力があると見込んでいる。同じ理由で警視総監も同行してくださる」
「マジか...」
「シュウ。来てくれるよな」
「そんな...」
「俺らには必要なんだ少数に限ったうえで確実な戦力が欲しい。来い」
「そんなの勝手ですよ。気づいたらこんな街にいて、いきなり毛札なんかにされて、殺人を白なんて言われて、やっとこの仕事で得着るようになったのに。いきなりそんな戦争みたいなことやらされるなんて。そんなのあんまりですよ」
「シュウ。戦争みたいじゃなくて戦争なんだ。これは俺らによる俺らのための俺らが行う戦争。理解を示してくれないのなら死を覚悟してでも行くしかない」
「...!」
「来るのか、来ないのか」
「僕がいないと死んじゃうみたいなこと言ってたじゃないですか」
「ああ。この作戦がおじゃんになるのは俺が死んだときだけだ」
「...わかりましたよ。行けばいいんでしょ。行きますよ」
赤城は腰を落としてシュウより低い目線に行き、シュウを見上げて言う。
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この日、この作戦が発動されることはなかった。
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