WHO?

滝永ひろ

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プロローグ

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今年もこの季節だ。

家の前を小学生が通った。

「赤いランドセル...」

あの子供たちは初めての学校か...

「学校...ああ...まただ...」

自分で自分が嫌になる。

憂鬱が襲ってくる。

ランドセルと桜。

見ると押しつぶされそうになる。

胸を刺されているようでさえある。

立っているのも困難になり、目の前がだんだんと真っ暗になる。

「ああっ...っ...また...自分のこと嫌いになる...」

頭がおかしくなりそうだ。

そのうち幻覚でも見えて...

そうなればどれだけ楽だろうか。

現実まで、夢にしてしまえたら。

どれほど楽だろうか。
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