WHO?

滝永ひろ

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6話 まだひとつ

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「母さん、僕、学校に行ける気がする」

「えっ?どうしたのいきなり...昨日といい、何かあった?」

「なんか...何でもないんだけど、だんだんいけるような気がしてさ」

「そっか」

微笑むと母さんは家のソファから座敷に向かい、アイロンを手に取った。

「無理はしちゃだめよ」

「わかってる」

その翌日、僕は8か月振りに学校に行くこととなった。

「あれ、住野君、久しぶり。相変わらず身長は私より小さいままだね」

話しかけてきたのは、クラスの学級委員長だ。

おさげに眼鏡、ここまで委員長が似合う人がいるだろうかというルックスの委員長だ。

「ひさ...しぶり...」

「あ、ごめん、話しかけないほうがよかった?」

「いや、お母さん以外としゃべるの久しぶりで...」

「そっか。じゃあ今日は私が話し相手になってあげるね」

増子テア。

僕が不登校になってからもしばらく気にかけてくれて、そういう優しいところが...うん。

「もう出てきて大丈夫なの?」

「うん。少しずつ安定してきて」

「そっか。よかった」

よかったって...それは委員長として...なのかな。

「いじめはもうないとは思うけど...何かあったら言うんだよ?」

「うん...」

「おーい住野ー、面談あるから来てくれー」

佐月先生に呼ばれて、面談室へと連れていかれた。

佐月先生もいい人だ。

女の先生だけど、男子たちの反抗をものともしないのは先生だなと思うし、先生も不登校になっている間気にかけてくれていた。

面談はおおむね「学校に来てくれることになったきっかけ」についてだった。

本当のことを言うわけには いかないので、委員長の名前を出しておいた。

了承は後でとるしかない。

僕のこと嫌いみたいじゃなかったし、許してくれるといいけど...

「そうか、やっぱあいつ学級委員長だな」

まあ、不登校になってすぐのころのことを思えばすべて嘘というわけじゃないし、きっと許してくれる...と思う。

「じゃ、以上だ。時間取らせて悪かったね」

僕は面談室を出た。

すると、ちょうど委員長が通りかかっていた。

「あ、あの増子さん...」

「ん?どうした?」

「僕、来るようになった理由とっさに名前出しちゃったんだけど...」

「ああ、いいよ。あらぬ功績なら大丈夫」

「よかった...」

「そういえば住野君、田崎さんとはどうなの?」

田崎...さん...?

確かあの時クラスの中心に立ってた...

「ああっ...ああああ...」

だめだ...こんなところで...

気づくと、そこはまたあの世界だった。
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