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THREEPARTS 3/2
4話
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帰りの車中。
「ありがとね。あんたら」
悠生が不思議そうな顔をする。
鋼はすやすやと眠っている。
「何が?」
「いや、職業的に手帳持ってないタイミングであんま乱暴な真似はできないし、あんなの初めてだから」
「ああ。それなら鋼にいいなよ」
「え?」
鋼のほうを見る。
「鋼のやつ、来るのが遅いから嫌な予感がするって俺たち連れてったんだ。らしくねえよなあ」
「...」
それから車内は沈黙が続いた。
「ただいま故郷っ!」
車を開け、集合場所に降り立った真美が伸びをして叫ぶ。
「おまえらー、ついたぞーって...」
真美が見ると、後部座席で三人はそろって寝ていた。
「こーいうとこはガキでかわいいんだよなぁ...」
「年増とは違ってな」
「まあ19も離れてちゃあギリ親...って鋼、いつから起きてた」
「最初から」
「お前ってやつは...」
「なんか面倒な話してたから。聞いてないことにした」
「今言ったら一緒だろ」
「あっ」
「あっじゃねえよ。おら、その二人起こしな」
そういいながら、ポニテをほどいて結びなおす。
「めんどくさい」
「あ゛~~」
真美は車の開け放したドアから上半身を突っ込み、後部座席に向かって叫ぶ。
「お前ら、早く起きろー!早く帰んないと...」
早く帰んないと、親御さん心配するだろ。
そう言いかけて留まる。
私はバックからマジックペンを取り出した。
「早く起きねえとデコに肉って書くぞ」
二人がカッと目を開いた。
「おはようございますお姉さま」
「おはようございます」
「いやご機嫌とらんでも起きれば書かねえって」
私は右手にとったマジックペンをしまった。
「今日はありがとマミちゃん!楽しかったよ」
悠生が早々に荷物をまとめ、車を降りてお辞儀する。
「おう。相変わらず礼儀正しいヤンキーだな」
「ありがとう。またな」
「おう。丹波はまあ、まじめだけど真面目にヤンキーだな」
「俺んちまで乗せてって~」
「お前は遠慮を知れ鋼ォ!...だが私は今日機嫌がいい。連れてってやる」
「よし」
鋼がシートに座ったままアイスを取り出し口に突っ込む。
「じゃあ、またな」
真美が二人に手を振る。
「また明日!」
「またな」
「明日日曜だぞ悠生、また来る気か」
そして真美は車に乗った。
親御さん心配するぞ。
「親...いなかったなあいつら...」
後部座席の鋼はアイスを咥えたまま目を閉じている。
翌日
「っマミちゃーん!きたよ!」
「ほんとに言葉通り”また明日”だったなお前ら...」
交番の前に立って、道行く人々を見守っている所に、叫びながら鋼を担いだ悠生と丹波が走ってきた。
「何しに来たんだお前ら日曜に...しかもわざわざ制服で」
「暇つぶし」
「おーそうかい」
すると、真美が愚痴をこぼす。
「おまえらさ~喧嘩くらいできんだろ~?」
「おう、もちろん」
悠生が答える。
「西にある廃屋にヤンキーがたむろしてんの注意してこいって地区の人がうるさくってさ~...」
「大丈夫。年増なら勝てる」
「女ひとり向かわせんのか~?あと年増いうな」
「俺たちは何すればいい」
「おっ、丹波、話わっかる~!」
真美の説明は大雑把に、
・隣の地区にある廃学校にヤンキーが夜な夜な集まっていて、
・それらのせいで子供たちをうかつに近寄らせにくく、
・それについて交番に届けがあって、
・いくら訓練を受けた警察であっても一人で近寄るのは気が引ける。
とのことだった。
「じゃあ、俺らがいって追い払ってやるよ!」
悠生が胸を張って高らかに宣言する。
「おっ、その言葉待ってたぞ!」
「マミちゃんもついてくるよな!」
「ん?」
夜中に廃学校に、しかもどんなけがするかわからない。
少なくとも行きかえりの便は必要である。
「わぁーった、車くらいは出すよ。今夜九時にここな」
真美は帰りの準備を始めた。
「職務は終わりなのか?」
丹波が訪ねる。
「総勤務時間が規定超過すると困るだろ」
真美はニタァッと笑った。
―――そして九時。
「よし、いくぞ」
変わらず制服の三人、目がいつになくキリッとしている悠生、いつも通り背筋の伸びた丹波、やっぱり鼻提灯を膨らませたまま悠生に担がれる鋼。
真美は一応警察の制服を着ている。
車に乗り込み、エンジンをかけ、車を発進させる。
車で揺られて5分、ド田舎にあってそう遠い場所ではない。
「こりゃ苦情来るわけだな」
丹波の目の先に見えたのは、片手にビール缶を持った高校生。
4,5人ではない。
「あれはちょっと骨が折れるな」
悠生も学校だった建物の校門付近を見つめる。
「何十人いるか知らんが俺らの前では数じゃないな。主人公だし」
「主人公...何言ってるの...?」
混乱した様子で鋼が目を覚ました。
「鋼、やれるよな」
「...悠生がやれっていうならやる」
「やるぞ」
三人は並んで歩きだした。
真美は車にもたれて
「おい、あれみろよ!」
ヤンキーの一人の声がした。
ざわっとヤンキーが騒いだ後、一斉にこちらを見る。
そして、ヤンキーの塊の中心、校門のステップの段のほうを向いた。
「ヒエラルキーがあるのか...」
丹波がつぶやく。
よく見えないが、確かにトップの人間が存在するようだ。
「ヒエラルキーのある集団は厄介だ。的確に人の実力を把握し、こちらの実力以上の実力を持った人材を差し向けてくる」
丹波が冷静に分析する。
「めんどくさい...早く倒して年増になんかおごらせる...」
「俺より強い奴なんてこの街にはいねーよ!」
「俺”ら”な」
丹波が訂正し、三人ともヤンキーの群れに視線を合わせる。
「いくぞ」
「「おう」」
校門の位置にいる人間が叫ぶ。
「かかれ!!」
その周囲に群がっていたヤンキーたちがこちらに駆け出してくる。
「上等だよ」
悠生がニヤッと笑った。
「ありがとね。あんたら」
悠生が不思議そうな顔をする。
鋼はすやすやと眠っている。
「何が?」
「いや、職業的に手帳持ってないタイミングであんま乱暴な真似はできないし、あんなの初めてだから」
「ああ。それなら鋼にいいなよ」
「え?」
鋼のほうを見る。
「鋼のやつ、来るのが遅いから嫌な予感がするって俺たち連れてったんだ。らしくねえよなあ」
「...」
それから車内は沈黙が続いた。
「ただいま故郷っ!」
車を開け、集合場所に降り立った真美が伸びをして叫ぶ。
「おまえらー、ついたぞーって...」
真美が見ると、後部座席で三人はそろって寝ていた。
「こーいうとこはガキでかわいいんだよなぁ...」
「年増とは違ってな」
「まあ19も離れてちゃあギリ親...って鋼、いつから起きてた」
「最初から」
「お前ってやつは...」
「なんか面倒な話してたから。聞いてないことにした」
「今言ったら一緒だろ」
「あっ」
「あっじゃねえよ。おら、その二人起こしな」
そういいながら、ポニテをほどいて結びなおす。
「めんどくさい」
「あ゛~~」
真美は車の開け放したドアから上半身を突っ込み、後部座席に向かって叫ぶ。
「お前ら、早く起きろー!早く帰んないと...」
早く帰んないと、親御さん心配するだろ。
そう言いかけて留まる。
私はバックからマジックペンを取り出した。
「早く起きねえとデコに肉って書くぞ」
二人がカッと目を開いた。
「おはようございますお姉さま」
「おはようございます」
「いやご機嫌とらんでも起きれば書かねえって」
私は右手にとったマジックペンをしまった。
「今日はありがとマミちゃん!楽しかったよ」
悠生が早々に荷物をまとめ、車を降りてお辞儀する。
「おう。相変わらず礼儀正しいヤンキーだな」
「ありがとう。またな」
「おう。丹波はまあ、まじめだけど真面目にヤンキーだな」
「俺んちまで乗せてって~」
「お前は遠慮を知れ鋼ォ!...だが私は今日機嫌がいい。連れてってやる」
「よし」
鋼がシートに座ったままアイスを取り出し口に突っ込む。
「じゃあ、またな」
真美が二人に手を振る。
「また明日!」
「またな」
「明日日曜だぞ悠生、また来る気か」
そして真美は車に乗った。
親御さん心配するぞ。
「親...いなかったなあいつら...」
後部座席の鋼はアイスを咥えたまま目を閉じている。
翌日
「っマミちゃーん!きたよ!」
「ほんとに言葉通り”また明日”だったなお前ら...」
交番の前に立って、道行く人々を見守っている所に、叫びながら鋼を担いだ悠生と丹波が走ってきた。
「何しに来たんだお前ら日曜に...しかもわざわざ制服で」
「暇つぶし」
「おーそうかい」
すると、真美が愚痴をこぼす。
「おまえらさ~喧嘩くらいできんだろ~?」
「おう、もちろん」
悠生が答える。
「西にある廃屋にヤンキーがたむろしてんの注意してこいって地区の人がうるさくってさ~...」
「大丈夫。年増なら勝てる」
「女ひとり向かわせんのか~?あと年増いうな」
「俺たちは何すればいい」
「おっ、丹波、話わっかる~!」
真美の説明は大雑把に、
・隣の地区にある廃学校にヤンキーが夜な夜な集まっていて、
・それらのせいで子供たちをうかつに近寄らせにくく、
・それについて交番に届けがあって、
・いくら訓練を受けた警察であっても一人で近寄るのは気が引ける。
とのことだった。
「じゃあ、俺らがいって追い払ってやるよ!」
悠生が胸を張って高らかに宣言する。
「おっ、その言葉待ってたぞ!」
「マミちゃんもついてくるよな!」
「ん?」
夜中に廃学校に、しかもどんなけがするかわからない。
少なくとも行きかえりの便は必要である。
「わぁーった、車くらいは出すよ。今夜九時にここな」
真美は帰りの準備を始めた。
「職務は終わりなのか?」
丹波が訪ねる。
「総勤務時間が規定超過すると困るだろ」
真美はニタァッと笑った。
―――そして九時。
「よし、いくぞ」
変わらず制服の三人、目がいつになくキリッとしている悠生、いつも通り背筋の伸びた丹波、やっぱり鼻提灯を膨らませたまま悠生に担がれる鋼。
真美は一応警察の制服を着ている。
車に乗り込み、エンジンをかけ、車を発進させる。
車で揺られて5分、ド田舎にあってそう遠い場所ではない。
「こりゃ苦情来るわけだな」
丹波の目の先に見えたのは、片手にビール缶を持った高校生。
4,5人ではない。
「あれはちょっと骨が折れるな」
悠生も学校だった建物の校門付近を見つめる。
「何十人いるか知らんが俺らの前では数じゃないな。主人公だし」
「主人公...何言ってるの...?」
混乱した様子で鋼が目を覚ました。
「鋼、やれるよな」
「...悠生がやれっていうならやる」
「やるぞ」
三人は並んで歩きだした。
真美は車にもたれて
「おい、あれみろよ!」
ヤンキーの一人の声がした。
ざわっとヤンキーが騒いだ後、一斉にこちらを見る。
そして、ヤンキーの塊の中心、校門のステップの段のほうを向いた。
「ヒエラルキーがあるのか...」
丹波がつぶやく。
よく見えないが、確かにトップの人間が存在するようだ。
「ヒエラルキーのある集団は厄介だ。的確に人の実力を把握し、こちらの実力以上の実力を持った人材を差し向けてくる」
丹波が冷静に分析する。
「めんどくさい...早く倒して年増になんかおごらせる...」
「俺より強い奴なんてこの街にはいねーよ!」
「俺”ら”な」
丹波が訂正し、三人ともヤンキーの群れに視線を合わせる。
「いくぞ」
「「おう」」
校門の位置にいる人間が叫ぶ。
「かかれ!!」
その周囲に群がっていたヤンキーたちがこちらに駆け出してくる。
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