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THREEPARTS 3/2
11話
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真美と新田雲仙の出会いは警察署勤務時代だった。
徒手で真美に勝る程の実力者で、能力なしで異能力対策本部に所属し、所属して数か月後に能力の保持が発覚、能力の内容は最大800Vの電気を操るという反則級の代物。
真美が仕事に低迷した時期、そばに寄り添ってくれたのが雲仙であった。
二人はすぐに打ち解けた。武田という師を同じくしたのも起因したのかもしれない。
二人ともに泥酔してのことではあるのだが、組手にて真美を上回ったという過去がある。
雲仙は悠生の父との親交もあり、ともすれば悠生およびほか二人との関係も当然あった。
悠生が親の仕事で遊んでもらえないとき、代わりに非番の雲仙が世話を焼いてくれていたりした。
もう一人の親というほどではないが、親戚より近いくらいの距離感でのかかわりがあった。
「アイツが死んだって...どういうことだよ。あいつが誰にやられるんだ」
酔いが一気にさめた真美が立ち上がって寺嶋に問い詰める。
「お前さんは署勤務より町に身近な勤務なんだ。せいぜい死なねえようにな」
「あたしはあんなんに負けちゃいねえ。酔ってたから負けただけだ」
「おめえが弱いから言ってんじゃねえ。近々あぶねえから気をつけろってんだ」
「酒がまずくなる。死んだ奴の話なんかすんな」
真美は「もう一杯」というと注がれた日本酒を一気に流し込んだ。
「会計」
とだけ言って1万円札をばんっと置き、寺嶋が「多いぞ」というと「こいつらの好きなもん食わせろ。余りは小遣いでいい」と言って店を出た。
「...あんな変な起こり方するの見たことないけど」
悠生がつぶやくと、寺嶋が
「悔しいんだろうさ」
と答える。
「あれで相当の負けず嫌いさ。酔ってても勝ち逃げしたのが気に食わないんだろう。それに...」
「それに?」
「ただ友人の死というのが受け入れきれないんだろう。真美だってメンタルにおいて並大抵ではないが、親しい友人の死は悲しいもんだ。逃した魚だってそうだが、腹に入れたって割とでかいもんよ」
寺嶋は、三人の前にコトッと玉ねぎの天ぷらが乗った器がおかれる。
「あいつが好きだったんだ。真美の代わりに食って弔ってくれやしねえか」
悠生と丹波は何となく手を出しにくく感じていたが、鋼はすっとその天ぷらに手を出した。
「大丈夫...俺がいれば3人とも死なない...」
鋼はてんぷらをかじってそうつぶやく。
「俺も守るし戦う」
悠生が天ぷらをとる。
「やられる前にやる」
丹波が最後の一個をとる。
そして、悠生が
「寺嶋さん、このお金は取っといて次にマミちゃんが来たときにここから出して」
「へっ、坊主も随分と義理のわかる野郎になったんじゃねえか」
「寺嶋さんほどじゃないよ」
そうして、三人は車の中で寝る真美を横目に帰...
「マミちゃん!?」
「車で来たのに呑んだのか...」
「マミちゃんなら初めからこうするつもりだったって線も...」
「いやさすがに...」
三人ともどうしようもないのでその場に置いて帰ることにした。
「それにしても雲仙さんが...」
相手は余程の手練か。
それともトップクラスの警官を欺くほどの策士か。
いずれにせよ危険となりうることは確かだ。
「突っ込もうなんて考えんなよ」
丹波が悠生の心を見透かしたように言う。
「あの人がやられるような相手ってのは、俺たちが相手していいレベルじゃない」
「...」
悠生が歯ぎしりする。
鋼も止める。
「これは危ない。今は身の安全が第一...」
正義×強さ。
それは悪への絶対的な抑止力。
その体現であった荒田雲仙の死とは、今まで抑圧されてきた悪が堂々と闊歩出来てしまう事をイコールで意味している。
雲仙よりは弱くとも、自分らよりは強い相手が暴れないとも限らない。
治安というのはかくして、未成年の犯罪は三人組、大人の犯罪は雲仙が押さえ込む事で保たれていたのだ。
「復讐に燃えるなら、もっと強くなってから、だ」
丹波になだめられて今まで黙っていた悠生が口を開く。
「分かった。...でもマミちゃんは?」
「あの人がそうすぐ死ぬ玉かよ。いいから自分の安全を心配しとけ」
「うん...」
納得いかない様子で、でも無理やり納得した感じに悠生は頷いた。
「分かったら帰ってさっさと寝るぞ」
「そうだな」
「はーい」
その日は解散となった。
「おにーさん、それレジ通してないよね」
コンビニの出入口前、見るからに遊んでいる二十代後半と思しき男に、高校生が話しかけている。
「盗ったもん、出しな」
大人相手に度胸のある高校生だ。
投稿前にお気に入りのシガレットチョコを買いに来ていた穂高悠生だ。
「いい大人になって、恥ずかしくないの」
「うるせぇっ!」
男が殴り掛かる。
しかし、構えた状態で腕は動かない。
「じゃあコンビニの店長と話つけて、謝ればちゃんと分かってもらえる人だから」
「ぐ...」
攻撃すら出来ないのだ。
歯は立つまい。
生物の生き残りに置いて重要なのは自分より強い生物を見定めることだが、その見方をするなら男は優秀な生物だったかもしれない。
今の気が立っている悠生なら、骨くらいはポキッと折りそうである。
そのまま裏の事務所に連れていく。
事務所に入れると、後から店長がやってくる。
「いやぁ、いつもありがとね」
「いいですよ。人のためになってる気がすると嬉しいですし」
「そうか。念の為立ち会ってくれるかな?一応証人なわけだし」
「分かりました」
悠生にとっては日常の1ページ。
こんなことも慣れたものだ。
人のためになる。
人を助ける。
もっと強くならなくては、自分すらも助けられない。
尋ねる場所は決定した。
武田さんだ。
徒手で真美に勝る程の実力者で、能力なしで異能力対策本部に所属し、所属して数か月後に能力の保持が発覚、能力の内容は最大800Vの電気を操るという反則級の代物。
真美が仕事に低迷した時期、そばに寄り添ってくれたのが雲仙であった。
二人はすぐに打ち解けた。武田という師を同じくしたのも起因したのかもしれない。
二人ともに泥酔してのことではあるのだが、組手にて真美を上回ったという過去がある。
雲仙は悠生の父との親交もあり、ともすれば悠生およびほか二人との関係も当然あった。
悠生が親の仕事で遊んでもらえないとき、代わりに非番の雲仙が世話を焼いてくれていたりした。
もう一人の親というほどではないが、親戚より近いくらいの距離感でのかかわりがあった。
「アイツが死んだって...どういうことだよ。あいつが誰にやられるんだ」
酔いが一気にさめた真美が立ち上がって寺嶋に問い詰める。
「お前さんは署勤務より町に身近な勤務なんだ。せいぜい死なねえようにな」
「あたしはあんなんに負けちゃいねえ。酔ってたから負けただけだ」
「おめえが弱いから言ってんじゃねえ。近々あぶねえから気をつけろってんだ」
「酒がまずくなる。死んだ奴の話なんかすんな」
真美は「もう一杯」というと注がれた日本酒を一気に流し込んだ。
「会計」
とだけ言って1万円札をばんっと置き、寺嶋が「多いぞ」というと「こいつらの好きなもん食わせろ。余りは小遣いでいい」と言って店を出た。
「...あんな変な起こり方するの見たことないけど」
悠生がつぶやくと、寺嶋が
「悔しいんだろうさ」
と答える。
「あれで相当の負けず嫌いさ。酔ってても勝ち逃げしたのが気に食わないんだろう。それに...」
「それに?」
「ただ友人の死というのが受け入れきれないんだろう。真美だってメンタルにおいて並大抵ではないが、親しい友人の死は悲しいもんだ。逃した魚だってそうだが、腹に入れたって割とでかいもんよ」
寺嶋は、三人の前にコトッと玉ねぎの天ぷらが乗った器がおかれる。
「あいつが好きだったんだ。真美の代わりに食って弔ってくれやしねえか」
悠生と丹波は何となく手を出しにくく感じていたが、鋼はすっとその天ぷらに手を出した。
「大丈夫...俺がいれば3人とも死なない...」
鋼はてんぷらをかじってそうつぶやく。
「俺も守るし戦う」
悠生が天ぷらをとる。
「やられる前にやる」
丹波が最後の一個をとる。
そして、悠生が
「寺嶋さん、このお金は取っといて次にマミちゃんが来たときにここから出して」
「へっ、坊主も随分と義理のわかる野郎になったんじゃねえか」
「寺嶋さんほどじゃないよ」
そうして、三人は車の中で寝る真美を横目に帰...
「マミちゃん!?」
「車で来たのに呑んだのか...」
「マミちゃんなら初めからこうするつもりだったって線も...」
「いやさすがに...」
三人ともどうしようもないのでその場に置いて帰ることにした。
「それにしても雲仙さんが...」
相手は余程の手練か。
それともトップクラスの警官を欺くほどの策士か。
いずれにせよ危険となりうることは確かだ。
「突っ込もうなんて考えんなよ」
丹波が悠生の心を見透かしたように言う。
「あの人がやられるような相手ってのは、俺たちが相手していいレベルじゃない」
「...」
悠生が歯ぎしりする。
鋼も止める。
「これは危ない。今は身の安全が第一...」
正義×強さ。
それは悪への絶対的な抑止力。
その体現であった荒田雲仙の死とは、今まで抑圧されてきた悪が堂々と闊歩出来てしまう事をイコールで意味している。
雲仙よりは弱くとも、自分らよりは強い相手が暴れないとも限らない。
治安というのはかくして、未成年の犯罪は三人組、大人の犯罪は雲仙が押さえ込む事で保たれていたのだ。
「復讐に燃えるなら、もっと強くなってから、だ」
丹波になだめられて今まで黙っていた悠生が口を開く。
「分かった。...でもマミちゃんは?」
「あの人がそうすぐ死ぬ玉かよ。いいから自分の安全を心配しとけ」
「うん...」
納得いかない様子で、でも無理やり納得した感じに悠生は頷いた。
「分かったら帰ってさっさと寝るぞ」
「そうだな」
「はーい」
その日は解散となった。
「おにーさん、それレジ通してないよね」
コンビニの出入口前、見るからに遊んでいる二十代後半と思しき男に、高校生が話しかけている。
「盗ったもん、出しな」
大人相手に度胸のある高校生だ。
投稿前にお気に入りのシガレットチョコを買いに来ていた穂高悠生だ。
「いい大人になって、恥ずかしくないの」
「うるせぇっ!」
男が殴り掛かる。
しかし、構えた状態で腕は動かない。
「じゃあコンビニの店長と話つけて、謝ればちゃんと分かってもらえる人だから」
「ぐ...」
攻撃すら出来ないのだ。
歯は立つまい。
生物の生き残りに置いて重要なのは自分より強い生物を見定めることだが、その見方をするなら男は優秀な生物だったかもしれない。
今の気が立っている悠生なら、骨くらいはポキッと折りそうである。
そのまま裏の事務所に連れていく。
事務所に入れると、後から店長がやってくる。
「いやぁ、いつもありがとね」
「いいですよ。人のためになってる気がすると嬉しいですし」
「そうか。念の為立ち会ってくれるかな?一応証人なわけだし」
「分かりました」
悠生にとっては日常の1ページ。
こんなことも慣れたものだ。
人のためになる。
人を助ける。
もっと強くならなくては、自分すらも助けられない。
尋ねる場所は決定した。
武田さんだ。
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