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THREEPARTS 3/2
16話
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「僕ッ!登場!」
立ち込めるもやの中、悠生たちが手でその煙を払いのけようとする無効に人の影があった。
「雲英ァ!登場のスモークは加減しろって言ってんだろ!」
悠生が怒鳴る。
雲の向こうにいるのは雲英英義。
自称スター、悠生たちの後輩だ。
「つめた...」
鋼がボソッとつぶやく。
雲というやつは冷たいのだ。
「お久しぶりです」
「変わりないようで安心したよ!!」
「ええ、スターですので!」
「皮肉だわ」
と、そんなやり取りがあったうえで丹波が聞く。
「どした、こんな昼休みにわざわざ屋上まで」
「実は頼みごとが」
こうして三人組の元に頼み事を持ってくる人は珍しくない。
雲英は学年が違えど比較的珍しい能力持ちでありながら言動に癖があるのでやはり学校一の有名人である三人組とは面識があるというわけだ。
「お前からそう来たのは初めてだな」
雲英は、スターという存在に憧れを抱いているらしく、かっこよく、輝きたいらしい。
「で、頼み事は何?」
悠生が切り出す。
「今よりもっとかっこよくなりたいんですが、どうしたらいいでしょう」
今がすでにかっこいいという前提があるのはおいておいて。
確かに顔は悪くない。
身だしなみには気を配っているみたいだし、見た目にイケメンという印象を持つことは間違いない。
「かっこよく、ねえ...」
丹波がつぶやく。
素で普通にイケメンかつ身だしなみなんぞ気にするほど平和な頭をしていない三人に、これ以上かっこよくなりたいという願いは解決しがたいものだった。
「あー...なんで俺らに?」
悠生の疑問も当然だ。
「それは!お三方が学校の誰もが頼るスタァだからです!」
「はあ...」
悠生はあっけにとられている。
「どうすればだれからも頼られるようなトップスターになれますか!?」
「しらねーよ」
悠生が突っぱねる。
「俺らは入ってきてあったいろいろを乗り越えてたらいつの間にか名が知れて頼られてただけだ」
事実である。
入学し、ヤンキーが絡んできては返り討ちを繰り返したところ、悪に傾くことのない確かな力を持った連中がいるらしいと広まったのだ。
「それかっこいいじゃないですか!あなた達のスター性の正体は強さ...」
そして少し考えると、
「僕も強くなりたいです!」
しかし、
「無理だな」
「無理だね」
「無理」
3人ともその願いを否定する。
「どうして!他の人の願いは聞き入れるのでしょう!?」
「俺らみたいに強くなりたいってのは無理だ。まず土台が違ぇ」
3人とも、強くなるべくしてなったという感じだ。
鋼には生来の体格的有利があるし、丹波には咄嗟に物事を考える頭脳がある。
悠生は、努力なんぞで間を埋めることの出来ない圧倒的運動神経と飲み込みの速さがある。
血のにじむ努力をして鋼・丹波のように強くなったとしても、それは努力で身につけたもの。
それを自分の自然な要素として使いこなす2人には絶対に適わないし、悠生は努力どうこうで太刀打ち出来るレベルでは無い。
本気を出せば一般人など2秒で息の根が止まる。
「じゃあ、強くなりたいです」
「やめとけ」
丹波が挟む。
「強くなったところで何をする。強さで目立ってるのは俺らだ。今頃お前が強くなったところで俺らより目立つことはない」
「うぐっ、確かに」
「俺らはそもそもスターじゃなくて便利屋みたいなもんだ。金取らない代わりに頼まれてもないことまでお節介焼いて回るただの世話焼きなんだ」
「...はぁ」
「もちろん頼られるのは悪いことじゃない。それにお前が頼られたい、誰かの役に立ちたいって思ったなら自分から進んで何か行動に起こすべきだぜ」
「うーむ...」
雲英は悩んでいる。
まだ強さ=スター性に執心があるようだ。
「おーい、この学校の頭張ってるやつ出て来いや」
「おっ、ちょうどいい所に」
悠生が屋上から下を見下ろすと、どこの街から来たのかヤンキーが殴り込んで来ていた。
「スマホ、持ってる?」
悠生が雲英に聞く。
「強くなるの諦めさせてやる。2秒、測ってな」
そう言って、屋上の柵の有刺鉄線の上に立った。
「よーーーーい...」
じっとヤンキーの方を見る。
「スタート」
一瞬悠生が消え、「ぐあっ」という声の後にまた悠生が現れた。
「はい、何秒?」
「...0.97秒、はは、こんなの見せられたら強くなりたいなんて言えませんね」
「ま、そういうことよ」
丹波が雲英の肩をぽんと叩く。
「お前はお前なりにできることあんじゃねーの?」
今は7月。
大した行事などは無い。
「人から慕われるのも悪いことじゃねーぞ。小さいことから始めていけば?」
「はい!」
雲英は元気よく返事をした。
今後の雲英の人生について、それはそれは華やかな障害を送るのだが、それはまた別の話。
この先、雲英が夏休みの課題を人に教えることで少しづつみなの信頼を獲得していくのも、その信頼から1年にして生徒会長の座を獲得するのも、芸能界入りしてハリ〇ッドに行くのも、政党に入って国会議員になるのも総理大臣になるのも、また別の話。
立ち込めるもやの中、悠生たちが手でその煙を払いのけようとする無効に人の影があった。
「雲英ァ!登場のスモークは加減しろって言ってんだろ!」
悠生が怒鳴る。
雲の向こうにいるのは雲英英義。
自称スター、悠生たちの後輩だ。
「つめた...」
鋼がボソッとつぶやく。
雲というやつは冷たいのだ。
「お久しぶりです」
「変わりないようで安心したよ!!」
「ええ、スターですので!」
「皮肉だわ」
と、そんなやり取りがあったうえで丹波が聞く。
「どした、こんな昼休みにわざわざ屋上まで」
「実は頼みごとが」
こうして三人組の元に頼み事を持ってくる人は珍しくない。
雲英は学年が違えど比較的珍しい能力持ちでありながら言動に癖があるのでやはり学校一の有名人である三人組とは面識があるというわけだ。
「お前からそう来たのは初めてだな」
雲英は、スターという存在に憧れを抱いているらしく、かっこよく、輝きたいらしい。
「で、頼み事は何?」
悠生が切り出す。
「今よりもっとかっこよくなりたいんですが、どうしたらいいでしょう」
今がすでにかっこいいという前提があるのはおいておいて。
確かに顔は悪くない。
身だしなみには気を配っているみたいだし、見た目にイケメンという印象を持つことは間違いない。
「かっこよく、ねえ...」
丹波がつぶやく。
素で普通にイケメンかつ身だしなみなんぞ気にするほど平和な頭をしていない三人に、これ以上かっこよくなりたいという願いは解決しがたいものだった。
「あー...なんで俺らに?」
悠生の疑問も当然だ。
「それは!お三方が学校の誰もが頼るスタァだからです!」
「はあ...」
悠生はあっけにとられている。
「どうすればだれからも頼られるようなトップスターになれますか!?」
「しらねーよ」
悠生が突っぱねる。
「俺らは入ってきてあったいろいろを乗り越えてたらいつの間にか名が知れて頼られてただけだ」
事実である。
入学し、ヤンキーが絡んできては返り討ちを繰り返したところ、悪に傾くことのない確かな力を持った連中がいるらしいと広まったのだ。
「それかっこいいじゃないですか!あなた達のスター性の正体は強さ...」
そして少し考えると、
「僕も強くなりたいです!」
しかし、
「無理だな」
「無理だね」
「無理」
3人ともその願いを否定する。
「どうして!他の人の願いは聞き入れるのでしょう!?」
「俺らみたいに強くなりたいってのは無理だ。まず土台が違ぇ」
3人とも、強くなるべくしてなったという感じだ。
鋼には生来の体格的有利があるし、丹波には咄嗟に物事を考える頭脳がある。
悠生は、努力なんぞで間を埋めることの出来ない圧倒的運動神経と飲み込みの速さがある。
血のにじむ努力をして鋼・丹波のように強くなったとしても、それは努力で身につけたもの。
それを自分の自然な要素として使いこなす2人には絶対に適わないし、悠生は努力どうこうで太刀打ち出来るレベルでは無い。
本気を出せば一般人など2秒で息の根が止まる。
「じゃあ、強くなりたいです」
「やめとけ」
丹波が挟む。
「強くなったところで何をする。強さで目立ってるのは俺らだ。今頃お前が強くなったところで俺らより目立つことはない」
「うぐっ、確かに」
「俺らはそもそもスターじゃなくて便利屋みたいなもんだ。金取らない代わりに頼まれてもないことまでお節介焼いて回るただの世話焼きなんだ」
「...はぁ」
「もちろん頼られるのは悪いことじゃない。それにお前が頼られたい、誰かの役に立ちたいって思ったなら自分から進んで何か行動に起こすべきだぜ」
「うーむ...」
雲英は悩んでいる。
まだ強さ=スター性に執心があるようだ。
「おーい、この学校の頭張ってるやつ出て来いや」
「おっ、ちょうどいい所に」
悠生が屋上から下を見下ろすと、どこの街から来たのかヤンキーが殴り込んで来ていた。
「スマホ、持ってる?」
悠生が雲英に聞く。
「強くなるの諦めさせてやる。2秒、測ってな」
そう言って、屋上の柵の有刺鉄線の上に立った。
「よーーーーい...」
じっとヤンキーの方を見る。
「スタート」
一瞬悠生が消え、「ぐあっ」という声の後にまた悠生が現れた。
「はい、何秒?」
「...0.97秒、はは、こんなの見せられたら強くなりたいなんて言えませんね」
「ま、そういうことよ」
丹波が雲英の肩をぽんと叩く。
「お前はお前なりにできることあんじゃねーの?」
今は7月。
大した行事などは無い。
「人から慕われるのも悪いことじゃねーぞ。小さいことから始めていけば?」
「はい!」
雲英は元気よく返事をした。
今後の雲英の人生について、それはそれは華やかな障害を送るのだが、それはまた別の話。
この先、雲英が夏休みの課題を人に教えることで少しづつみなの信頼を獲得していくのも、その信頼から1年にして生徒会長の座を獲得するのも、芸能界入りしてハリ〇ッドに行くのも、政党に入って国会議員になるのも総理大臣になるのも、また別の話。
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