22 / 26
THREEPARTS 3/2
22話
しおりを挟む
「誰だ!」
声のした真後ろを振り向くが、そこには誰もいない。
「こっちよ、こっち」
後方、つまり振り向く前の前方。
声の主はやはり日下未子。
「何をした」
「時間を止めたのよ。今動けるのは私とあなただけ...」
「...何が目的だ」
「その言葉そっくりそのままくり返すわ」
「...単刀直入に言おう。俺の母親を知ってるんじゃないのか」
日下は言いづらそうに顔をしかめた。
「知ってるわ。でもあなたには何も話せることはない」
「行方不明の母さんが今どうしているのか、教えてくれよ」
「言えない」
「...俺の母さんが行方不明ではなく死亡していることを指摘しないあたり、というか何も反応を示さないあたり犯人ではなさそうだな」
「私を疑う必要はないわ。私はあなたの味方よ」
「信じられるか」
「...言い方を変えましょうか。信じていいのはあなた自身だけよ」
「お前が俺の一部かのような口ぶりだな」
「ややこしい言い方して申し訳ないわ。あなたはあなた自身...そうね。あとはいつもくっついてるあの二人かしら。それぐらいは伝えて大丈夫でしょう。信じていいのはそれくらいよ」
「...お前は何者なんだ」
「あなたには真相にたどり着いてもらわないといけないの。そういう使命なのよ」
「...何が目的だ」
「私は日下未子ではない。それだけ伝えましょう」
「何を言ってるのか分けわからねえよ」
「あなたが運命にたどり着けるように、幸運を祈るわ」
日下ではないと言ったその女は指をパチンと鳴らした。
気が付くと、日下ではない女と悠生は宇宙空間のようなところに浮いていた。
「さ、人は時に時間をかけることで観測可能なこと以上の真実にたどり着くわ。時間ならいくらでもあげる」
そういって日下は虚空に消えた。
考えるったって、何を?
何が起こっているんだ?
疑問だけが頭の中を飛び交う。
おそらく、考えろというのは母の殺害の犯人についてだろう。
その前にアイツ誰だ。
母を誰が殺したか...
俺ら三人以外を信じるな...?
どういうことだ?
こんなことなら丹波もつれてくれば...ってここに連れてこられるとは限らんか。
まずは今わかっていることだ。
・犯人は女
・雲仙が共犯
・殺害されたのは5年前
・警察は事件を隠そうとした
・雲仙は事件後5年目に死亡
こんなとこか。
犯人は女...
今んとこ主にかかわった女っていうと...
真美ちゃん、茅野、茅野母、トメさん、日和、小町さん...日下未子、もか?
茅野とその母は関わってなさそうだ。
聞いたことがないし、俺んちもなんてことない普通の家だったから何かあれば金の力で何とでもなるだろう。
トメさんも疑う材料がない。
真美ちゃんもなあ...
殺す理由もそれこそ脳筋で自分の望みは自分の力で解決する主義だから殺すようなことはないだろうし...
日下未子...
信じていいのか?
信じていいんだな...?
何者なのかわかるまでは信用はしないべきか...
三人組以外は疑え、というのはつまり「私はやっていないのだけどそれでも自分まで疑うほど用心深く考えろ」という意味だろう。
...何が目的なのか、読めん。
日和は疑えない。
五年前というと、よっぽどの猟奇殺人気でなければ殺す理由が起こりえないはずなのだ。
現状一番怪しいのは小町さんだ。
年齢的にもあり得る。
理由に心当たりこそないが雲仙さんと知り合いだったという。
父が雲仙と仲が良かったことは聞いている。
母と雲仙に何らか関係があり、その流れで母と小町さんにトラブルがあったとしたら...?
...弱い。
今答えを出すにはあまりにも材料が少なすぎる。
それにすでに俺が犯人とあっている確証などみじんもないのだ。
「お手上げだ」
「あら、早かったじゃない」
フーッと、空間に日下ではない女が現れた。
「何も考えてないってか」
「いいえ。そんなバカならここまでしてないわ」
「今は材料が足りなさすぎる」
「そう」
日下ではない女は指を鳴らした。
一気に意識が遠のいた。
声のした真後ろを振り向くが、そこには誰もいない。
「こっちよ、こっち」
後方、つまり振り向く前の前方。
声の主はやはり日下未子。
「何をした」
「時間を止めたのよ。今動けるのは私とあなただけ...」
「...何が目的だ」
「その言葉そっくりそのままくり返すわ」
「...単刀直入に言おう。俺の母親を知ってるんじゃないのか」
日下は言いづらそうに顔をしかめた。
「知ってるわ。でもあなたには何も話せることはない」
「行方不明の母さんが今どうしているのか、教えてくれよ」
「言えない」
「...俺の母さんが行方不明ではなく死亡していることを指摘しないあたり、というか何も反応を示さないあたり犯人ではなさそうだな」
「私を疑う必要はないわ。私はあなたの味方よ」
「信じられるか」
「...言い方を変えましょうか。信じていいのはあなた自身だけよ」
「お前が俺の一部かのような口ぶりだな」
「ややこしい言い方して申し訳ないわ。あなたはあなた自身...そうね。あとはいつもくっついてるあの二人かしら。それぐらいは伝えて大丈夫でしょう。信じていいのはそれくらいよ」
「...お前は何者なんだ」
「あなたには真相にたどり着いてもらわないといけないの。そういう使命なのよ」
「...何が目的だ」
「私は日下未子ではない。それだけ伝えましょう」
「何を言ってるのか分けわからねえよ」
「あなたが運命にたどり着けるように、幸運を祈るわ」
日下ではないと言ったその女は指をパチンと鳴らした。
気が付くと、日下ではない女と悠生は宇宙空間のようなところに浮いていた。
「さ、人は時に時間をかけることで観測可能なこと以上の真実にたどり着くわ。時間ならいくらでもあげる」
そういって日下は虚空に消えた。
考えるったって、何を?
何が起こっているんだ?
疑問だけが頭の中を飛び交う。
おそらく、考えろというのは母の殺害の犯人についてだろう。
その前にアイツ誰だ。
母を誰が殺したか...
俺ら三人以外を信じるな...?
どういうことだ?
こんなことなら丹波もつれてくれば...ってここに連れてこられるとは限らんか。
まずは今わかっていることだ。
・犯人は女
・雲仙が共犯
・殺害されたのは5年前
・警察は事件を隠そうとした
・雲仙は事件後5年目に死亡
こんなとこか。
犯人は女...
今んとこ主にかかわった女っていうと...
真美ちゃん、茅野、茅野母、トメさん、日和、小町さん...日下未子、もか?
茅野とその母は関わってなさそうだ。
聞いたことがないし、俺んちもなんてことない普通の家だったから何かあれば金の力で何とでもなるだろう。
トメさんも疑う材料がない。
真美ちゃんもなあ...
殺す理由もそれこそ脳筋で自分の望みは自分の力で解決する主義だから殺すようなことはないだろうし...
日下未子...
信じていいのか?
信じていいんだな...?
何者なのかわかるまでは信用はしないべきか...
三人組以外は疑え、というのはつまり「私はやっていないのだけどそれでも自分まで疑うほど用心深く考えろ」という意味だろう。
...何が目的なのか、読めん。
日和は疑えない。
五年前というと、よっぽどの猟奇殺人気でなければ殺す理由が起こりえないはずなのだ。
現状一番怪しいのは小町さんだ。
年齢的にもあり得る。
理由に心当たりこそないが雲仙さんと知り合いだったという。
父が雲仙と仲が良かったことは聞いている。
母と雲仙に何らか関係があり、その流れで母と小町さんにトラブルがあったとしたら...?
...弱い。
今答えを出すにはあまりにも材料が少なすぎる。
それにすでに俺が犯人とあっている確証などみじんもないのだ。
「お手上げだ」
「あら、早かったじゃない」
フーッと、空間に日下ではない女が現れた。
「何も考えてないってか」
「いいえ。そんなバカならここまでしてないわ」
「今は材料が足りなさすぎる」
「そう」
日下ではない女は指を鳴らした。
一気に意識が遠のいた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる