銀の王子は金の王子の隣で輝く

明樹

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 ラズールがネロに気づいて険しい表情になる。
 
「おまえ、ここで何をしている」
「フィルと話してただけだけど?」
「フィル様は体調が悪いのだ。疲れさせるようなことをするな」
「はあ?心配して見に来ちゃいけないのかよ。なあフィル、俺、迷惑だった?」
「そんなことないよ。来てくれて嬉しかった。ありがとう」
「なら良かった。早く元気になってくれよ?」
「うん」

ネロは僕に笑うと、一瞬ラズールを睨んだ後に顔を背けて出ていった。
 しばらくラズールは、ネロが出ていった扉を睨んでいたが、僕が「どうなった?」と聞くと、すぐに僕の前に来た。

「フィル様、起きて大丈夫なのですか?」
「うん、もう大丈夫だよ。ラズールがここまで運んでくれたんだよね」
「はい。白い顔色をしてましたから心配しましたよ」
「思いもよらないことを聞いて驚いたから。大宰相達と話し合ってきたんだろ?どういう意見が出たの?」

 ラズールが黙って手を伸ばして、僕の銀髪に触れた。ラズールはよく僕の髪を触るけど、僕を慰めたり元気づける時に触ることが多い気がする。
 僕も手を上げると、ラズールの手の上に手を重ねた。

「…僕を、クルト王子の妃に差し出すことに決まった?」

 ラズールの手がピクンと跳ねて「まさか!」と大きな声で言う。

「あなたを隣国の王子の妃になどさせません」
「じゃあどうして、そんな辛そうな顔をしてるの?」
「俺が…ですか?」
「してる。他の人が見てもわからないだろうけど、僕はラズールの些細な表情の違いがわかるんだよ」
「フィル様…」

 ラズールが今度は泣きそうな顔をする。話し合いの結果、僕にとってよくない意見が出たんだろう。
 僕はラズールの手を握りしめた。

「これから僕はどうするって?」

 握りしめられた手を見つめて、ラズールがようやく話し出す。

「これから…フィル様は国境に行き、バイロン国のクルト王子と会っていただきます」
「うん、それで?」
「女王として、会っていただきます。直接王子と話して、向こうから断るように仕向けてください」
「そうか…難しいけど何とかやってみるよ」
「フィル様!」
「びっくりした…なに?」

 突然大きな声で名前を呼ばれて驚いた。
 ラズールが膝をつき、僕を見上げてくる。

「わかってますか?断り方によっては、その場で斬られるかもしれないのですよ!俺が傍にいて全力で守りますが、俺よりクルト王子の方が、あなたと近い位置で話をする。クルト王子が振り抜く剣を、俺は防げないかもしれないっ…」
「そうなったらそれは僕の運命だ。ラズール、怒りでクルト王子を斬らないでよ」
「約束できかねます…」
「そんな顔しないで。斬られないように、上手くやるから」
「はい…」

 ラズールが掠れた声で返事をしながら、僕の両手を持ち上げ額にあてた。
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