天狗の花嫁

明樹

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繋がる心と身体

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銀ちゃんが、深く唇を合わせて俺の舌を絡め取る。口内を隈なく舐め回して、伸ばした俺の舌を強く吸い上げた。
一気に身体の力が抜けてしまい、銀ちゃんにもたれかかる俺の唇を優しく啄ばみながら、銀ちゃんが囁く。


「凛…、今すぐおまえを抱くぞ。もう我慢の限界だ。嫌とは言わせない」


銀ちゃんの言葉に、俺の心臓が早鐘を打ち始める。俺は、熱い息を吐いて答えた。


「嫌なわけない…。俺も銀ちゃんと一つになりたい…」
「…凛…凛…」


銀ちゃんが、キスの合間に何度も俺の名前を呼ぶ。低く掠れた声で呼ばれるたびに、俺の背中がぞくりと痺れて、頭も身体もとろりと蕩けてきた。
銀ちゃんの手が服の裾から差し入れられて、俺の素肌を撫でる。俺は慌てて銀ちゃんの腕を掴んで止めた。


「ま、待ってっ。汗かいてるからシャワー浴びたいっ」
「そんなことは気にしない」
「俺は気にするっ。お願い、初めてだからちゃんと綺麗にしてからしたいっ。銀ちゃん…」


俺が涙目で見上げると、銀ちゃんはたじろいで小さく溜め息を吐いた。


「…わかった。でも十分で出て来るんだ。いいな?」
「えっ、早っ…。わ、わかった。部屋で待っててっ」


そう言うと、俺は風呂場へよたよたと走って行った。


急いで全身を洗い、少し前に『いつかするかも』とネットで調べた内容を思い出して、後ろの孔を洗う。上手く洗えたかわからないけど、こんなもんでいいだろうとシャワーを止めた所で、ガラッと風呂場のドアが開いた。
驚いて振り向くと、そこには全裸の銀ちゃんが立っていた。


「うわっ!ぎ、銀ちゃんっ、どうしたのっ?」
「おまえが遅いから来た」
「えっ、もう十分経った?」


給湯器に表示されてる時間を確認すると、まだ五分しか経っていない。


「まだ大丈夫じゃん、もう!」
「凛、洗えたのか?俺が洗ってやろうか?」
「い、いい!もう終わったから先に出るっ」


俺は銀ちゃんと入れ違うように風呂場を出て、急いで身体を拭いた。


「俺の部屋で待ってろ」


銀ちゃんがそう言って風呂場のドアを閉める。
俺は腰にタオルを巻いて台所に行き、冷蔵庫から水のペットボトルを取り出すと銀ちゃんの部屋に向かった。


銀ちゃんの部屋に入るなり、俺は固まってしまう。部屋には、すでに布団が敷かれていた。


ーーまずい、緊張してきた…。


とりあえず、どこかに座ろうとウロウロとしてると、部屋の隅に銀ちゃんの浴衣が畳んで置いてあるのを見つけた。
手に取って顔を近付けると、銀ちゃんの匂いがする。


ーー俺の大好きな匂い…、落ち着く…。


浴衣を広げて羽織ってみる。袖も裾もおかしいぐらい余ってしまって、くすくす笑った。
でも銀ちゃんの匂いに包まれて、まるで抱きしめられているように錯覚する。


その時、風呂場のドアが開く音が聞こえて、俺は慌てて浴衣を脱ごうとして裾を踏み、布団の上に転がってしまった。
すぐに部屋の扉が開いて、銀ちゃんが入って来た。俺を見ると無言で傍に来て、上から被さり抱きしめる。


「はあっ、おまえ…何してんの?」
「あ、ごめん…っ、だってこの浴衣、銀ちゃんの匂いがするから…あっ」


俺がそう言った途端、銀ちゃんが俺から浴衣を剥ぎ取った。
両手で俺の頬を挟み、至近距離で囁く。


「ほんとにおまえは…。俺の匂いが好きなら、幾らでも身体の外も中にもつけてやる。凛…愛してる。たぶん止めてやれないぞ…」
「俺も大好きっ。いいよ…銀ちゃんなら何されても」
「…もう黙れ」


銀ちゃんが俺を見つめながら唇を塞ぐ。
俺は銀ちゃんに応えるのに必死で、銀ちゃんの首に腕を回してしがみ付き、ひたすら舌に舌を擦り付けた。


「ふう…っ、んっ、んぅ…」


合わさる唇の隙間から、俺の甘い声と涎が零れる。キスをしながら、銀ちゃんの手が俺の肌の上を這っていく。そして、俺の胸の突起に触れると摘んで指で弾いた。


「あっ、ん…っ」
「ここ…どんな感じ?」
「ん…わかんないっ、なんか、くすぐったい…っ」
「そうか…」


ふっと笑って俺の耳に顔を移し、耳の穴に舌を挿し入れた。


「あっ、あっ、そこは…だめ…っ、ひぁ…っ」


片手で俺の乳首を弄りながら、耳をしつこく舐め回す。
腰に巻いたタオルの下では、俺の性器がすでに上を向いて、先端から蜜を垂らしているのがわかった。


それに、俺の太もも辺りに銀ちゃんの硬く大きい屹立が、ぐいぐいと押し付けられている。しかも、生の感触がするっ!


「ん…っ、ぎ、銀ちゃん…、タオルどうしたの?」
「あ?そんなの邪魔だろ。ほら、おまえも取れ」


そう言うと、俺のタオルを剥いで遠くへ放り投げた。


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