ふれたら消える

明樹

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 昊の手をしっかりと握りしめて進み、土手の斜面に並んで座る夏樹と颯人を見つけた。

「あっ、いた!昊、ほらあそこに…」
「ああ」

 俺が指をさした先を、昊が見る。

「もういいだろ…手、離せよ」
「え、いいじゃん。このままで」
「はあ?手繋いで花火見んの?はぐれる心配ねぇから必要ないじゃん」
「でも…昊とこんなふうに手を繋ぐの久しぶりだろ?離したくない」

 俺の心の内を吐露とろし過ぎたかなと、ドキドキしながら昊を見つめた。
 昊はまっすぐに俺の目を見て「ダメだ」と無理矢理手を離してしまった。
 先に夏樹と颯人の所へ向かう昊の背中を、ぼんやりと目で追う。拒否られた…当たり前なんだけど。でも…ショックだ。仕方ねぇなあと笑って、手を繋ぐことを許してくれる気がしたんだ。でも無理か。昊はもう、高校生だもんな。俺だって中学生だし昊よりデカくなっちゃったし。俺が昊よりも小さい小学生だったら、繋いでくれたのかな。でもそうしたら、昊を包み込むように抱きしめられない。俺はもっと大きくなって、全ての事柄から昊を守りたいんだ。
 俺に気づいて手を振る颯人に笑って、昊の後から二人に近づく。そして昊の細い背中を見ながら「あれ?」と気づく。
 昊に拒否されてショックを受けたけど、俺が離したくないと言った時の昊の顔…泣きそうになってなかった?俺の見間違い?もしかして昊は、俺の気持ちに気づいてるのかなと期待する。でも違うな。もし俺の気持ちに気づいてたなら、昊の性格上、きっとよそよそしくなる。手も繋がせてくれない。やはり昊の中で俺は、たった一人の弟だ。


 花火は綺麗きれいだった。どん!と身体の奥に響く音にテンションが上がった。何度も盗み見た昊の横顔も綺麗だった。
 帰り道、夏樹と颯人が浴衣姿の女の子を見ては「可愛い」だの「きれい」だの言ってたけど、俺は何の感情も浮かばなかった。どんなに華やかにしてる子を見ても、心は動かない。やはり昊が一番かわいくて綺麗。昊だけが輝いて見える。
 夏樹と颯人と別れて二人きりになった。周りに人もいない。俺たちを見ているのは月だけ。もう一度手を繋ぎたいと、俺はそっと昊の指に触れた。
 昊の身体が揺れたけど、少しだけ指をからめてくれた。嬉しい。心臓の音がヤバい。顔がにやける。強く昊の手を握りしめようとしたその時、後ろから声が聞こえた。

「昊、会えてよかった」

 昊が手を解いて振り返る。
 俺も振り返ると、背の高い男が不気味に笑っていた。
 
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