ふれたら消える

明樹

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 昊と気まずくなったあの夏から二年が経ち、俺と颯人は高校生になった。俺も颯人も昊や夏樹と同じ学校だ。昊と一緒に過ごす時間が減ったぶん、俺は勉強を頑張った。だからレベルの高い学校だけど、余裕をもって合格することができた。
 颯人はもともと頭がいい。上の学校にも行けたはずだけど、「青がいない学生生活なんて楽しくないじゃん」と嬉しいことを言ってくれて、同じ学校に進学した。
 昊とのことで悩んでいたけど、颯人が傍にいてくれて心強い。俺の気持ちを知ってる颯人には、色々と相談もできるから、誰にも知られてはいけない気持ちを吐き出せて、苦しくてどうしようもないと沈んでしまわなくて済んでいる。


 高校に入学してゴールデンウィーク後に気づいたけど、どうやら昊と柊木は同じクラスになったらしい。休み時間に夏樹を見かけたから聞いてみると、「そうなんだよ」と苦笑していた。
 俺のテンションが一気に下がる。第一印象からして、俺は柊木をよく思っていない。篠山も嫌いだったけど、柊木は篠山よりも何を考えているのかがわからなくて苦手だ。
 ちなみに夏樹は昊と違うクラスになったらしい。しかも教室も端と端で離れているらしく、中々様子を見に行けないとのことだ。
 俺はため息をついて「マジか…」と呟いた。

「昊の様子を教えてあげたいんだけどわかんなくてさ、ごめんな?」
「いや、夏樹が謝ることは何もないよ。ただ、昊は柊木と仲がいいのかな…」
「いいか悪いかで言えば、いいみたいだね。休みの日にも会ってるみたいだけど…。青は知らなかったのか?」
「うん…、最近はさ、昊があまり話してくれなくてさ…」
「そっか。そういえば昊も、あまり青のこと話さなくなってるよな。喧嘩でもした?」
「うん…喧嘩っていうか…」
「あっ、青くんいた!」

 クラスの女子に、話を遮られた。入学した初日から、人懐っこく話しかけてくる金井かないさんだ。悪い人ではないんだけど、空気を読まずにグイグイと来るところが苦手だ。
 俺は少し面倒くさそうに「なに?」と答える。

大神おおがみ先生がさがしてたよ。午後の授業の準備を頼みたいって」
「は?なんで俺…」
「だって先生、青くんのこと、お気に入りじゃん。私も手伝うよ」
「いや、いいよ。夏樹ごめん。また連絡する」
「ああ。またな」

 夏樹が俺に手をあげ、金井さんに微笑んで去って行く。俺も大神先生がいつもいる数学の準備室に行こうとすると、金井さんがついてきた。

「金井さん、教室に戻っていいよ」
「えー?手伝いたかったのにな。ねぇさっきの人って、三年生だよね?」
「うん。兄さんの友達。俺の友達でもあるけど」
「ふーん、かっこいい人だね。青くんのお兄さんもかっこいいんだろうね」
「なんで?」
「だって青くんがかっこいいから」

 俺は気づかれないよう、一瞬だけ金井さんを見る。どういう意図で、昊のことを聞いてきたのだろう。昊に興味を持たれるのは、困る。

「昊…兄さんは、かっこよくはないよ」
「ええ?兄弟って素直に相手の良さを認めないアレ?」

 勝手な解釈をした金井さんに、俺は心の中で違うと反論する。
 昊はかっこいいんじゃなくて、綺麗なんだ。あんなに綺麗な人を、俺はいまだかって見たことがない。
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