ふれたら消える

明樹

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「俺も青が」
「母さん、俺が強引に昊にキスした。気持ちを抑えきれなくて。俺の方が力が強いからさ、昊は逃げれなかったんだ」
「は?なに言っ…」

 痛い。青が俺の手を強く握る。何も喋るなというように。なんでだよ。俺も青が好きだ。隠したくない。だから青の前に出ようとしたのに、青に押し戻された。

「ねぇ母さん。俺、高校を出たら家を出る。働いて昊と二人で暮らしたい」
「そんなことっ、許さないわよ!」
「ダメって言われても俺の気持ちは変わらない」
「青っ!」

 バシン!と鋭い音がして、掴まれた手を離そうと下を向いてた俺は、驚いて顔を上げた。
 青が母さんに叩かれた。
 母さんが真っ赤な顔で怒っている。

「青っ」

 俺は、赤くなった青の頬に手を伸ばした。
 青も驚いた顔をしていたけど、すぐに俺を見て微笑んだ。まるで俺を安心させるように。
 俺は泣きそうになった。なんで自分だけ悪者になろうとすんだよ。本当なら、兄の俺がおまえを守らなきゃダメなのに。
 俺は振り返って母さんを睨む。
 母さんは青を叩いた自分の手を見ていたけど、俺の視線に気づいて顔を歪めた。

「昊…どうしてそんな怖い顔するの?あなたは青に無理矢理キ…キス…されたのよね?」
「違う。同意の上だ」
「昊っ、俺が勝手に…っ」
「青は黙って。静かにしてて」
「でもっ」
「いいから」

 焦った顔で俺を止めようとする青の目を見て、少しだけ笑う。青だけに非難を浴びさせない。俺も一緒に。
 俺は再び母さんを見て口を開く。

「気に入らないなら俺を殴れよ。俺は青を拒否しなかった。受け入れた。青が好きだ。誰に何を言われようとも、俺は青から離れないからな」
「あなたたちっ…なんてことっ」

 ついに母さんは泣き始めた。両手で顔を覆って座り込み、嗚咽をもらす。
 母さんを悲しませて悪いと思う。でも、青が好きで仕方がないんだ。どうしても諦められなかった。他の人を好きになろうと、柊木といる時間を増やしたりしたけどダメだった。青じゃなきゃ、嫌だ。でも、気持ちを正直に話したことで、この家にはいられなくなるかもしれない。母さんはきっと、父さんに話す。父さんも激怒するだろう。俺と青を離すだろう。せっかく想いが通じたのに、離れることは辛い。絶対に離れたくない。まあいざとなれば、高校を辞めて働くか。青には高校を卒業して大学にも行って欲しいから、働くのは俺だけでいい。
 そこまで考えて、俺はうずくまる母さんの背中を撫でた。

「母さん、泣かせてごめん。でも仕方がないんだ…ごめん」

 震える母さんの背中を見ていると悲しくなって、俺も涙を流した。
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