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犯人捜し 10
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「あのっ、ちょっと待って!」
前を行く三人が、一斉に振り返る。
三人共が目を見開いて、女の人は立ち止まり、二人の兵は、そっとその場から離れた。
俺は、兵に軽く頭を下げて、女の人を正面から見つめた。
女の人は、寂しそうに笑って深く頭を下げる。
「あっ、待って。頭を上げて。あの…、今回のこと、あなたも辛かったね。なのに、代償が大き過ぎる…」
「ふふ…、カナデ様はやはりとてもお優しい。前にも言いましたけど、私が毒を盛ったのは事実です。それを考えたら、とても寛大な処置をして頂けました。これもカナデ様のおかげです。ありがとうございました」
一旦頭を上げた女の人が、再び深く頭を下げる。
俺は慌てて彼女の肩を掴み、頭を上げるように頼んだ。
「俺は、頭を下げられるようなことは何もしてないよ…。ねぇ、これからどうするの?仕事とか…出来る?だって、あなたの…」
「本当にお優しい。大丈夫なのですよ。寛大な処置をして頂いたと言いましたでしょう?
だから、もうそんな顔をなさらないで…」
俺はきっと、泣きそうな顔をしていたに違いない。
俺の頬に温かい感触がして、ハッと彼女を見ると同時に、頬に触れるものを掴んだ。
それは、切り落とされたと思っていた、彼女の手…!
「え…?なんで…っ」
「カナデ様のおかげです。カナデ様が地下牢から出て行った後、すぐに手を切り落とされると思ってたんです。でも、シアン様が仰った。『アルファム様は、カナデ様が悲しむことはなされない。おまえの前でああは言ったが、たぶん、おまえがどうしようもない理由でした事だろうと見抜いておられる。よくよく調べて処罰を言い渡す。城の中のおまえの部屋で、それまで大人しくしていろ。おまえは逃げたりしないと思うが、一応窓と扉が開かぬようにしておくぞ』そう言って、今朝まで私は自分の部屋におりました」
「そっか…うん…。あなたの妹さんの事も聞いたよ。本当に苦しかったよね…」
彼女が、俺の手から腕を外し、今度は俺の手を両手で包んだ。
「あの時、私は選択を間違えたのです。本当に申し訳ございません。それなのに、城から追放されるという軽い罰だけで済んだのです。カナデ様、アルファム様には、とても感謝しております」
「間違えてないよっ。大切な家族なんだから、どんな時でも一番に選ばなきゃ!…城を出てどこに行くの?」
「私は本当に幸せ者です。妹が預けられている貴族の屋敷で、私も働かせてもらえるようにして頂けたのです。何から何まで…ありがとうございます。私…カナデ様に何かありましたら、必ず駆けつけて命をかけてお守りします。あなた様を殺そうとした私が言うのも滑稽ですが…」
「とんでもないっ。ありがとう…。でもその気持ちだけで充分。これからは、その貴族の方と妹の為に頑張ってね。俺、何も知らないこの世界に来て、アルが傍にいてくれたけど不安な時があったんだ。だから、あなたが優しくしてくれたこと、嬉しかった。今までありがとう。元気でね」
俺が笑ってそう言うと、彼女の顔が歪んで大粒の涙を零した。
そして、深く頭を下げると、離れた所で待っていた二人の兵に挟まれて、裏門がある方へと去って行った。
俺は、彼女の姿が建物の陰に隠れるまで、ずっと見送っていた。
前を行く三人が、一斉に振り返る。
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俺は、兵に軽く頭を下げて、女の人を正面から見つめた。
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「あっ、待って。頭を上げて。あの…、今回のこと、あなたも辛かったね。なのに、代償が大き過ぎる…」
「ふふ…、カナデ様はやはりとてもお優しい。前にも言いましたけど、私が毒を盛ったのは事実です。それを考えたら、とても寛大な処置をして頂けました。これもカナデ様のおかげです。ありがとうございました」
一旦頭を上げた女の人が、再び深く頭を下げる。
俺は慌てて彼女の肩を掴み、頭を上げるように頼んだ。
「俺は、頭を下げられるようなことは何もしてないよ…。ねぇ、これからどうするの?仕事とか…出来る?だって、あなたの…」
「本当にお優しい。大丈夫なのですよ。寛大な処置をして頂いたと言いましたでしょう?
だから、もうそんな顔をなさらないで…」
俺はきっと、泣きそうな顔をしていたに違いない。
俺の頬に温かい感触がして、ハッと彼女を見ると同時に、頬に触れるものを掴んだ。
それは、切り落とされたと思っていた、彼女の手…!
「え…?なんで…っ」
「カナデ様のおかげです。カナデ様が地下牢から出て行った後、すぐに手を切り落とされると思ってたんです。でも、シアン様が仰った。『アルファム様は、カナデ様が悲しむことはなされない。おまえの前でああは言ったが、たぶん、おまえがどうしようもない理由でした事だろうと見抜いておられる。よくよく調べて処罰を言い渡す。城の中のおまえの部屋で、それまで大人しくしていろ。おまえは逃げたりしないと思うが、一応窓と扉が開かぬようにしておくぞ』そう言って、今朝まで私は自分の部屋におりました」
「そっか…うん…。あなたの妹さんの事も聞いたよ。本当に苦しかったよね…」
彼女が、俺の手から腕を外し、今度は俺の手を両手で包んだ。
「あの時、私は選択を間違えたのです。本当に申し訳ございません。それなのに、城から追放されるという軽い罰だけで済んだのです。カナデ様、アルファム様には、とても感謝しております」
「間違えてないよっ。大切な家族なんだから、どんな時でも一番に選ばなきゃ!…城を出てどこに行くの?」
「私は本当に幸せ者です。妹が預けられている貴族の屋敷で、私も働かせてもらえるようにして頂けたのです。何から何まで…ありがとうございます。私…カナデ様に何かありましたら、必ず駆けつけて命をかけてお守りします。あなた様を殺そうとした私が言うのも滑稽ですが…」
「とんでもないっ。ありがとう…。でもその気持ちだけで充分。これからは、その貴族の方と妹の為に頑張ってね。俺、何も知らないこの世界に来て、アルが傍にいてくれたけど不安な時があったんだ。だから、あなたが優しくしてくれたこと、嬉しかった。今までありがとう。元気でね」
俺が笑ってそう言うと、彼女の顔が歪んで大粒の涙を零した。
そして、深く頭を下げると、離れた所で待っていた二人の兵に挟まれて、裏門がある方へと去って行った。
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