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日の国ディエス 5
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サッシャと並んで城を出るとすぐに、俺は後ろをチラリと見て溜息を吐いた。
俺とサッシャのすぐ後ろをリオとミケが、その2、3メートル後ろを15、6人の護衛がついて来る。
皆んな、街にいる人達のような格好をしているけど、一般人よりも確実に鍛え抜かれたガタイのいい団体がゾロゾロと歩く姿は、とても目立つ。
俺は、隣を歩くサッシャのシャツの袖を摘んで引っ張った。
「ん?どうしたの、カナデ?」
「なぁ、サッシャは目立ちたくないって言ってたけど、俺達めっちゃ目立ってない?」
サッシャは、俺の言葉を聞いて首を傾げ、後ろを振り返った。
「あ~…」と呟いて顔を戻すと、苦笑いを浮かべる。
「ちょっと多すぎたか?確かに目立つよな…。ちょっと待ってて」
サッシャはそう言うと、後ろのミケに何か指示を出した。
ミケは頷き、護衛の人達の元へ行く。
すぐに護衛の半数以上が、バラバラと街の中へ消えて行った。
「城に戻ってもらうの?」
「いや、街の中の所々で見張っていてもらう。ディエス国の民は、穏やかで犯罪率も低い。それに他国の者が入国する時も、かなり厳しく調べている。だけど稀に、険しい山を抜けて密入国してくる輩もいる。そういう奴が街の人に紛れているかもしれない。だから怪しい奴がいても俺達に近づけないように、今から俺達が回る場所へ先に行ってもらった」
「なんか…サッシャって本当に王子様なんだね…。上に立つ者のオーラが出てる」
「お、おーら?なにそれ?」
「う~ん…。威厳?て言うのかな…。他の人とは違うってことだよ」
「え、そう?ありがとう。俺、『おまえは頼りない』ってよく怒られるからさ、そんな風に言ってもらえて嬉しい」
俺から見たらサッシャは、充分に王様になるのに相応しいと思う。だけど、俺が知らないだけで色々と大変なんだろうなぁ…と心の中で思った。
「あっ、待って!ここ見てもいい?」
「ん?いいよ」
サッシャに声をかけて、目に入った気になる店を覗く。
その店の前にオレンジや黄色の明るい花がたくさん並んでいて、もっと見たいと思ったのだ。
水を張った大きな壺みたいな物に切って生けてある花よりも、鉢に植えられている花の方が多く並んでいる。
店をひと通り見回して、最初に目に付いたオレンジ色の花の鉢植えを手に取った。
「カナデ、それが欲しいの?」
「うん。元気が出る色だよね。とても綺麗。これ、エン国に持って帰ってもいいかなぁ」
「いいと思うよ。他にも何かいる?」
「今はこれだけでいいよ。買ってくる」
この世界では、どの国でも使える共通のお金がある。幾らかをアルファムから渡されていた俺は、店の人を呼んでお金を払い、鉢植えを受け取った。
鉢植えを両腕に抱えて歩き出したけど、俺の顔よりも大きい鉢植えはそこそこ重たくて、帰りに買えば良かったかな…と少し後悔する。
でも、この花を見て喜ぶアルファムの顔を想像したら何だか嬉しくなって、俺は顔を綻ばせて鉢植えを持ち直した。
「あの…俺が持ちましょうか?」
「…え?」
その時、いきなり後ろから声をかけられて、俺は驚きながらゆっくりと振り返った。
俺のすぐ後ろに立つ男を見て、身体が固まり思わず鉢植えから手を離してしまう。
落ちて割れると思った鉢植えを、男が素早く受け止めて、俺を見て笑った。
俺とサッシャのすぐ後ろをリオとミケが、その2、3メートル後ろを15、6人の護衛がついて来る。
皆んな、街にいる人達のような格好をしているけど、一般人よりも確実に鍛え抜かれたガタイのいい団体がゾロゾロと歩く姿は、とても目立つ。
俺は、隣を歩くサッシャのシャツの袖を摘んで引っ張った。
「ん?どうしたの、カナデ?」
「なぁ、サッシャは目立ちたくないって言ってたけど、俺達めっちゃ目立ってない?」
サッシャは、俺の言葉を聞いて首を傾げ、後ろを振り返った。
「あ~…」と呟いて顔を戻すと、苦笑いを浮かべる。
「ちょっと多すぎたか?確かに目立つよな…。ちょっと待ってて」
サッシャはそう言うと、後ろのミケに何か指示を出した。
ミケは頷き、護衛の人達の元へ行く。
すぐに護衛の半数以上が、バラバラと街の中へ消えて行った。
「城に戻ってもらうの?」
「いや、街の中の所々で見張っていてもらう。ディエス国の民は、穏やかで犯罪率も低い。それに他国の者が入国する時も、かなり厳しく調べている。だけど稀に、険しい山を抜けて密入国してくる輩もいる。そういう奴が街の人に紛れているかもしれない。だから怪しい奴がいても俺達に近づけないように、今から俺達が回る場所へ先に行ってもらった」
「なんか…サッシャって本当に王子様なんだね…。上に立つ者のオーラが出てる」
「お、おーら?なにそれ?」
「う~ん…。威厳?て言うのかな…。他の人とは違うってことだよ」
「え、そう?ありがとう。俺、『おまえは頼りない』ってよく怒られるからさ、そんな風に言ってもらえて嬉しい」
俺から見たらサッシャは、充分に王様になるのに相応しいと思う。だけど、俺が知らないだけで色々と大変なんだろうなぁ…と心の中で思った。
「あっ、待って!ここ見てもいい?」
「ん?いいよ」
サッシャに声をかけて、目に入った気になる店を覗く。
その店の前にオレンジや黄色の明るい花がたくさん並んでいて、もっと見たいと思ったのだ。
水を張った大きな壺みたいな物に切って生けてある花よりも、鉢に植えられている花の方が多く並んでいる。
店をひと通り見回して、最初に目に付いたオレンジ色の花の鉢植えを手に取った。
「カナデ、それが欲しいの?」
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「今はこれだけでいいよ。買ってくる」
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鉢植えを両腕に抱えて歩き出したけど、俺の顔よりも大きい鉢植えはそこそこ重たくて、帰りに買えば良かったかな…と少し後悔する。
でも、この花を見て喜ぶアルファムの顔を想像したら何だか嬉しくなって、俺は顔を綻ばせて鉢植えを持ち直した。
「あの…俺が持ちましょうか?」
「…え?」
その時、いきなり後ろから声をかけられて、俺は驚きながらゆっくりと振り返った。
俺のすぐ後ろに立つ男を見て、身体が固まり思わず鉢植えから手を離してしまう。
落ちて割れると思った鉢植えを、男が素早く受け止めて、俺を見て笑った。
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