炎の国の王の花

明樹

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王の花 4

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あ…あいつに突進されて崖から飛んだ時に、俺が叫んだ言葉だ。ちゃんと、アルファムに聞こえてたんだ。


俺は、身体の向きを変えて、正面からアルファムに抱き着く。
顔を上げてアルファムを見ると、「それで?」と続きを促した。


「それで、崖の下を覗いて見ると、おまえが海へと落ちていくではないか。しかも、おまえが消える原因となった男と一緒に。俺は、咄嗟に炎を出しておまえの手を掴んだ。おまえも、しっかりと握り返してくれた。だが、男がおまえの身体に抱き着いている。炎で攻撃しようにも、密着してるからおまえを傷つけかねない。躊躇していたら、サッシャ王子が魔法で男の目を潰して、レオナルト王が水流で引き剥がしてくれた。男は、海に落ちて渦に飲まれて消えたが、もしかして死んではいないかもしれんな。おまえと男が川に落ちた時も、リオが『二人共渦の中に消えた』と言ったが、生きていた。俺は、おまえが消えてしまって、絶望して生きた心地がしなかった。おまえが消えても、俺は世界の王になりはしなかった。だからカナは必ず生きていると信じていた。…冷や冷やとする戻り方だったが、おまえが俺の腕の中に戻って来てくれて、これ以上の喜びはないぞ…」
「アル、俺ね、怪我したショックか何かで記憶をなくしてた。でもね、夢の中で、アルが必死に俺を捜してくれてる姿を見たよ。それに、必死で俺を呼んでくれてた。俺の胸の中には、記憶が無くても、アルが愛してくれて幸せだった気持ちが、アルを愛する温かい気持ちがあって、いつもポカポカしてた…。あっ、ねえっ、俺、向こうの世界でも魔法を使えたんだよっ?まあ、物を落とすだけの小さい魔法だけどさ、すごくない?そのおかげで、アルのことを思い出せたんだ」
「そうか…。カナは、大変だったのだな…」


俺の頬をするりと撫でて、アルファムが優しく笑う。


「わかったから二人共、続きは部屋に戻ってからにしようか?城の中で、リオや俺の従者のミケもカナデを心配して待ってるからね!早く知らせてあげなきゃ!」
「ああ。ナジャも待っているぞ」


サッシャが、手をパチンと叩いて城を指差す。
レオナルトも頷くと、ゆっくり城へと歩き出した。
俺が、「え?皆来てるの?」と驚いていると、アルファムが、俺を抱き上げて歩き出した。


「そうだ。皆、おまえを心配して待っていたのだ。だから、おまえの元気な顔を見せてやってくれ。…ああ、でも、無闇に笑顔は振り撒くなよ?おまえの特別に可愛い顔は、誰にも見せたくない」
「え…、か、可愛くないから…っ」


俺を見上げて、アルファムが少し拗ねたふうに言う。
なんだか、俺が消える前よりもアルファムの独占欲が強くなった気がして、俺は恥ずかしいやら嬉しいやらで、アルファムの肩に顔を伏せた。


前を歩くサッシャが、「ねぇ、レオナルト王、後ろがすっごく暑いんですけど…」とブツブツ呟いていた。
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