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王の花 17
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リオが、やれやれというように息を吐いて俺の前に立つ。持っていた櫛で俺の髪の毛を整えると、急に真面目な顔になって、深く頭を下げた。
俺は驚いて、前に伸ばした手を忙しなく上げたり下げたりする。
「えっ?リオ!ど、どうしたのっ?」
シアンもリオの隣に並ぶと、同じように頭を下げた。
「シアンまでっ。やめろよっ!」
「カナデ…様、本日は、本当におめでとうございます。俺は、早くこの日が来ないかと、とても心待ちにしていました。カナデ様、この世界に、この国に来てくれてありがとう。アルファム様と末永く幸せにいられるよう、祈っています…」
「…リオ…っ」
「カナデ様、俺からもお祝いを申し上げます。俺達炎の国エンの国民は、あなた様を心より歓迎致します。どうか、アルファム様と末永くお幸せに…」
「シアン…」
ゆっくりと頭を上げた二人が、笑顔で俺を見ている。
数日前から、城内で会う人会う人に、ポツポツとお祝いを言われてはいたけど、改めてこんな風に言われると感動してしまう。
俺ってこんなに泣き虫だったかなぁ…、もっと我慢強かった筈なんだけどなぁ…と思いながら、涙をポロポロと流した。
「あ…ありがとう…。俺、アルと幸せになるっ。それに、炎の国の人達も幸せに暮らせるように、アルと頑張るから…っ。これからもよろしくお願いします…」
今度は俺が、二人に向かって深く頭を下げた。
その直後、力強く抱きしめられる。頭の上で鼻をすする音がして、リオが涙声を出した。
「俺は、カナデとアルファム様の幸せな姿を見てるだけで、幸せな気持ちになるっ!だから絶対に幸せになれよなっ!もしもアルファム様がカナデをいじめたら、すぐ俺に言えよ?文句言ってやるからなっ!」
「ほんと?ふふ…ありがとう、リオ。じゃあ、アルに意地悪されたら助けてもらう」
「任せておけっ」
「リオ」
リオが、俺の髪の毛をくしゃりと撫でた直後、シアンが静かにリオを呼んだ。
「なんですか?」
「カナデ様から離れろ。せっかく綺麗に整えた髪の毛も服もくしゃくしゃだ」
「え?…あ!ごっ、ごめん…カナデ…」
一瞬にして青ざめたリオが、慌てて俺から離れる。
すぐにシアンが寄ってきて、服を整え、リオが持っていた櫛で髪の毛を梳く。そして、自身のポケットからハンカチを出して、俺の顔を丁寧に拭いた。
「…ありがとう」
「いいえ。少し目が赤くなってしまいましたね。泣くのは、アルファム様の隣でお願い致します。俺達はこれで失礼しますので、隣の部屋で待っておられるアルファム様とお会いして下さい。では後ほど…」
「カナデっ、後でね!」
シアンが一礼をして、リオが手を振って部屋を出て行った。
俺は、隣の部屋に続く扉の前に立って、深呼吸をする。
扉を軽く叩くと、「アル」と声をかけた。
俺は驚いて、前に伸ばした手を忙しなく上げたり下げたりする。
「えっ?リオ!ど、どうしたのっ?」
シアンもリオの隣に並ぶと、同じように頭を下げた。
「シアンまでっ。やめろよっ!」
「カナデ…様、本日は、本当におめでとうございます。俺は、早くこの日が来ないかと、とても心待ちにしていました。カナデ様、この世界に、この国に来てくれてありがとう。アルファム様と末永く幸せにいられるよう、祈っています…」
「…リオ…っ」
「カナデ様、俺からもお祝いを申し上げます。俺達炎の国エンの国民は、あなた様を心より歓迎致します。どうか、アルファム様と末永くお幸せに…」
「シアン…」
ゆっくりと頭を上げた二人が、笑顔で俺を見ている。
数日前から、城内で会う人会う人に、ポツポツとお祝いを言われてはいたけど、改めてこんな風に言われると感動してしまう。
俺ってこんなに泣き虫だったかなぁ…、もっと我慢強かった筈なんだけどなぁ…と思いながら、涙をポロポロと流した。
「あ…ありがとう…。俺、アルと幸せになるっ。それに、炎の国の人達も幸せに暮らせるように、アルと頑張るから…っ。これからもよろしくお願いします…」
今度は俺が、二人に向かって深く頭を下げた。
その直後、力強く抱きしめられる。頭の上で鼻をすする音がして、リオが涙声を出した。
「俺は、カナデとアルファム様の幸せな姿を見てるだけで、幸せな気持ちになるっ!だから絶対に幸せになれよなっ!もしもアルファム様がカナデをいじめたら、すぐ俺に言えよ?文句言ってやるからなっ!」
「ほんと?ふふ…ありがとう、リオ。じゃあ、アルに意地悪されたら助けてもらう」
「任せておけっ」
「リオ」
リオが、俺の髪の毛をくしゃりと撫でた直後、シアンが静かにリオを呼んだ。
「なんですか?」
「カナデ様から離れろ。せっかく綺麗に整えた髪の毛も服もくしゃくしゃだ」
「え?…あ!ごっ、ごめん…カナデ…」
一瞬にして青ざめたリオが、慌てて俺から離れる。
すぐにシアンが寄ってきて、服を整え、リオが持っていた櫛で髪の毛を梳く。そして、自身のポケットからハンカチを出して、俺の顔を丁寧に拭いた。
「…ありがとう」
「いいえ。少し目が赤くなってしまいましたね。泣くのは、アルファム様の隣でお願い致します。俺達はこれで失礼しますので、隣の部屋で待っておられるアルファム様とお会いして下さい。では後ほど…」
「カナデっ、後でね!」
シアンが一礼をして、リオが手を振って部屋を出て行った。
俺は、隣の部屋に続く扉の前に立って、深呼吸をする。
扉を軽く叩くと、「アル」と声をかけた。
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