炎の国の王の花

明樹

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番外編 芽吹き 23

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男の子が助け出されたのを見て、俺は安堵の息を吐いた。
その瞬間、ぐらりと視界が揺れる。

「カナデ!」
「大丈夫…、なんか安心したら力が抜け……っ!」
「どうした?」
「…あう…っ」

身体を支えてくれたリオに笑いかけようとした瞬間、俺の顔が歪む。
唐突にお腹が痛くなった。キリキリと刺すように痛くなり、急速に手足の先が冷たくなる。

「痛いっ…!お腹が痛いっ…」
「えっ!?ちょっ…!少し我慢出来るか?おいっ、おまえ!急いでアルファム様の部屋に医師を連れて来てくれ!カナデが大変だと言えばわかる!」
「はいっ、わかりました!」

リオが慌てて誰かに指示をして、俺を抱き抱える。
俺に振動が伝わらないように早歩きで移動する。

「…痛い…アル…アルっ…」
「カナデ!しっかりしろ!大丈夫だ、カナデは強いだろっ」
「はあっ…はあっ…」

何とか落ち着こうと、目を閉じて大きく息を吸う。
息を吸って長く吐くを繰り返しているうちに、少し痛みが和らいだ気がする。
部屋に着くと、リオが慌ただしく俺をベッドに寝かせた。
その様子を見たらしくアルファムが飛んできて、リオに詰め寄った。

「カナっ!!これはどういうことだっ、リオっ!」
「アルファム様っ、説明は後でします。今はとにかくカナデの治療を…っ」
「失礼します!」

取り乱すアルファムとリオの声を遮るように、医師の声が聞こえた。
医師は、俺の脈を測り、お腹を押さえていた俺の手を退けて触診をする。

「カナは大丈夫なのか!?」
「しばらくお待ちを…」
「はあっ…はあっ…」

深呼吸を繰り返す俺のシャツがめくられ、お腹に冷たい物が触れる。
これはたぶん、今までの診察の時に見た聴診器みたいなヤツだ。
医師は、丁寧にお腹に当てながら「ふむ…」と考え込んでいる。

「なんだ?」
「とりあえずは、お腹の子は大丈夫です。ただ、少しでも動くと流れてしまう恐れがある。絶対に安静にしてて下さい。念の為、流れにくくする薬を用意しましょう。しかし、なぜこのような状態になったのですか?」

大丈夫だと聞いて、俺は心底安堵した。
もしお腹の子に何かあったとしたら、俺は一生後悔する。
ふう…と息を吐いて、先程のことを思い浮かべる。
思い当たることがあるとしたら、たぶん井戸に落ちかけたあの時……。

「カナデは井戸に突き落とされたんです!落ちる直前に助けたから大丈夫だと思っていたのですが…。もしかすると、突き飛ばされた時に、井戸の縁に腹を打ったのかもしれません」
「なにっ!?突き落とされただと!?誰にっ!」
「犯人は捕まえています。確か最近入った使用人の女です」
「よし!即刻処刑する!」
「…え?まっ、待って…」

俺は閉じていた目を開けて、アルファムのシャツを震える手で掴んだ。
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