225 / 432
番外編 芽吹き 23
しおりを挟む
男の子が助け出されたのを見て、俺は安堵の息を吐いた。
その瞬間、ぐらりと視界が揺れる。
「カナデ!」
「大丈夫…、なんか安心したら力が抜け……っ!」
「どうした?」
「…あう…っ」
身体を支えてくれたリオに笑いかけようとした瞬間、俺の顔が歪む。
唐突にお腹が痛くなった。キリキリと刺すように痛くなり、急速に手足の先が冷たくなる。
「痛いっ…!お腹が痛いっ…」
「えっ!?ちょっ…!少し我慢出来るか?おいっ、おまえ!急いでアルファム様の部屋に医師を連れて来てくれ!カナデが大変だと言えばわかる!」
「はいっ、わかりました!」
リオが慌てて誰かに指示をして、俺を抱き抱える。
俺に振動が伝わらないように早歩きで移動する。
「…痛い…アル…アルっ…」
「カナデ!しっかりしろ!大丈夫だ、カナデは強いだろっ」
「はあっ…はあっ…」
何とか落ち着こうと、目を閉じて大きく息を吸う。
息を吸って長く吐くを繰り返しているうちに、少し痛みが和らいだ気がする。
部屋に着くと、リオが慌ただしく俺をベッドに寝かせた。
その様子を見たらしくアルファムが飛んできて、リオに詰め寄った。
「カナっ!!これはどういうことだっ、リオっ!」
「アルファム様っ、説明は後でします。今はとにかくカナデの治療を…っ」
「失礼します!」
取り乱すアルファムとリオの声を遮るように、医師の声が聞こえた。
医師は、俺の脈を測り、お腹を押さえていた俺の手を退けて触診をする。
「カナは大丈夫なのか!?」
「しばらくお待ちを…」
「はあっ…はあっ…」
深呼吸を繰り返す俺のシャツがめくられ、お腹に冷たい物が触れる。
これはたぶん、今までの診察の時に見た聴診器みたいなヤツだ。
医師は、丁寧にお腹に当てながら「ふむ…」と考え込んでいる。
「なんだ?」
「とりあえずは、お腹の子は大丈夫です。ただ、少しでも動くと流れてしまう恐れがある。絶対に安静にしてて下さい。念の為、流れにくくする薬を用意しましょう。しかし、なぜこのような状態になったのですか?」
大丈夫だと聞いて、俺は心底安堵した。
もしお腹の子に何かあったとしたら、俺は一生後悔する。
ふう…と息を吐いて、先程のことを思い浮かべる。
思い当たることがあるとしたら、たぶん井戸に落ちかけたあの時……。
「カナデは井戸に突き落とされたんです!落ちる直前に助けたから大丈夫だと思っていたのですが…。もしかすると、突き飛ばされた時に、井戸の縁に腹を打ったのかもしれません」
「なにっ!?突き落とされただと!?誰にっ!」
「犯人は捕まえています。確か最近入った使用人の女です」
「よし!即刻処刑する!」
「…え?まっ、待って…」
俺は閉じていた目を開けて、アルファムのシャツを震える手で掴んだ。
その瞬間、ぐらりと視界が揺れる。
「カナデ!」
「大丈夫…、なんか安心したら力が抜け……っ!」
「どうした?」
「…あう…っ」
身体を支えてくれたリオに笑いかけようとした瞬間、俺の顔が歪む。
唐突にお腹が痛くなった。キリキリと刺すように痛くなり、急速に手足の先が冷たくなる。
「痛いっ…!お腹が痛いっ…」
「えっ!?ちょっ…!少し我慢出来るか?おいっ、おまえ!急いでアルファム様の部屋に医師を連れて来てくれ!カナデが大変だと言えばわかる!」
「はいっ、わかりました!」
リオが慌てて誰かに指示をして、俺を抱き抱える。
俺に振動が伝わらないように早歩きで移動する。
「…痛い…アル…アルっ…」
「カナデ!しっかりしろ!大丈夫だ、カナデは強いだろっ」
「はあっ…はあっ…」
何とか落ち着こうと、目を閉じて大きく息を吸う。
息を吸って長く吐くを繰り返しているうちに、少し痛みが和らいだ気がする。
部屋に着くと、リオが慌ただしく俺をベッドに寝かせた。
その様子を見たらしくアルファムが飛んできて、リオに詰め寄った。
「カナっ!!これはどういうことだっ、リオっ!」
「アルファム様っ、説明は後でします。今はとにかくカナデの治療を…っ」
「失礼します!」
取り乱すアルファムとリオの声を遮るように、医師の声が聞こえた。
医師は、俺の脈を測り、お腹を押さえていた俺の手を退けて触診をする。
「カナは大丈夫なのか!?」
「しばらくお待ちを…」
「はあっ…はあっ…」
深呼吸を繰り返す俺のシャツがめくられ、お腹に冷たい物が触れる。
これはたぶん、今までの診察の時に見た聴診器みたいなヤツだ。
医師は、丁寧にお腹に当てながら「ふむ…」と考え込んでいる。
「なんだ?」
「とりあえずは、お腹の子は大丈夫です。ただ、少しでも動くと流れてしまう恐れがある。絶対に安静にしてて下さい。念の為、流れにくくする薬を用意しましょう。しかし、なぜこのような状態になったのですか?」
大丈夫だと聞いて、俺は心底安堵した。
もしお腹の子に何かあったとしたら、俺は一生後悔する。
ふう…と息を吐いて、先程のことを思い浮かべる。
思い当たることがあるとしたら、たぶん井戸に落ちかけたあの時……。
「カナデは井戸に突き落とされたんです!落ちる直前に助けたから大丈夫だと思っていたのですが…。もしかすると、突き飛ばされた時に、井戸の縁に腹を打ったのかもしれません」
「なにっ!?突き落とされただと!?誰にっ!」
「犯人は捕まえています。確か最近入った使用人の女です」
「よし!即刻処刑する!」
「…え?まっ、待って…」
俺は閉じていた目を開けて、アルファムのシャツを震える手で掴んだ。
0
あなたにおすすめの小説
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます!
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる