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番外編 芽吹き 57
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何とか目覚めようともがいたけど、やっぱり身体が動かない。
目覚めたい思いとは裏腹に、俺の意識が暗闇に落ちていく。
次に気づいた時には、俺は何も無い真っ白な空間に立っていた。
あれ?前にもこんな夢を見たな。あ…、ベアトリクスに呪詛の魔法をかけられた時だ。
もしかして、また誰かにかけられてたりする?
えー?俺ってそんなに色んな人から恨まれてるのかな…。
普通に好きな人と出会って、普通に結婚して暮らしてるだけなんだけどな…。
まあ、相手が王様だから普通じゃないけど。
でもさ、俺、赤ちゃん産んだんだよ。元の世界じゃ、絶対に出来ないことなんだよ。だから、どうしても目を覚まして、ちびアルに会いたいんだよ。
どうすれば目を覚ませるかな。
その時、真っ白な空間に、まるで映画のような画面が現れて、アルファムと出会ってからの出来事が流れ始めた。
え?なに?なんでこんな映像が流れてるの?
もしや…走馬灯じゃ…。いっ、嫌だっ!見たくないっ!俺はまだ死なないんだから!
目を硬く閉じるけど、結局気になって開けてしまう。
映像は、ものすごい速さで流れていく。
あ…、月の国にアルが助けに来てくれた所…。アル、かっこいいな…。
俺が毒を飲んで倒れた時だ…。アルの顔、青じゃなくて真っ白になってる…。すごく心配してくれたんだな。
俺が元の世界に戻ってしまった時のアルだ…。あんなに必死になって俺を捜してる…。無茶し過ぎだよ。
あっ、結婚式だ!すごく感動したなあ。
結局は映像に見入って懐かしく思い返してしまった。
いやいや、こんな呑気に見てる場合じゃないっ。
ほら、今アルと子作りしてる!
もうすぐ映像が終わっちゃうじゃん!
終わるとどうなるの?死んじゃうの?
それは絶対に嫌なんだけど!
「あ…アルっ!アルーっ!!俺を起こしてっ!お願いっ!殴っても蹴ってもいいからっ、俺をここから出してっ!!」
「承知した」
「…え?」
今、アルの声がした。
俺の言葉に、確かにアルが返事をした。
「えっ?どこっ?アルっ、どこっ!」
「カナ、手を伸ばせ」
「アルっ!わかった!」
アルの姿が見えないけど、俺は言われた通りに思いっきり両手を伸ばした。
その手を、よく知ってる大きな手がしっかりと掴む。
「よし。絶対に離すなよ!」
「うん!!」
大きな手に引っ張られて、俺の身体が宙に浮く。
そのまま空間の中を泳ぐように進みながら、まだ流れている映像を振り返った。
ちょうどそこは、俺のお腹から赤ちゃんが出てきた所で。
「あっ、あの髪色は…っ」
赤ちゃんの顔を見る前に、俺の視界が白い靄に包まれてしまった。
目覚めたい思いとは裏腹に、俺の意識が暗闇に落ちていく。
次に気づいた時には、俺は何も無い真っ白な空間に立っていた。
あれ?前にもこんな夢を見たな。あ…、ベアトリクスに呪詛の魔法をかけられた時だ。
もしかして、また誰かにかけられてたりする?
えー?俺ってそんなに色んな人から恨まれてるのかな…。
普通に好きな人と出会って、普通に結婚して暮らしてるだけなんだけどな…。
まあ、相手が王様だから普通じゃないけど。
でもさ、俺、赤ちゃん産んだんだよ。元の世界じゃ、絶対に出来ないことなんだよ。だから、どうしても目を覚まして、ちびアルに会いたいんだよ。
どうすれば目を覚ませるかな。
その時、真っ白な空間に、まるで映画のような画面が現れて、アルファムと出会ってからの出来事が流れ始めた。
え?なに?なんでこんな映像が流れてるの?
もしや…走馬灯じゃ…。いっ、嫌だっ!見たくないっ!俺はまだ死なないんだから!
目を硬く閉じるけど、結局気になって開けてしまう。
映像は、ものすごい速さで流れていく。
あ…、月の国にアルが助けに来てくれた所…。アル、かっこいいな…。
俺が毒を飲んで倒れた時だ…。アルの顔、青じゃなくて真っ白になってる…。すごく心配してくれたんだな。
俺が元の世界に戻ってしまった時のアルだ…。あんなに必死になって俺を捜してる…。無茶し過ぎだよ。
あっ、結婚式だ!すごく感動したなあ。
結局は映像に見入って懐かしく思い返してしまった。
いやいや、こんな呑気に見てる場合じゃないっ。
ほら、今アルと子作りしてる!
もうすぐ映像が終わっちゃうじゃん!
終わるとどうなるの?死んじゃうの?
それは絶対に嫌なんだけど!
「あ…アルっ!アルーっ!!俺を起こしてっ!お願いっ!殴っても蹴ってもいいからっ、俺をここから出してっ!!」
「承知した」
「…え?」
今、アルの声がした。
俺の言葉に、確かにアルが返事をした。
「えっ?どこっ?アルっ、どこっ!」
「カナ、手を伸ばせ」
「アルっ!わかった!」
アルの姿が見えないけど、俺は言われた通りに思いっきり両手を伸ばした。
その手を、よく知ってる大きな手がしっかりと掴む。
「よし。絶対に離すなよ!」
「うん!!」
大きな手に引っ張られて、俺の身体が宙に浮く。
そのまま空間の中を泳ぐように進みながら、まだ流れている映像を振り返った。
ちょうどそこは、俺のお腹から赤ちゃんが出てきた所で。
「あっ、あの髪色は…っ」
赤ちゃんの顔を見る前に、俺の視界が白い靄に包まれてしまった。
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