炎の国の王の花

明樹

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奏の想い  5

「今日は気分が良いのか?とても顔色がいい」

アルファムが、部屋に入って来るなり興奮気味に言う。
ここ二三日臥せっていたから、起き上がって窓辺の椅子に座っている俺を見て、驚いたようだ。
すぐに傍に来て、「大丈夫なのか?」とアルファムが俺の肩を抱く。

「うん。昨日まで起き上がれなかったのが嘘みたいに元気だよ。ねえアル、ずっと寝てて汗かいたから、お風呂に入りたい。一緒に入ろ?」
「いいぞ。他には何がしたい?」
「お風呂を出たら、いつもの中庭に行きたい。中庭で花を眺めながら、美味しいもの食べたい」
「うむ、いいぞ。たくさん食べろ。おまえの好きな物を用意させる」
「でね、その後はヴァイスに乗って国を見たい」
「ヴァイスにか?空からか?」
「うん…だめ?」
「駄目ではないが、疲れないか?明日にしては…」
「嫌だっ、今日がいい!だって今日は元気だから!明日また寝込んでしまったら、出来ないじゃん…っ」
「カナ…」

アルファムのシャツを掴んで、俺は必死になって頼む。
動けるうちに、やりたいことをやっておきたい。だって俺は。

「…わかった」と困ったように笑って、アルファムが俺の頬を撫でた。

「カナのしたいことをしよう。だから泣くんじゃない。泣き虫め」
「え…?」

瞬きをした拍子に、涙がぽろりと零れ落ちた。気づいてなかったけど、俺はまた泣いていたんだな。
アルファムが、俺の目の下を親指でそっとなぞり、唇にキスをする。そして俺を軽々と抱き上げると、風呂場へと続く扉に向かって歩き出した。



俺の身体でアルファムに見られていない所なんて一つもないのだけど、未だにアルファムに裸を見られると恥ずかしい。
アルファムに服を脱がせてもらい、同じく裸になったアルファムに抱き抱えられて風呂場に入った。
アルファムが、タイルの床にそっと俺を降ろすと、頭から爪先までじっくりと見てくる。
俺は、恥ずかしくて背中を向けようとしたけど、何年経ってもかっこいいアルファムの身体に、目が釘付けになった。

「カナ、おまえは綺麗だな」
「えっ、いやいやっ、もうヤバいからっ。アルはいつ見てもかっこいいけど!」
「おまえに飽きられたくはないからな。頑張っている」
「そうなの?…俺も頑張ろうかな」
「頑張るって何をだ?おまえはそのままでいい」

アルファムが手を伸ばして、俺を抱き寄せる。
アルファムの硬い身体に素肌が触れて、身体が熱くなる。
俺もアルファムの腰に手を回すと、ぎゅっと強くしがみついた。

「アルみたいに筋肉が欲しかったな」
「いらぬ。おまえの肌は、いつも滑らかで触れると気持ちがいい」
「そうかな?垂れてない?」
「全く。変わらず綺麗だ。だが、もう少し太って欲しい。少し力を入れると、折れてしまいそうで困る」
「ふふっ、そんな簡単には折れないよ。だからもっとぎゅっとしてよ」
「…こうか」

俺の背中に回されたアルファムの腕に、力がこもる。
その瞬間、ふわりとアルファムの匂いに包まれて、俺はうっとりと硬い胸に頬をつけた。
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