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「父さま…」
「カエンどうした?何があったのだ?」
俺のただならぬ様子に執務机に向かって書類に目を通していた父さまが慌てて駆け寄ってきた。父さまの手が肩に触れた瞬間、力が抜けて俺はその場に膝をついた。
あの後、森の端から端までを飛翔してハオランを捜したが見つけられなかった。一旦海辺の城に戻りオルタナに餌と水を与えると、リオに中央の城に戻ると告げて休まずに翔んできた。そしてかなり疲れた様子のオルタナの世話を門番に頼み、まっすぐにこの部屋へと走ってきたのだ。
俺は両手を床について、声を絞り出した。
「ハオランが…いなくなった」
「いなくなった?海辺の城からか?」
「違う…。霧に包まれて消えた…」
「どういうことだ?」
父さまが俺を立たせて椅子に座らせた。父さまも隣に座ると、俯く俺の手を握って目を合わせる。
俺と同じ緑色の目を見て、子供のように泣きじゃくりたい衝動に駆られた。それを何とか腹に力を入れて我慢した。
俺は父さまに全てを話した。あの死神のような男が死ぬ直前に俺に力を移したこと。男の強い想いも移され頭痛に苦しんでいたこと。その力を何とか自分で取り出せたこと。しかし一緒にいたハオランを殺してしまったかもしれないことを。
全てを話し終えて、俺はまた俯いた。握られた手が小さく震える。
父さまは俺を抱き寄せると、背中を数回軽く叩いた。
「馬鹿だな。最初から全て俺に話してくれればいいものを。まあ過ぎたことは仕方がない。カエン、おまえはハオランを殺してはいない。ハオランは、おまえが力を放出したタイミングで消えたのだろう?たぶん元いた世界に戻ったのだ」
「ほんと…?」
「確証はないがな。カナがこちらの世界に来た時も元の世界に戻った時も、あの死神のような男が関わっていた。もう男はいないが、おまえの中の男の力が何らかの作用をしたのだろうと俺は思っている」
俺は顔を上げて父さまを見た。俺がハオランを手にかけたのじゃないなら良かった。だけど安心はできない。ハオランは霧の中に引きずり込まれたんだ。ハオランを狙う奴が使うという霧に。
「でもっ、ハオランは元の世界で命を狙われていた!向こうに戻ったとしても今頃…っ」
「カエン、ハオランを信じていないのか?あの子は一つの街を燃やすくらいの力を持っているのだろう?きっと大丈夫だ。生き延びているよ」
「そう…だといいけど…」
父さまは俺の頭を撫でると、安心させるように微笑んだ。
「カエンはあの子が好きなんだな。あの子は?カエンのことを好いてくれているのか?」
「わからない…。俺の傍を離れないとは言ってくれたけど」
「そうか。なら、いつになるかわからないが、あの子は戻って来るだろう。まだしばらく俺はここにいる。おまえは充分に身体を休めてから、あの子と出会った場所で待っていてやれ」
「どうして?」
「戻って来るなら最初にこの世界に現れた場所のはずだ。ん?おまえと出会う前にあの子は街に火をつけたのだったか。ではどこに…。カナは海辺の城で待っていれば良かったのだが…」
「たぶん…ハオランが最初に現れたのは俺と出会った森だったと思う。ありがとう父さま。ゆっくり休んでからハオランを迎えに行く。それまで中央の城をよろしくお願いします」
「任せろ。可愛い息子のためだからな」
俺は笑って力強く頷く。そして部屋の外で心配して待っていたシアンにも謝って、久しぶりの自分の部屋に戻った。
「カエンどうした?何があったのだ?」
俺のただならぬ様子に執務机に向かって書類に目を通していた父さまが慌てて駆け寄ってきた。父さまの手が肩に触れた瞬間、力が抜けて俺はその場に膝をついた。
あの後、森の端から端までを飛翔してハオランを捜したが見つけられなかった。一旦海辺の城に戻りオルタナに餌と水を与えると、リオに中央の城に戻ると告げて休まずに翔んできた。そしてかなり疲れた様子のオルタナの世話を門番に頼み、まっすぐにこの部屋へと走ってきたのだ。
俺は両手を床について、声を絞り出した。
「ハオランが…いなくなった」
「いなくなった?海辺の城からか?」
「違う…。霧に包まれて消えた…」
「どういうことだ?」
父さまが俺を立たせて椅子に座らせた。父さまも隣に座ると、俯く俺の手を握って目を合わせる。
俺と同じ緑色の目を見て、子供のように泣きじゃくりたい衝動に駆られた。それを何とか腹に力を入れて我慢した。
俺は父さまに全てを話した。あの死神のような男が死ぬ直前に俺に力を移したこと。男の強い想いも移され頭痛に苦しんでいたこと。その力を何とか自分で取り出せたこと。しかし一緒にいたハオランを殺してしまったかもしれないことを。
全てを話し終えて、俺はまた俯いた。握られた手が小さく震える。
父さまは俺を抱き寄せると、背中を数回軽く叩いた。
「馬鹿だな。最初から全て俺に話してくれればいいものを。まあ過ぎたことは仕方がない。カエン、おまえはハオランを殺してはいない。ハオランは、おまえが力を放出したタイミングで消えたのだろう?たぶん元いた世界に戻ったのだ」
「ほんと…?」
「確証はないがな。カナがこちらの世界に来た時も元の世界に戻った時も、あの死神のような男が関わっていた。もう男はいないが、おまえの中の男の力が何らかの作用をしたのだろうと俺は思っている」
俺は顔を上げて父さまを見た。俺がハオランを手にかけたのじゃないなら良かった。だけど安心はできない。ハオランは霧の中に引きずり込まれたんだ。ハオランを狙う奴が使うという霧に。
「でもっ、ハオランは元の世界で命を狙われていた!向こうに戻ったとしても今頃…っ」
「カエン、ハオランを信じていないのか?あの子は一つの街を燃やすくらいの力を持っているのだろう?きっと大丈夫だ。生き延びているよ」
「そう…だといいけど…」
父さまは俺の頭を撫でると、安心させるように微笑んだ。
「カエンはあの子が好きなんだな。あの子は?カエンのことを好いてくれているのか?」
「わからない…。俺の傍を離れないとは言ってくれたけど」
「そうか。なら、いつになるかわからないが、あの子は戻って来るだろう。まだしばらく俺はここにいる。おまえは充分に身体を休めてから、あの子と出会った場所で待っていてやれ」
「どうして?」
「戻って来るなら最初にこの世界に現れた場所のはずだ。ん?おまえと出会う前にあの子は街に火をつけたのだったか。ではどこに…。カナは海辺の城で待っていれば良かったのだが…」
「たぶん…ハオランが最初に現れたのは俺と出会った森だったと思う。ありがとう父さま。ゆっくり休んでからハオランを迎えに行く。それまで中央の城をよろしくお願いします」
「任せろ。可愛い息子のためだからな」
俺は笑って力強く頷く。そして部屋の外で心配して待っていたシアンにも謝って、久しぶりの自分の部屋に戻った。
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