炎の国の王の花

明樹

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洞窟の中は人が一人歩けるくらいの広さだ。俺が先を歩きリオが後ろをついてくる。ほんの少し中に入っただけなのに、一気に冷えて寒いくらいだ。

「寒いですね…。真夏にここに来ればいいかもしれな……ひゃ!」
「なに?」
「すいませっ…、首に冷たい水が落ちてきてっ」
「リオ落ち着いて。外で待ってる?」
「嫌です」
「じゃあ静かにしてて」
「はい…」

この人、俺よりもずいぶんと歳上なんだけど…。リオのことは好きだけど、もう少し落ち着いてほしいな。
小さな洞窟だけど、かなり奥まで続いている。入口からの明かりが届かなくなるまで進んだ所で、壁の中に光るものを見つけた。
俺は手のひらの炎を近づけて凝視する。炎を映して赤っぽく見えるけど石のようだ。よく見ると、壁のあちらこちらに埋まっている。

「リオ、石だ。たくさんある」
「あ、ほんとですねぇ。どれも同じ石…なのかな?」
「どうだろ?ここからハオランの石を選ぼうと思う」
「いいんじゃないですか?」

長い間、誰にも見つからずにここにあったに違いない。大きな石がたくさんある。だけど俺は、親指大のきれいな楕円形の石を丁寧に掘り出して、上着のポケットに入れた。

「よし、採取できたし外に出よう」
「はい」

元来た道を戻り外に出る。出た瞬間、眩しくて思わず目を閉じた。
「うおっ、眩しっ」と言う声に振り返ると、リオが両手で目をおおっている。大げさだなと苦笑しながら洞窟の入口に結界を張った。

「暗い所から急に明るい場所に出ると目が痛いですね…と、何かされました?」
「入口に結界を張った。悪い人に利用されないように。本当に必要な人の手に渡るようにしたい」
「そうですね。後でこの森を所有する領主に話をしておきましょう」
「うん、頼むよ」

リオに頷き再び川に行く。そしてポケットから石を取り出してきれいに洗う。洗った石を陽ににかざして見ると、それはとても美しい緑色の石だった。

「濃く深い緑…美しいですね。カエン様の瞳と同じだ」
「うん。だからこれがいいと思った」
「ハオランも喜びますよ」
「だといいけど」
「というか、カエン様からなら何でも喜びますよ。カナデもそうでしたからね」
「へぇ。父さまの方が喜んでそうだけど」
「まあ…。アルファム様はほら…カナデの全ては俺のもの、みたいな感じでしたから」
「ああ、なんとなくわかる」
「でしょう?」

俺とリオは顔を見合せて笑った。
でも今の会話って、父さまが聞いたら俺は大丈夫だけどリオは怒られるよ?
つい心の中で思ったことを口に出して言ってしまった。すると途端にリオが、真っ青な顔になって震え出したから、俺はますます声を出して笑った。ハオランが消えてから、初めて声を出して笑った。沈んでいた気持ちが楽になって、ハオランはきっと戻ってくると前向きな気持ちが強くなった。
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