炎の国の王の花

明樹

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前回の時に捜索した場所とは別の所を捜した。しかしこれといって変わったところはない。いつも通りの穏やかな森だ。
ハオランが消えた頃は暑かったが、今は吐く息が白くなるくらいに寒い。もしもハオランが戻ってきた時に薄着だったら風邪をひいてしまう。だから戻ってくる瞬間に、戻ってくる場所にいてあげたい。
俺はゆっくりとオルタナの足を進めながら辺りに注意を払う。母さまが戻ってくる前に父さまが感じたという心が騒ぐことがないので、まだ戻ってくる時ではないとわかっている。だけどハオランの装飾品なり服なりが落ちていないかと期待しているんだ。

「今日も手掛りがないですね…。どうしますか?」
「そうだな。今日はそろそろ帰ろう。明後日にはアレン王子が来るし俺も準備をしようかな」
「そうですね。水の国と炎の国は友好国ですが、今回アレン王子は、父王の付き添いではなく初めて一人での訪問になります。きっと緊張されてますから優しくしてあげてください」
「もちろんだ。俺はいつも優しいだろう?」
「……え、今なんと?最近アルファム様に似てきて俺には厳しい気がするのですけど…」
「それはおまえの気のせいだ」
「ええ…っ」

リオが情けない顔をする。
俺は声を上げて笑うと、手綱を操りオルタナを空へと翔ばした。

「えっ、カエン様っ?」
「空から森を一通り見てから戻る。リオは先に戻ってくれ」
「大丈夫ですかぁ…」
「大丈夫だ」

リオの姿がどんどんと小さくなり、まだ何か叫んでいたけど声が聞こえなくなった。
俺は上半身を倒して「少しこの辺りを回ってから城に戻ろう」と話し、オルタナの首を撫でる。
オルタナがブルルと鼻を鳴らして、白く輝く翼を大きく羽ばたかせた。


特に何かを見つけることもなく城に戻った。いつものことだ。俺は部屋に戻ると、上着を脱いで椅子にかけ、ブーツのままベッドに寝転ぶ。寝転んだ拍子に伸びた髪が顔にかかった。俺は髪を摘んでジッと見つめる。
父さまもシアンもリオも、他の皆も美しく尊いと褒めてくれる俺の黒髪。昔は皆のような明るい髪になりたくて、嫌だと言って母さまを悲しませていた。だけど今となっては、この髪は俺の自慢だ。母さまからもらった大切な宝なんだ。そしてハオランが戻ってくるまでは切らないと決めている。

「ハオラン、早く戻ってこないと俺の髪が腰まで伸びるぞ」

そう呟いて、摘んでいた髪の毛を離した。
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