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エイルリスが目を覚ますと、部屋にアレンがいなかった。ズキズキと痛む頭を押さえながら起き上がる。体を支えた手のひらがシーツに触れ、ベッドに寝かされていることに気づいた。
「ちっ、なんであいつのベッドに寝かされてるんだ?その辺の床に転がしときゃいいのに」
掛けられていた布団をよけてベッドの端に移動する。その時に、柑橘系のいい香りがして、思わず「アレンのくせに」と文句が出た。
この匂いは、いつもアレンから微かに香ってくる匂いだ。強烈に匂いを放っているわけではなく、動いた時などに、ふわりと香ってくる。
エイルリスは最近、少し鼻炎気味で、匂いに鈍感になっていたから気づかなかったが、深く息を吸い込むと、部屋の中も香っている。
「嫌いじゃない匂いだけど、俺は少し甘い方が好きだ」
「そうなんだ」と言いながら、アレンが戻ってきた。
エイルリスは驚き、バツが悪そうに目を逸らす。
ごく小さな声だったのに、扉を隔てて聞こえたのか?地獄耳だな。
アレンは机に紙袋を置くと、エイルリスの隣に座る。
「それよりも起きて大丈夫?目が覚めてよかったけど、まだ休んでなよ」
「大丈夫だ。寝不足だっただけだ。迷惑かけて悪かったな」
「迷惑なんて思ってないよ!いきなり倒れたから、すごく心配したけど。医務室の先生を呼ぶ?」
「いい。もう治ったから」
「ほんとに?また倒れそうになったら、すぐに教えて」
「もう倒れない」
「いいから」
しつこいアレンに、エイルリスはしぶしぶ頷いた。
というか、なぜこいつは平気なんだ?俺が倒れたのは、不用心にガラスケースを開けてしまい、黒い羽根からでる毒気にあてられたからだ。人ではない俺が倒れたのに、なぜ人であるアレンが平気なんだ?ごく稀に特異体質の人間がいるらしいが、それなのか?だとしても、気分が悪くなりそうなものだけど…。
エイルリスは、棚の上に目を向ける。ガラスケースの中には、相変わらず黒い羽根がある。しかし、白い羽根は無くなっている。どこにやったのかと部屋を見回すけど、どこにも見当たらない。
捨てたのか?それならそれでいい。俺の羽根を持たれているのは、気持ち悪いからな。
そう思ったエイルリスの目の前に、アレンが白い羽根を持ち上げた。
「ルリス、これを探してる?捨ててないよ。こんな美しい羽根を捨てるわけない。これはさ、毎晩寝る前に愛でることにしたんだ」
「は?」
「だってさ、ルリスの背中についていたからか、この羽根からは、ルリスの匂いがするんだよな」
「…俺の匂いってなんだよ」
「気づいてないの?ルリスからは、ほんのりと甘い匂いがするんだよ」
「知らねぇ。おまえの鼻がおかしいんだろ」
「ええ?ひどいなぁ。俺は目も鼻も耳もいいんだよ?」
「ふーん」
「だから、どこにいてもルリスを見つけられる」
「やめろ。見つけなくていい」
「無理。意図してなくても見つけてしまうから」
「なんだよそれ、怖っ」
やっぱりアレンは変な奴だ。それに、人なのに、特別頑丈にできてるらしい。まあいい。アレンにはフォラスへの復讐に協力してもらう。俺に懐いてるのだから、俺の頼みを聞いてくれるだろうしな。
アレンがエイルリスの顔を覗き込んできた。
エイルリスが、小さく首を傾げる。
「何も食べてないからお腹空いたろ?サンドイッチ買ってきたから食べよう」
「アレンも食べてないのか?」
「うん。ルリスと一緒に食べたかったから」
「ふーん」と呟き、エイルリスは俯いた。
なんだ?俺は倒れて目がおかしくなったのか?アレンの笑顔が眩しく見える。
エイルリスは目をこすりながら、立ち上がる。
アレンが手を伸ばしたけど「大丈夫だ」と払いのけ、しっかりとした足取りで机に向かい、アレンが引いてくれた椅子に深く腰掛けた。
「ちっ、なんであいつのベッドに寝かされてるんだ?その辺の床に転がしときゃいいのに」
掛けられていた布団をよけてベッドの端に移動する。その時に、柑橘系のいい香りがして、思わず「アレンのくせに」と文句が出た。
この匂いは、いつもアレンから微かに香ってくる匂いだ。強烈に匂いを放っているわけではなく、動いた時などに、ふわりと香ってくる。
エイルリスは最近、少し鼻炎気味で、匂いに鈍感になっていたから気づかなかったが、深く息を吸い込むと、部屋の中も香っている。
「嫌いじゃない匂いだけど、俺は少し甘い方が好きだ」
「そうなんだ」と言いながら、アレンが戻ってきた。
エイルリスは驚き、バツが悪そうに目を逸らす。
ごく小さな声だったのに、扉を隔てて聞こえたのか?地獄耳だな。
アレンは机に紙袋を置くと、エイルリスの隣に座る。
「それよりも起きて大丈夫?目が覚めてよかったけど、まだ休んでなよ」
「大丈夫だ。寝不足だっただけだ。迷惑かけて悪かったな」
「迷惑なんて思ってないよ!いきなり倒れたから、すごく心配したけど。医務室の先生を呼ぶ?」
「いい。もう治ったから」
「ほんとに?また倒れそうになったら、すぐに教えて」
「もう倒れない」
「いいから」
しつこいアレンに、エイルリスはしぶしぶ頷いた。
というか、なぜこいつは平気なんだ?俺が倒れたのは、不用心にガラスケースを開けてしまい、黒い羽根からでる毒気にあてられたからだ。人ではない俺が倒れたのに、なぜ人であるアレンが平気なんだ?ごく稀に特異体質の人間がいるらしいが、それなのか?だとしても、気分が悪くなりそうなものだけど…。
エイルリスは、棚の上に目を向ける。ガラスケースの中には、相変わらず黒い羽根がある。しかし、白い羽根は無くなっている。どこにやったのかと部屋を見回すけど、どこにも見当たらない。
捨てたのか?それならそれでいい。俺の羽根を持たれているのは、気持ち悪いからな。
そう思ったエイルリスの目の前に、アレンが白い羽根を持ち上げた。
「ルリス、これを探してる?捨ててないよ。こんな美しい羽根を捨てるわけない。これはさ、毎晩寝る前に愛でることにしたんだ」
「は?」
「だってさ、ルリスの背中についていたからか、この羽根からは、ルリスの匂いがするんだよな」
「…俺の匂いってなんだよ」
「気づいてないの?ルリスからは、ほんのりと甘い匂いがするんだよ」
「知らねぇ。おまえの鼻がおかしいんだろ」
「ええ?ひどいなぁ。俺は目も鼻も耳もいいんだよ?」
「ふーん」
「だから、どこにいてもルリスを見つけられる」
「やめろ。見つけなくていい」
「無理。意図してなくても見つけてしまうから」
「なんだよそれ、怖っ」
やっぱりアレンは変な奴だ。それに、人なのに、特別頑丈にできてるらしい。まあいい。アレンにはフォラスへの復讐に協力してもらう。俺に懐いてるのだから、俺の頼みを聞いてくれるだろうしな。
アレンがエイルリスの顔を覗き込んできた。
エイルリスが、小さく首を傾げる。
「何も食べてないからお腹空いたろ?サンドイッチ買ってきたから食べよう」
「アレンも食べてないのか?」
「うん。ルリスと一緒に食べたかったから」
「ふーん」と呟き、エイルリスは俯いた。
なんだ?俺は倒れて目がおかしくなったのか?アレンの笑顔が眩しく見える。
エイルリスは目をこすりながら、立ち上がる。
アレンが手を伸ばしたけど「大丈夫だ」と払いのけ、しっかりとした足取りで机に向かい、アレンが引いてくれた椅子に深く腰掛けた。
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