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結局その日は、オリスを見つけることができなかった。
一日を無駄にした気がして、疲れて宿に戻る。
人がいる所では、穏やかな笑みを浮かべていたアンバーだが、部屋に入るなり恐ろしい顔でベッドにダイブした。
「オリスめ…俺の気配を察知して巧妙に隠れてやがる」
日頃使わない汚い言葉が、思わず出る。それほとにアンバーは苛ついていた。
でも、良いこともあった。アレンはともかくエイルリスに会えた。彼らがまだ街を出ていないことは、気配でわかっている。
明日も会いに行き、エイルリスを勧誘してみよう。跡を継いでほしいという思いは消えていない。エイルリスは天使であるべきだ。天使の俺と行動を共にするべきだ。今日会ったのは運命だ。まあ、運命なんて信じていないけど。
「しかしオリスのやつ、どうせ狙うならアレンを狙えばいいのに。顔の傷はアレンにつけられたんだから」
でも、オリスがアレンを狙わない理由を知っている。力では敵わないからだ。エイルリスに似た人物を襲う理由もわかっている。エイルリスを欲して止まないからだ。エイルリスの血をすすった時の、苦痛の表情を見たいのだ。本当に醜悪で大嫌いだ。
「野蛮な悪魔め。エイルリスに触れさせはしない。エイルリスに何かしたら、即消滅させてやる。まあ俺が手を下す前に、アレンが消しそうだけど」
そう呟くと、勢いよく起き上がり全裸になった。そして隣接する風呂場に入り、全身を隈なく洗う。ここは高級な宿だから、石鹸の質と香りがいい。
汗とホコリを洗い流し、いい香りに包まれて風呂場を出る。体を拭く必要はない。天使の力で髪と体を瞬時に乾かした。
ワンピースのような寝衣を頭から被り、歯を磨いてベッドに入る。
本当は深夜になる今からオリスを捜した方がいいとわかっている。オリスが人間を襲ったのは、ほとんどが深夜だからだ。でも夜更かしはしたくない。夜はしっかりと寝たい。
シーツを顔の下まで引っ張り目を閉じる。すぐに睡魔が襲ってきて、アンバーは深く眠った。
翌朝、窓に何かが当たる音で目覚めた。風に飛ばされた枝でも当たったのかと思ったけど、違う。明らかに誰かが小石を当てている。
アンバーはベッドを下りると、慎重に窓に近づいた。
外の気配を探る。悪魔の気配がする。知っている気配だと気づいた瞬間、勢いよくカーテンを開けた。
「どういうことだ?」
アンバーがいる部屋の目の前に、大きな木がある。その木の太い枝に、縄で全身を頑丈に縛られたオリスがぶら下がっていた。
一日を無駄にした気がして、疲れて宿に戻る。
人がいる所では、穏やかな笑みを浮かべていたアンバーだが、部屋に入るなり恐ろしい顔でベッドにダイブした。
「オリスめ…俺の気配を察知して巧妙に隠れてやがる」
日頃使わない汚い言葉が、思わず出る。それほとにアンバーは苛ついていた。
でも、良いこともあった。アレンはともかくエイルリスに会えた。彼らがまだ街を出ていないことは、気配でわかっている。
明日も会いに行き、エイルリスを勧誘してみよう。跡を継いでほしいという思いは消えていない。エイルリスは天使であるべきだ。天使の俺と行動を共にするべきだ。今日会ったのは運命だ。まあ、運命なんて信じていないけど。
「しかしオリスのやつ、どうせ狙うならアレンを狙えばいいのに。顔の傷はアレンにつけられたんだから」
でも、オリスがアレンを狙わない理由を知っている。力では敵わないからだ。エイルリスに似た人物を襲う理由もわかっている。エイルリスを欲して止まないからだ。エイルリスの血をすすった時の、苦痛の表情を見たいのだ。本当に醜悪で大嫌いだ。
「野蛮な悪魔め。エイルリスに触れさせはしない。エイルリスに何かしたら、即消滅させてやる。まあ俺が手を下す前に、アレンが消しそうだけど」
そう呟くと、勢いよく起き上がり全裸になった。そして隣接する風呂場に入り、全身を隈なく洗う。ここは高級な宿だから、石鹸の質と香りがいい。
汗とホコリを洗い流し、いい香りに包まれて風呂場を出る。体を拭く必要はない。天使の力で髪と体を瞬時に乾かした。
ワンピースのような寝衣を頭から被り、歯を磨いてベッドに入る。
本当は深夜になる今からオリスを捜した方がいいとわかっている。オリスが人間を襲ったのは、ほとんどが深夜だからだ。でも夜更かしはしたくない。夜はしっかりと寝たい。
シーツを顔の下まで引っ張り目を閉じる。すぐに睡魔が襲ってきて、アンバーは深く眠った。
翌朝、窓に何かが当たる音で目覚めた。風に飛ばされた枝でも当たったのかと思ったけど、違う。明らかに誰かが小石を当てている。
アンバーはベッドを下りると、慎重に窓に近づいた。
外の気配を探る。悪魔の気配がする。知っている気配だと気づいた瞬間、勢いよくカーテンを開けた。
「どういうことだ?」
アンバーがいる部屋の目の前に、大きな木がある。その木の太い枝に、縄で全身を頑丈に縛られたオリスがぶら下がっていた。
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