狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹

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 首をひねりながら部屋に入り荷物を置く。汲み上げられた地下水が溜まったタライで手と顔を洗い、棚にある手巾で拭く。そしてマントと上着を脱いで、壁から飛び出たかぎにかけ、ブーツを脱いでベッドに横になった。
 目を閉じて魔獣のことや、デックやアシュレイのことを考えていると、眠気が襲ってきた。眠る前に準備されている薬を飲まなきゃと、閉じそうになるまぶたを無理に開けたり閉じたりして、眠気と葛藤していた。素直に眠ればいいのだけど、アンが気になるし、ギデオンが魔獣のことを王様にどう報告するのかも気になる。でもどうしても眠気にあらがえなくて目を閉じた。そして夢を見た。
 アンが、空を飛んでいる。背中から翼を生やして。きれいだなぁと見上げているリオの前に降りてきて、背中に乗れと言う。実際に頭の中に「乗れ」と言葉が聞こえた。若い男の声だ。リオは不思議に思いながらも、好奇心が勝って、アンの背中に乗った。アンは翼を一度動かしただけで、空高く舞い上がる。そして今度は「あれを見ろ」と言う。アンの言う通りに見ると、リオと同じように、ロンの背中に乗ったデックがいた。「え?どういう…」と話してる途中で、アンがものすごい速度で滑空を始める。リオは振り落とされないようにアンの首にしがみついた所で、目が覚めた。

「なに今の…変な夢」

 汗がすごい。額にも首にもかいている。リオはベットを出ると、手巾を水で濡らして絞り、汗を拭った。そして窓辺に行き窓を開ける。冷気が入ってきて気持ちいい。ギデオンの部屋は最上階にあるから景色もいい。まだ日が落ちるには早く、明るい。天気がいいから、日が当たる場所でジッとしていれば暖かそうだ。もう熱も下がったみたいだし、外に出て庭で休みたいと思ったけど、またアトラスに怒られる。だから素直にベッドに戻ろうとした時、塔の屋根にアンがいることに気づいた。リオが初めて城に来た時に、ケリーに案内されて登った塔だ。あんな高い所にどうやって…と一つ瞬きをした後にはもう、アンの姿はなかった。

「あれ?見間違い?強魔法を使った後遺症?」

 リオは、手の甲で目をこすりながら、もう一度屋根を見る。やっぱり何もない。鳥すらも止まってない。「まだ疲れてるな…」と呟き、再びベッドに入って目を閉じた。
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