205 / 272
205
しおりを挟む
リオは手を伸ばして、二人の手を外そうとした。だけどすでに硬直した手は、離すことができない。それでも力任せに引っ張っていると、ギデオンに止められた。
「リオ、そのままにしておけ」
「でもっ、ひどいことをしたアシュレイに触られてるなんて、デックが可哀想だっ」
「だが外すことは無理だ。リオも、わかっているだろう?」
「だけどっ…」
リオは二人から手を離した。そして溢れ出てくる涙を袖で拭う。
わかってる。二人の手が決して離れないことは。だって、アシュレイが強く握りしめているから。そしてデックも、アシュレイの手を強く握りしめていたから。
リオは、鼻の詰まった声でギデオンに聞く。
「ねぇギデオン…二人は…想いあっていたの?」
「そうかもな」
「じゃあなんで、アシュレイはデックを大切にしてくれなかったの?」
「さあな。それはアシュレイ王子に聞かねばわからない。…だが、俺が思うに、王子は第五王子だ。誰からも愛情を注がれずに育ったのかもしれぬ。故に、人を愛することがどういうことか、わからなかったのかもしれぬ。デックへの想いが何なのか、わからなかったのだ…たぶんな」
「アシュレイって王子なのに、バカだね…」
「そうだな」
ギデオンに寄り添いながら、しばらくデックを見ていると、アンが傍に来た。背中の翼は消えていた。ロンに近づき、一度だけ身体を寄せて離れた。アンなりの弔いなのだろう。
デックとアシュレイとロンの身体は、離すことができなかった。デックが片手でロンに抱きつき、デックとアシュレイは手を握りあっていたから。だから仕方なく、一緒に埋めた。湖から少し離れた場所に、リオが魔法で大きな穴を掘り、二人と一羽を穴の底に寝かせ、近くに咲いていた花で囲んで土を被せた。盛り上がった土の上に、形の良い石を置き、石の前にも花を並べた。リオは両手を握りしめて目を閉じ、デックとロンが穏やかに眠れるよう祈った。ついでにアシュレイには、二度とデックを苦しめるなと文句を言った。
リオが目を開け立ち上がると、ギデオンがリオの頭を撫でた。
「さて、早々に立ち去るか。誰かに見つかると面倒だ」
「そうだね。アン、また翼を出して飛んでくれる?」
『あれはとても疲れるのだが…リオの頼みならば仕方がない』
「ありがとう」
リオがアンに抱きつき首を撫でていると、ギデオンが腕を組み首を傾けた。
「前から不思議に思っていたのだが、リオはアンと会話ができるのか?」
「うん。アンが頭の中に話しかけてくれるんだよ」
「なるほど。アン、俺にも話しかけてくれ」
『無理』
「アン…」
アンがふいっと横を向く。
リオは申し訳ない気持ちになって、アンから離れギデオンを見上げた。
「リオ、そのままにしておけ」
「でもっ、ひどいことをしたアシュレイに触られてるなんて、デックが可哀想だっ」
「だが外すことは無理だ。リオも、わかっているだろう?」
「だけどっ…」
リオは二人から手を離した。そして溢れ出てくる涙を袖で拭う。
わかってる。二人の手が決して離れないことは。だって、アシュレイが強く握りしめているから。そしてデックも、アシュレイの手を強く握りしめていたから。
リオは、鼻の詰まった声でギデオンに聞く。
「ねぇギデオン…二人は…想いあっていたの?」
「そうかもな」
「じゃあなんで、アシュレイはデックを大切にしてくれなかったの?」
「さあな。それはアシュレイ王子に聞かねばわからない。…だが、俺が思うに、王子は第五王子だ。誰からも愛情を注がれずに育ったのかもしれぬ。故に、人を愛することがどういうことか、わからなかったのかもしれぬ。デックへの想いが何なのか、わからなかったのだ…たぶんな」
「アシュレイって王子なのに、バカだね…」
「そうだな」
ギデオンに寄り添いながら、しばらくデックを見ていると、アンが傍に来た。背中の翼は消えていた。ロンに近づき、一度だけ身体を寄せて離れた。アンなりの弔いなのだろう。
デックとアシュレイとロンの身体は、離すことができなかった。デックが片手でロンに抱きつき、デックとアシュレイは手を握りあっていたから。だから仕方なく、一緒に埋めた。湖から少し離れた場所に、リオが魔法で大きな穴を掘り、二人と一羽を穴の底に寝かせ、近くに咲いていた花で囲んで土を被せた。盛り上がった土の上に、形の良い石を置き、石の前にも花を並べた。リオは両手を握りしめて目を閉じ、デックとロンが穏やかに眠れるよう祈った。ついでにアシュレイには、二度とデックを苦しめるなと文句を言った。
リオが目を開け立ち上がると、ギデオンがリオの頭を撫でた。
「さて、早々に立ち去るか。誰かに見つかると面倒だ」
「そうだね。アン、また翼を出して飛んでくれる?」
『あれはとても疲れるのだが…リオの頼みならば仕方がない』
「ありがとう」
リオがアンに抱きつき首を撫でていると、ギデオンが腕を組み首を傾けた。
「前から不思議に思っていたのだが、リオはアンと会話ができるのか?」
「うん。アンが頭の中に話しかけてくれるんだよ」
「なるほど。アン、俺にも話しかけてくれ」
『無理』
「アン…」
アンがふいっと横を向く。
リオは申し訳ない気持ちになって、アンから離れギデオンを見上げた。
57
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
あの日、北京の街角で
ゆまは なお
BL
5年前、一度だけ体を交わした彼が、通訳として出張に同行するーーー。
元留学生×駐在員。年下攻め。再会もの。
北京に留学していた上野孝弘は駐在員の高橋祐樹と街中で出会い、突然のアクシデントにより、その場で通訳を頼まれる。その後も友人としてつき合いが続くうちに、孝弘は祐樹に惹かれていくが、半年間の研修で来ていた祐樹の帰国予定が近づいてくる。
孝弘の告白は断られ、祐樹は逃げるように連絡を絶ってしまう。
その5年後、祐樹は中国出張に同行するコーディネーターとして孝弘と再会する。
3週間の出張に同行すると聞き、気持ちが波立つ祐樹に、大人になった孝弘が迫ってきて……?
2016年に発表した作品の改訂版。他サイトにも掲載しています。
顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!
小池 月
BL
男性オメガの「本田ルカ」は中学三年のときにアルファにうなじを噛まれた。性的暴行はされていなかったが、通り魔的犯行により知らない相手と番になってしまった。
それからルカは、孤独な発情期を耐えて過ごすことになる。
ルカは十九歳でオメガモデルにスカウトされる。順調にモデルとして活動する中、仕事で出会った俳優の男性アルファ「神宮寺蓮」がルカの番相手と判明する。
ルカは蓮が許せないがオメガの本能は蓮を欲する。そんな相反する思いに悩むルカ。そのルカの苦しみを理解してくれていた周囲の裏切りが発覚し、ルカは誰を信じていいのか混乱してーー。
★バース性に苦しみながら前を向くルカと、ルカに惹かれることで変わっていく蓮のオメガバースBL★
性描写のある話には※印をつけます。第12回BL大賞に参加作品です。読んでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします(^^♪
11月27日完結しました✨✨
ありがとうございました☆
【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました
未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。
皆さまありがとうございます。
「ねえ、私だけを見て」
これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。
エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。
「この恋、早く諦めなくちゃ……」
本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。
この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。
番外編。
リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。
――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。
的中率100%の占い師ですが、運命の相手を追い返そうとしたら不器用な軍人がやってきました
水凪しおん
BL
煌都の裏路地でひっそりと恋愛相談専門の占い所を営む青年・紫苑。
彼は的中率百パーセントの腕を持つが、実はオメガであり、運命や本能に縛られる人生を深く憎んでいた。
ある日、自らの運命の相手が訪れるという予言を見た紫苑は店を閉めようとするが、間一髪で軍の青年将校・李翔が訪れてしまう。
李翔は幼い頃に出会った「忘れられない人」を探していた。
運命から逃れるために冷たく突き放す紫苑。
だが、李翔の誠実さと不器用な優しさに触れるうち、紫苑の頑なだった心は少しずつ溶かされていく。
過去の記憶が交差する中、紫苑は李翔の命の危機を救うため、自ら忌み嫌っていた運命に立ち向かう決意をする。
東洋の情緒漂う架空の巨大都市を舞台に、運命に抗いながらも惹かれ合う二人を描く中華風オメガバース・ファンタジー。
ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね
ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」
オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。
しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。
その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。
「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」
卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。
見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……?
追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様
悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。
S級エスパーは今日も不機嫌
ノルジャン
BL
低級ガイドの成瀬暖は、S級エスパーの篠原蓮司に嫌われている。少しでも篠原の役に立ちたいと、ガイディングしようとするが拒否される日々。ある日、所属しているギルドから解雇させられそうになり、焦った成瀬はなんとか自分の級を上げようとする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる