狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹

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 リオは手を伸ばして、二人の手を外そうとした。だけどすでに硬直した手は、離すことができない。それでも力任せに引っ張っていると、ギデオンに止められた。

「リオ、そのままにしておけ」
「でもっ、ひどいことをしたアシュレイに触られてるなんて、デックが可哀想だっ」
「だが外すことは無理だ。リオも、わかっているだろう?」
「だけどっ…」

 リオは二人から手を離した。そして溢れ出てくる涙を袖で拭う。
 わかってる。二人の手が決して離れないことは。だって、アシュレイが強く握りしめているから。そしてデックも、アシュレイの手を強く握りしめていたから。
 リオは、鼻の詰まった声でギデオンに聞く。

「ねぇギデオン…二人は…想いあっていたの?」
「そうかもな」
「じゃあなんで、アシュレイはデックを大切にしてくれなかったの?」
「さあな。それはアシュレイ王子に聞かねばわからない。…だが、俺が思うに、王子は第五王子だ。誰からも愛情を注がれずに育ったのかもしれぬ。故に、人を愛することがどういうことか、わからなかったのかもしれぬ。デックへの想いが何なのか、わからなかったのだ…たぶんな」
「アシュレイって王子なのに、バカだね…」
「そうだな」

 ギデオンに寄り添いながら、しばらくデックを見ていると、アンが傍に来た。背中の翼は消えていた。ロンに近づき、一度だけ身体を寄せて離れた。アンなりのとむらいなのだろう。
 デックとアシュレイとロンの身体は、離すことができなかった。デックが片手でロンに抱きつき、デックとアシュレイは手を握りあっていたから。だから仕方なく、一緒に埋めた。湖から少し離れた場所に、リオが魔法で大きな穴を掘り、二人と一羽を穴の底に寝かせ、近くに咲いていた花で囲んで土を被せた。盛り上がった土の上に、形の良い石を置き、石の前にも花を並べた。リオは両手を握りしめて目を閉じ、デックとロンが穏やかに眠れるよう祈った。ついでにアシュレイには、二度とデックを苦しめるなと文句を言った。
 リオが目を開け立ち上がると、ギデオンがリオの頭を撫でた。

「さて、早々に立ち去るか。誰かに見つかると面倒だ」
「そうだね。アン、また翼を出して飛んでくれる?」
『あれはとても疲れるのだが…リオの頼みならば仕方がない』
「ありがとう」

 リオがアンに抱きつき首を撫でていると、ギデオンが腕を組み首を傾けた。

「前から不思議に思っていたのだが、リオはアンと会話ができるのか?」
「うん。アンが頭の中に話しかけてくれるんだよ」
「なるほど。アン、俺にも話しかけてくれ」
『無理』
「アン…」

 アンがふいっと横を向く。
 リオは申し訳ない気持ちになって、アンから離れギデオンを見上げた。
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