狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹

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 またギデオンに心配かけてしまう。まだまだ俺は弱すぎる。どうすれば強くなれるのかな…なあ?アン…。

『疲れた。しばらく休む』
「え?」

 頭の中で響いた声に驚いてアンを見ると、翼をしまい地面に伏せて、荒い呼吸を繰り返している。
 リオはよろけながらも慌ててアンに駆け寄った。

「アン!大丈夫?」
『二人も乗せればこうなる…。が、少し休めば回復する』
「ほんと?早く部屋に戻って休も?」
『そうする』

 リオは、アンの身体を抱えて立ち上がらせたが、自身の足元が覚束おぼつかなく倒れそうになる。咄嗟とっさにギデオンに抱きとめられて、地面に顔をぶつけることにはならなかったが。

「リオ、おまえは自分の体調のことだけを考えろ。無理をするな。アンは他の者に運ばせる。アン、疲れさせてすまなかったな。人を呼ぶから待っててくれ」

 アンが素直に頷き、再び身体を伏せて目を閉じた。
 リオが「後でね」とアンの頭を撫でていると、いきなり身体が浮いた。ギデオンに抱き上げられたのだ。
 普段なら「自分で歩く」と身をよじるところだが、素直にギデオンの首に手を回した。本当に心も身体も疲れきっていたから。
 ギデオンの首に顔を寄せて「ありがとう」と囁くと、頬に優しくキスをされた。
 部屋に着くなり椅子に下ろされ、服を脱がされ濡れた手巾で身体を拭かれ、新しい寝衣に着替えされられベッドに運ばれた。全てギデオンの手によってである。領主であるギデオンにこんなことをされて、申し訳ないやら恥ずかしいやら。でも甲斐甲斐しく世話をしてくれるギデオンを見ていると、胸の中が暖かくなって嬉しい気持ちでいっぱいになった。
 リオは疲れていたので、ほぼされるがままになっていた。そしてタライや汚れた服までをも片付けようと出ていくギデオンの背中を見て、急いで「ありがとう」と言った。

「いい。俺がしたかったからしたまでだ。すぐに戻るから休んでいろ」
「うん」

 普段笑わない端正な顔の優しい微笑みは危険だ。リオはギデオンの優しい微笑みに、ドキドキが止まらない。

「かっこいい…。どうしよう、ギデオンがどんどんかっこよくなってる!」

 リオは頭を上げて叫んだ。
 隣で寝ていたアンは、うるさそうに首を振り反対側を向いてしまう。

「なぁ、アンもそう思わない?」
『思わぬ。いつも怖い顔の愛想のない男だ』
「そんなことないよ。ギデオンは優しいよ」
『リオの前だけだろ。それに俺の方がいい男だ』
「そうだね。アンもかっこいいよ」

 リオは頭を戻しアンの首を撫でた。そしてデックから聞いた話を思い出して、聞いてみた。
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